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『ジャージの二人』堺雅人&鮎川誠 単独インタビュー
“癒し系”ブームの昨今、その真打ちともいえる『ジャージの二人』が登場。長嶋有の小説を『チーム・バチスタの栄光』の中村義洋監督が映画化し、無職の息子と自由業の父親の山荘で過ごすひと夏の日常をさらりと映し出す。独特の雰囲気の父子を演じるのは、『クライマーズ・ハイ』などの話題作に次々と出演している堺雅人とロックバンド“シーナ&ロケッツ”の鮎川誠。優しくほほ笑む堺と、独特の博多弁で話す鮎川という絶妙なコンビネーションの二人が、本作への熱い思いから深い人生哲学に至るまでを大いに語ってくれた。
ジャージの二人
キャスト・スタッフ
解説・あらすじ
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■“ザ・ジャージ”な二人
Q:ジャージ姿の自分をご覧になったときの感想は?
堺雅人(以下堺):
僕は衣装合わせでジャージを着て、ある意味ちょっと覚悟が決まったというか、「あぁ、やっぱりこれを着ることになるんだ……」と改めて思いましたね(笑)。割合早めにジャージには慣れたので、あまり違和感はなかったような気がします。
鮎川誠(以下鮎川):
僕はまったく抵抗もなくちいうか、「ジャージ、これがジャージ!?」みたいな何かとてもフレッシュな気分でしたね。(笑)。なかなかジャージを着るということに縁がなかったもんで、“ザ・ジャージ”で向かい合うのも初めてだったし、気分が良かったです。
Q:堺さんは宮崎県、鮎川さんは福岡県のご出身ということで、同じ九州人同士何か通じ合う部分はありましたか?
鮎川:
九州の人は相手が同じ九州人だとわかると、もうそれだけでうれしいですもんね! 「もう早う言うてよ!」ちゆう感じよね(笑)。やはり同じ九州人同士の心の気安さみたいなのを感じますね。急に図々しくなったりして「なー!」とか言うてね(笑)。
堺:
だいたい初対面で九州出身だと言うと、それだけで急にお互いの距離が縮まりますからね(笑)。
■ぼーっとするぜいたくな時間
Q:映画の中では何もしないで毎日が過ぎて行きますが、何もしないことは得意ですか?
堺:
何もしていないように見えるけれど、実はいろいろなことをしているんですよね。実際に言葉にしなかったり、行動を起こさなかったりするだけで、心の中ではとてもさまざまなことが動いている。この映画がリアルだなと思ったのは、日常の中では実際に口に出す言葉よりも、口に出さない言葉の方が実は多いんだっていう部分を描いていることですね。実際に自分は、ぼーっとしているときも細かいことをいろいろとやっている気がします。好きかどうかはともかく、ぼーっとしている時間は、ほかの仕事をされている方々よりも多い気はしますね。
鮎川:
何かね、ぼーっとする時間は非常にぜいたくな時間だと思います。自分も何だかんだ用事が増える一方のバンド家業で、インターネットとかあるとね、「キース・リチャーズは今どうしてるんやろうか?」とか突然思いつくと、ネットを見らんと気が済まんやったりね。最初はそれがとても面白かったんですが、やっぱり用事が増えてるんだなぁ……と逆に思うんですね。そんなんから見たら、劇中の二人みたく暑いときに2か月ぐらいぼーっとするちいうのは最高のぜいたくだし、いろいろと教わりますね。ああやってリフレッシュして、けじめをつけるのはいいよね。
Q:今回は父と息子役でしたが、お互いに「似ているな」と思った部分はありますか?
鮎川:
うん、何かね、あのぉ……似とるよ。二人ともちょっとひょろ長系でね、顔も長いしね。それだけでもすごいことですよ。もし丸かったら似てないと思うかもしらんけど。ほんで堺さんはいっつもニコニコしとるの。もう本当に100万ドルの笑顔でね。優しい笑顔でみんなを包んでくれましたね。
堺:
そう言っていただけると本当にうれしいですね。ひと月という短い期間だけれど、一緒に同じペースで生活するというのは、何だかそれだけで似通ってくるものってあるのかなぁ……という気はしますよね。
■計算ではなくありのままの自分をさらけ出す
Q:人といい関係を築いていく自分なりの秘訣(ひけつ)は何かありますか?
鮎川:
いい関係を作るとかどうとか、全然そういうことを考えたことがないし(笑)。それをオレに聞きよるわけよね!? バンドをやるちいうことは、縁あって集まった仲間と一緒にやるということなんで、その出会いに感謝することかなぁ……。本当にありがたいち思うんですよ。今回こうやって映画で仲間の一員になれたこともそうだしね。円満にやっていくのと、うまくやっていくのは何かちょっと違うんですよ。うまくやらなくてもいいんですよ。例えば後でビートルズを知った人は「ビートルズの一番いいアルバムは何ですか?」みたいなことを聞くわけですよ(笑)。一番うまくいく方法を最短距離でつかむみたいなのは長い目で見ると、あんまりうまくいかんのですね。自分の中で何かこう、うまくいかんやったにしても、自分でそれと出会うと、スカを引いたときもそれがいい方向にまた自然に戻るんです。最初から点取りゲームみたいに高い点を取ったり、マルバツでマルばかり選んだりするのは、逆に良くないんじゃないかと思います。みんな心を開いて、裸でありのままに付き合うことが一番大切だと思います。
堺:
人とうまくやっていくというのは、突き詰めればそういうことなんでしょうね。自分の都合がいいように仕向けたいという欲があるからそこで思い悩むんだけど、人が二人いたら自分は半分のことしか決められないんですよね。あとは相手が決めるべきことで、それを相手のことまで自分の都合のいいように決めてしまおうとせず、あとはみんなで決めていくものなんですよね。
Q:最後にこの映画をどのように楽しんでもらいたいですか?
堺:
僕の中では避暑地に遊びに行った感覚があって、それは映画の中でもよく出ていると思うんですよね。だからひと夏の間に予定のない方はこの映画をぜひ観ていただいて、山荘に遊びに来たような感覚でご覧になっていただけたらと思います。もし別荘に遊びに来た感覚で観終わっていただくことができたら、僕らとしてはすごくうれしいですね。
鮎川:
本当に「おいでませ!」ち誘う(いざなう)感じで。一緒にクールでスローなスペシャル感をシェアしてもらいたいね。「こんなことをやっていていいのか!」ちいうような気分を一緒にシェアできたらと思います。ありがとう、よろしく!
映画の話をしていても熱くロックを語ってしまう鮎川。そしてそんな彼を優しいほほ笑みで見守りつつもしっかりと自分の立ち位置を持っている堺。この二人の間には常にお互いへの信頼からくる心地良い空気が漂っていた。やんちゃ坊主がそのまま大人になったような父親と、彼と同じようにどこか不器用で優し過ぎる息子が、色違いのジャージ姿でのんびりとした時間に身を委ね、心からリフレッシュするひと夏の至福の時間を、この作品の登場人物たちと同じようにゆったりとした気分で楽しんでもらいたい。
取材・文: 平野敦子 写真: 田中紀子
『ジャージの二人』は7月19日より、恵比寿ガーデンシネマ、角川シネマ映画、銀座テアトルシネマほかにて全国公開
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