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「ヘルプ 心がつなぐストーリー」問題提起や告発よりは楽しませつつ確かに現実に切り込む語り口がある
「ヘルプ 心がつなぐストーリー」問題提起や告発よりは楽しませつつ確かに現実に切り込む語り口がある
(C)2011 DreamWorks II Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

作品詳細
 米南部、中でもとりわけ旧弊な差別の巣窟として知られたミシシッピ州都ジャクソン出身の監督と原作者。土地っ子ならではの裡(うち)からの目と、“ヘルプ”と呼ばれた黒人メイドの真実の声に耳を傾ける白人側からの距離とが、公民権法制定(1964年)直前の時代と世界を人の向こうに映し出す映画の大きな味方となっている。

 例えば身分違いの結婚をして爪はじきの“ホワイト・トラッシュ(白人貧民層)”な“金髪白痴美女”、彼女にメイドが自慢のフライドチキンを伝授するさりげなくいいくだり。黒人=フライドチキン、偏見、差別だ――と、噛みつかれそうな細部は“政治的正しさ”の奴隷の現代ハリウッドの常識からいえば自己検閲の対象に他ならない。ところが一見、あたりさわりなさそうな映画「ヘルプ」の作り手はきちんと味わい所の細部を生存させてみせるのだ。社交界のボス的奥様から不当に解雇されたメイドと同じ奥様の元恋人と結婚して恨みを買った“美女”。ふたりが同じテーブルで分かち合うチキンの一場は、人種だけでない差別をそれぞれに耐えて生きている人と人が分かち合う心を鮮やかにあぶりだす。声高な主張の代わりに当り前に土地の現実を生きてきた作り手の目が、耳が、舌が、そうやって細部を活かし味わい深い物語の奥行きを生んでいる。そこにがむしゃらな問題提起や告発よりは楽しませつつ確かに現実に切り込む語り口がある。そんな成熟。それこそが黄金時代のハリウッド映画の妙味を支えたものではなかったか。自分の知る小さな世界を確実に描いて大きな世界を透かし見せる大人の話術が光っている。(川口敦子)
[ 2012年3月22日更新 ]

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