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『スルース』ジュード・ロウ 単独インタビュー
ジュード・ロウ
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ロンドン郊外の豪華な屋敷を舞台に、初老のベストセラー作家ワイクと彼の妻の若き浮気相手マイロが壮絶な駆け引きを繰り広げる映画『スルース』。ケネス・ブラナー監督、マイケル・ケイン&ジュード・ロウ主演、ノーベル文学賞作家のハロルド・ピンター脚本で、1972年の傑作ミステリー映画『探偵<スルース>』をリメイクした本作は、舞台劇を思わせる設定と先の読めないスリリングな展開が魅力。プロデューサーも務め、並々ならぬ思いを本作に注ぐジュード・ロウが来日し、作品について語った。
スルース
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■俳優の醍醐味(だいごみ)を体感
Q:尊敬している名優マイケル・ケインと渡り合う役ですが、演じた感想は?
僕はとてもマイケルを尊敬しているんだ。マイケルとはお互いを高め合う素晴らしいパートナーになれたよ。この映画はテニスのようなもの。自分が出しただけの力が相手からも返ってくるんだ。
Q:撮影現場も本編のように緊迫感にあふれた雰囲気だったのですか?
僕もマイケルも監督のケネスも、全員性格やタイプは違うけれど、ハッピーに仕事ができるところは共通している。今回の映画では、とても密にリハーサルを行ったんだ。だから、リハーサルで試みたことを最大限に生かし、波に乗って映画作りをすることができた。もちろん、ハードな気分にさせられるストーリーだし、それで気分が落ち込むことはあったけどね。
Q:確かにマイロを演じるのは精神的に大変そうですね。
彼がたどる運命は極端だからね(笑)。つらい撮影だったけれど、人間の深いところにある感情を演じられるのはチャレンジしがいがある。俳優とはそういうものだし、そういったチャレンジがなければ俳優をやっている意味がない。真っすぐな役ばかりではスリルが味わえないし、マイロのような役にこそ俳優の醍醐味(だいごみ)を感じるんだ。自分を高めるという意味でもね。
Q:これまでのキャリアを振り返っても、精神的に大変な役が多いのでは?
交互にこなしていきたいんだ。ヘビーな役を終えたら、次はライトな役にチャレンジするというようにね。でも、そうだな……。総括すると、ヘビーな役の方が多いかも。
■プロデューサー、そして主演俳優として
Q:マイロは企画当初からご自分で演じられる予定だったのですか?
そもそも、プロデューサーとしての僕の役割は、脚本をより良いものに仕上げていくことだと考えていた。それを目的に掲げていたから、自分で演じることはまったく考えていなかったんだよ。僕が演じるとなるとマイロをひいきしてしまいそうだったし(笑)、何よりもまず物語を客観的にとらえたかったからね。俳優の目で作品を観たくなかったし、監督が決まってから、監督自身に配役を考えてほしいという希望もあった。確かに僕が演じるべきではないかという意見も企画当初からあったけれど、「自分が演じるべきかも?」と本気で考え始めたのは、監督になってくれたケネスが、ある日「もちろん君がマイロを演じるよね?」と言いだしてからだった。
Q:プロデューサーとして、誰かマイロ役に想定していた俳優はいましたか?
いや、そこまでは考えていなかった。ルーファス・シーウェルやジェームズ・マカヴォイなど、プロデューサーとして一緒に仕事をしてみたい俳優はたくさんいるけどね。
Q:彼らも素晴らしい俳優ですが、あなたがマイロを演じてくれて良かったです。
僕も本当にそう思う(笑)。演じられて良かった。
Q:マイロとワイク、どちらかといえば、あなた自身はどちらのキャラクターに共感を覚えますか?
うーん……。どちらも共感は……しないかな(笑)。いくつか理解できる瞬間はあるけれど、「うんうん、わかる」とうなずけるという意味では、彼らの復讐(ふくしゅう)心、ちょっとした嫉妬(しっと)心、苦しみに対する対処の仕方とか、そういった部分だね。もちろん、僕自身が彼らほどの体験をしたわけではないし、彼らのような経験をする人は多くないと思うけど。
■男は原始的に支配欲を持っている生き物
Q:マイロとワイクの間にあるあやしげな雰囲気は、オリジナル版よりも強調されていますね。
2人は確かに気の引き合いのようなものをしている。最初から最後までね。ハロルド・ピンターが脚本で描きたかったのは、男同士が互いを支配しようとすること、つまり、戦いの中で性的にも相手を支配してしまおうとする究極の闘志だと思う。マイロとワイクは古典的な戦い方をしているんだ。互いを引きつけて誘惑し、その上で遠ざけるという最大級の侮辱を用いてね。僕とマイケルとケネスは、脚本から感じられるそういった含みをより強調しようとしたんだ。というのも、彼らはお互いに譲れない、リスクの高いところまで来ているから、そんな2人の必死な戦いぶりを目いっぱい見せたら面白いんじゃないかと思ったんだ。
Q:彼らはあらゆる感情をさらけ出し合いますし、それらの中には過激で見苦しいものも含まれています。男性であるあなたの目に、戦うマイロとワイクの姿はどう映りますか?
確かにとても過激だね。感情をむき出しにしながら戦う男の衝動が感じられるし、観客にもそれを感じ取ってほしいよ。支配欲、勝利を渇望する気持ち、それに目がくらんで本来の目的を見失うこと、そして主導権をつかみ、ゲームに勝利しようとする策略などをね。男は原始的に支配欲を持っている生き物だと思う。残念ながら、それが頭をもたげ過ぎて、客観的に物事を見られなくなってしまうことがあるんだ。
Q:「感情をむき出しにして戦う」というのは、男の美学にも通ずるように聞こえますが。
美学とまでは言えないね。男の持つ原始的な衝動に関する考察といったところかな(笑)。われを忘れ、死に至るまで殴り合う男と男なんて美しくないだろう? そういった男の見苦しさを楽しんでもらえれば、この映画は成功だね。
朝からずっと取材続きのジュードは大好きな緑茶を飲みながらインタビューに応えてきたそうで、「緑茶を飲みすぎて耳から出そう」とポツリ。とはいえ、プロデューサーも務めている本作への思い入れはとても深く、作品への愛を言葉の端々ににじませながら、いったん話し始めたら止まらない様子を見せる彼の熱弁に感激させられた。映画に愛を注ぎ続ける映画人、ジュードの本気をぜひ劇場で感じ取ってほしい。
取材・文: 渡邉ひかる 写真: 秋山泰彦
『スルース』は3月8日よりシネスイッチ銀座ほかにて全国公開
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