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『陰日向に咲く』宮崎あおい 単独インタビュー
宮崎あおい
劇団ひとりが書いたベストセラー処女小説を映画化した映画『陰日向に咲く』。どこか日の当たらない9人の人間たちが織り成す笑いと涙の感動ストーリーで、豪華キャストが顔をそろえる中、映画出演が続く宮崎あおいもそのアンサンブル・ドラマに参加した。一人二役に挑戦した上に、漫才まで披露してみせた宮崎。「映画を観て、素直に良かったと思えた」と語る彼女に、映画のこと、女優という仕事のことなどさまざまな話を聞いた。
陰日向に咲く
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■劇団ひとりさんはすごい!
Q:劇団ひとりさんの原作は、撮影に入る前に読みましたか?
映画化されると知る前から読んでいました。ひとりさんすごいって思いました(笑)。登場人物たちの微妙な絡み具合とか、この人たちがこんなところでつながってくるのかとか、頭の中にあんなストーリーを持っていらっしゃる方だったんだって知って素直に驚きました。
Q:物語は群像劇のスタイルでした。演じていてやりがいを感じましたか?
はい。映像になったときにどんな風に原作の世界が出るんだろうって期待もしていましたし、台本がとてもすてきな内容だったので撮影現場での不安もありませんでした。とにかく完成するのが楽しみでしたね。
Q:完成した映画をご覧になったときはいかがでしたか?
試写室を出たときにあんなに笑顔だったのは、初めてですね。たいてい観賞直後は自分の中で整理がつかないので、いつもは関係者の方々とも話さずにこっそり帰るんですけど(笑)、今回はスタッフの人たちと立ち話をしてしまうくらい、素直に良かったと思いました。その気持ちにまったくうそがなかったので、すごくいい作品にかかわれたと思っています。
■人を笑わせることって大変
Q:今回の役は一人二役でしたが、演じるのは大変でしたか?
親子の設定だったので完全に別人というわけではなく、似ている部分もあっていいとのことだったので、何となく安心はしていました。母親役の鳴子は鳥取弁なんですが、これがとてもかわいいくて(笑)、鳥取弁に助けられました。
Q:母親の鳴子と娘の寿子、どちらが演じやすかったですか?
鳴子です。演じていてとても面白かったんです。寿子は説明的なセリフが多かったんですけど、鳴子は表情もころころ変わって、本当に伊藤淳史君が演じる雷太に一筋で、感情も直球じゃないですか。寿子は岡田准一君演じるシンヤの目を見て話せなかったり、男の子と話すのは苦手だったりという部分もあったので、いろいろ気を付けなければいけない点も多かったんです。また、寿子とシンヤはたんたんとした感じだったので、その分、鳴子が楽しかったです。
Q:鳴子と雷太の漫才のシーンがありました。漫才にトライしてみた感想は?
楽しかったので、もっとやりたかったです。人を笑わせることがこんなに大変だったなんて、自分が舞台の上に立って初めて知ったんです。今までお笑いを見て当たり前のように笑っていましたけど、裏側には緻密(ちみつ)な作戦があって笑いが生まれていると思うと、おちおち笑ってもいられないみたいな(笑)。真剣に観なきゃって思うぐらい、お笑いってまじめに取り組まないとできない仕事なんだなって思いました。自分でやってみて、大変さが分かりました(笑)。
Q:普段経験しないようなことを演技でやると、女優としての財産にもなりますか?
はい。ただ毎日生きているだけで、朝起きてご飯食べて……それだけで財産になっていくような気がしますし、絶対に後で演技に生きてくると思います。つらいことも楽しいことも全部、経験して損なことは1つもないお仕事だと思うので、とても幸せなことですよね。
■わたしは究極のポジティブ!
Q:伊藤淳史さんと岡田准一さん、それぞれ共演されてみた感想はいかがでしたか?
伊藤君とはこれまでに何回か一緒に仕事をしていて、気心が知れているような関係ですね。近い存在の俳優さんなので、安心して漫才をすることができました。かわいらしい方です(笑)。岡田君は初めてだったんですが、すごくいい方だといううわさで聞いていて(笑)、今回ご一緒する数か月も前から気になる存在の俳優さんだったんです。岡田君のインタビューの記事が出ると、読んでいました(笑)。すてきな方だなぁって思っていたところに、今回の映画のお話をいただいたんです。改めて学ぶことも多かったですし、わたしの気になっていたカンは当たっていたと思いました(笑)。
Q:まさに劇中の“縁結び”のようなエピソードですが、偶然や運命は信じますか?
わたしはすべてが必然だと思っているんです。わたしが今ここにいることも必然で、1年後にこの仕事をしていなかったとしても、それは必然だと思うし、すべてのことに理由があってそうなっているんだと思うんです。もともと、すごくポジティブな人間なんです。悪い方向にはあまり考えないし、もちろん考えて悲しくなったり苦しくなったりすることもありますけど、すべてのことが後で生きてくると考えるタイプです。客観的に自分を見つめようとする、究極のポジティブなんです!
Q:“大切なものは失って気付いてからでは遅い”というテーマもあるような気がしますが、いかがですか?
そうですね。自分が今生きていること、起こることすべてにすごく意味があるとわたしは思っていますが、世の中にはきっとそう思えない人たちもたくさんいると思うんです。これだけたくさんの人間がいる中で、自分はほかの誰にも影響を与えていないのではないかとか、自分なんかいなくてもいいんじゃないかって思っちゃう人もいると思うんです。でも、そういう人たちも絶対に誰かとつながっていて、いろんな出会いをしてきていると思います。映画を観て、そういうことを感じました。また、ケツメイシさんの音楽が流れてきたときに、映画のテーマを音楽で届けてくれたような気がして、とても幸せな気分になりました。
Q:そのような考え方をされるようになった、きっかけのような体験を過去にされたのですか?
子どものころから何となくこの世界に身を置いていて、それこそエキストラのお仕事やオーディションを何回も受けるじゃないですか。そういうときにわたしの顔を覚えてくださった方がいて、そこからお仕事につながることって実際にあったんです。このお仕事をしていると人との出会いやつながりをとても感じます。『陰日向に咲く』はそういう出会いやつながりについて考えさせられる作品でもあるので、ぜひご覧になってそういうことも感じていただけたら幸せです。
笑顔を絶やさずにさまざまな話をしてくれた宮崎。本作に出演したことを心から喜び、完成した作品へ惜しみない賛辞を贈れたからこそ彼女の本音トークが聞けたのだと思う。一人二役のため、1つの作品で彼女の違うキャラクターも楽しめる『陰日向に咲く』。本人も語る「笑顔で劇場を後にできる」ハートフルな群像劇で、2008年の映画ライフを始めることをお薦めしたい。
取材・文: 鴇田崇 写真: 秋山泰彦
映画『陰日向に咲く』は1月26日より全国東宝系にて全国公開
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