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プラチナデータ (2012)

監督
大友啓史
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3.37 / 評価:1,439件

解説

さまざまな作品が映画化されている東野圭吾の小説を、『ハゲタカ』『るろうに剣心』の大友啓史監督が映画化したサスペンス。DNAデータを基に犯罪捜査が行われる近未来を舞台に、自らが携わるDNA解析捜査で連続殺人事件の容疑者となってしまった科学者の逃亡劇を描く。天才科学者から逃亡者へと転落する主人公には、嵐の二宮和也。彼を執拗(しつよう)に追跡するベテラン刑事に豊川悦司がふんするほか、鈴木保奈美、生瀬勝久、杏ら多彩なキャスト陣がそろった。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

政府が極秘に収集した国民の遺伝子情報“プラチナデータ”を基に犯罪捜査が行われ、検挙率は驚異の100パーセントで、冤罪(えんざい)は皆無となった近未来の日本。警察庁の科学捜査機関に所属する科学者の神楽龍平(二宮和也)は、DNA捜査システム関係者の連続殺人事件を担当することに。しかし、同システムは神楽自身を容疑者として示し、思考を繰り広げた結果彼は逃亡するが……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2013「プラチナデータ」製作委員会
(C)2013「プラチナデータ」製作委員会

「プラチナデータ」管理社会の闇を“ふたりの二宮和也”が体現する逃走サスペンス

 街に張り巡らされた監視カメラが犯人を割り出し、国会はマイナンバー法成立に向けて動く今。DNAで個人情報を一元化する管理社会の危うさに斬り込む本作は、もはや近未来の話とも思えない。料理しがいのある原作を捨象したプロットは明快だ。犯人を特定可能なDNA捜査システムを指揮する天才科学者・二宮和也が、データ解析によって自らを連続殺人犯と名指しされてしまい、逃走する。「マイノリティ・リポート」や「エネミー・オブ・アメリカ」を日本的風土に置き換えるだけでなく、社会派SF的なモチーフを起点に、ライブ感みなぎる大友啓史の演出は、俳優のケミストリーで勝負を仕掛けてくる。

 熟練の刑事・豊川悦司は勘を信じる身体性のイコンだ。システムの信奉者が無罪を訴え真相究明を図るデジタルの矛盾と、DNAで人の全てなど分かるものかと否定するアナログの信念。追われる者と追う者の関係性は、次第に「繊細×武骨」というバディムービーの様相さえ呈する。

 実は科学者は二重人格だった。ここから映画そのものが、DNA構造よろしく二重螺旋を描く。彼はトラウマから逃れるべく、避難場所を心の中に持ってしまった内的な逃亡者でもあった。これ見よがしに人格のスイッチを切り替えない二宮の演技は、新鮮だ。大友のキャメラも映像に句読点を打つことなく、彼の変容を映し出す。ひとりの人間が抑え込んでいるもうひとりの孤独な自分が堪えきれずに現れる、内なる化学反応は胸を打つ。自然体アイドルと演技派俳優という二面性を往き来し、光と闇が共存する二宮和也ならではの到達点と言える。では犯人は別人格の彼なのか。謎解きの着地点も一筋縄ではいかず、データ化不能な人間たちの真実があぶり出される。(清水節)

映画.com(外部リンク)

2013年3月14日 更新

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