ここから本文です

墨攻 (2006)

A BATTLE OF WITS

監督
ジェイコブ・チャン
  • みたいムービー 338
  • みたログ 1,396
  • ユーザーレビュー 445

3.59

解説

2000年前の戦乱の中国を描いた同名の人気コミックを映画化した歴史スペクタクル。10万の敵に囲まれた落城寸前の小国の城が、平和のために戦うという目的で助っ人にやって来た1人の“墨家”に救われる伝説の戦を壮大なスケールで描く。頭脳明晰(めいせき)で優れた人柄の主人公を、アジアのトップスターであるアンディ・ラウが好演。敵方の武将を演じる『デュエリスト』などの韓国の名優アン・ソンギとの対決も見ものだ。日韓中が協力して作り上げた渾身のドラマに胸が震える。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

紀元前370年頃、巷淹中(アン・ソンギ)率いる趙の10万の大軍が住民わずか4千人の梁城に攻め入ろうとしていた。梁王(ワン・チーウェン)は墨家に援軍を頼んでいたが時間切れで、降伏しようとした時に墨家の革離(アンディ・ラウ)という男がたった1人で城に到着する。彼は1本の矢で趙軍の先遣隊を退けてしまい……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

「墨攻」様式美に頼らない骨太なアジア合作映画

 相変わらずアジアの国境を越えたコラボレーションが盛んだ。派手な様式美が売り物の“無国籍風オリエンタル絵巻”に食傷気味の筆者としては、むしろアジア各国のローカルな良作を観たいと願う。というわけで中国・日本・香港・韓国合作の「墨攻」もさほど期待せずに観賞したが、これは歯応えのある1作だった。

 アンディ・ラウ扮する主人公、革離(かくり)は、紀元前5世紀の中国に実在した思想集団、墨家に属する人物。彼は戦闘のプロフェッショナルなのだが、他国への侵略を否定する墨家の教えに従い、徹底した守備戦術で10万人もの敵の大軍勢に対抗していく。この設定からして、現代に通じる反戦テーマを読み取ることができよう。敵の動きを先読みし、巧みなトラップで城内への侵入を許さぬ革離の獅子奮迅の活躍ぶりは、胸のすく爽快さだ。

 あからさまにCGを駆使した奇抜な仕掛けに頼らず、城壁を挟んだアナログな合戦シーンに力を込めたことで、娯楽歴史活劇としてのスケール感と迫力を確保。ただし若手美人女優ファン・ビンビン演じるヒロインの存在が明らかに浮いており、革離との不必要なラブ・シーンなどが映画の流れをいちいち止めてしまうのはいただけない。それでもアンディがヒロイズムを抑えて好演する孤高の軍師が、戦功報われず苦い運命をたどるドラマには、テーマの本質からぶれない作り手の気概がうかがえる。おそらく製作過程は困難の連続だっただろうが、多国籍クルーの意思統一、そしてジェイコブ・チャン監督の良心が、このアジア合作映画の成功の要因と見る。(高橋諭治)

映画.com(外部リンク)

2007年2月1日 更新

本文はここまでです このページの先頭へ