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『ルドルフとイッパイアッテナ』井上真央&鈴木亮平 単独インタビュー

2016年8月1日 更新

『ルドルフとイッパイアッテナ』井上真央&鈴木亮平 単独インタビュー

シリーズ累計100万部超の児童文学を映画『ポケットモンスター』を手掛けてきた湯山邦彦監督が映画化した3DCGアニメ『ルドルフとイッパイアッテナ』。大好きなリエちゃんと幸せに暮らす小さな黒猫ルドルフが、長距離トラックの荷台に迷い込んで東京へ。ボス猫イッパイアッテナと出会い、文字を習い、友達が出来て成長する。果たしてルドルフはリエちゃんの元に戻れるのか? そんな映画で井上真央と鈴木亮平が声優に挑戦した。

■猫のかわいさにやられる

■猫のかわいさにやられる

Q オファーを受けたときの印象は?

井上真央(以下、井上)
最初にルドルフとイッパイアッテナが少しだけ動いている短い映像をいただいて、この2匹がメインになるアニメです、と説明を受けました。原作本の表紙に描かれた2匹の絵とはまた違い、あの物語をこのかわいいキャラクターで描いたら、きっと親子で楽しめる作品になるだろうなと思ったんです。せっかく声をかけて下さったのだからやりたいなと思う一方で私でいいのかな? という気持ちもありました。以前アニメの声優をやらせていただいたときに、その難しさを味わっているので、気軽に「やります!」なんて言ってはいけないだろうと少し悩みました。でもあまりにこの2匹がかわいいので、そのかわいさにやられましたね(笑)。
鈴木亮平(以下、鈴木)
僕は猫を飼ったことがないので、ネコの役が出来るのかな? と。それで原作を読んでいくうちにこれは猫の話だけれども人間のことを描いているのだなとわかったんですよね。児童文学として子どもが楽しめるように書かれているけど、その裏には教育の意味や、成長するとはどういうことか? など、言葉で説明してもうまく伝わらないようなことが描かれていた。原作を大好きになったのでぜひやらせていただきたいと思いましたし、関わらせていただけるのは光栄だなと思いました。

■プロ級な猫の鳴きマネ

■プロ級な猫の鳴きマネ

Q 鈴木さんは声でキャラクターをつくりこんでいましたね?

鈴木
イッパイアッテナは街のノラ猫で自分でキャラクターをつくりこんできた人間……じゃない(笑)、猫だと思うんです。いつでも強くいなきゃいけないとドスを利かせた声で周りを威嚇して生きてきたのかなと。そんな猫がピュアな心を持っていて優しさにあふれ、しかも教養があるというのが、あとあと物語の中で効いてくるんじゃないかと思いました。ただ、ここまでつくりこんだ声でいいのかな? という不安もありました。声優初挑戦ですからね。優れた技術を持つプロの声優さんがたくさんいらっしゃるなかで自分がやらせていただくのなら、どこか役者にしか出せないもの、気持ちの部分をキチンと表現したいなと思って。

Q 井上さんはルドルフの少年っぽさもハマっていましたが、猫の鳴き声の部分は本物の猫を使っているのかと思いました。

井上
幼い頃に住んでいた場所にノラ猫ちゃんがいたので、昔からよく鳴きマネしていたんです。
鈴木
どんな感じだっけ?
井上
それをここでふるの!?……(猫のマネで)にゃ~ぉ。
鈴木
(笑)。

Q ものすごく上手いですね! このために練習を?

井上
いま飼っているワンちゃんのお散歩に行って猫を見つけると鳴き声をマネたり、「おいで」って呼んだりしていました。それで近寄ってくる猫はほぼいないですけどね(笑)。

Q 感情の部分は普通のお芝居と似たような感覚でしたか?

鈴木
口の動きに合わせて表現しなきゃいけないというのは、やっぱり全然違いますね。

Q アフレコの映像を観ると、声をあてながらかなり体が動いていましたが?

鈴木
動いてましたっけ?
井上
一緒にアフレコをしたのですが、私は亮平君の前にいたので様子が見えなくて。でも動いていたからタブレットを落としたんじゃない?
鈴木
そうだ(笑)。今回吹き替える映像を事前にDVDでもらって、タブレットに入れて練習していました。それと一緒にちょっとしたメモも入れていたんです。それを譜面台に置いていたら落としちゃって、メモを持ってきた意味がなかった(笑)。
井上
でも、つい動いちゃうんですよね。
鈴木
マイクから離れていなくちゃいけなくて……。あれ難しくない?
井上
私もたくさん注意されました。

■録り直しを申し出た理由

■録り直しを申し出た理由

Q アフレコの技術的な難しさも、二度目だと慣れるものですか?

井上
いえ……。
鈴木
もうベテランだったよね。でも半分くらい録り終えたところで「私の芝居に納得がいかないので」と最初から全部やり直したんです。
井上
そんな言い方してないですよ!
鈴木
そんな言い方してないですけど(笑)。
井上
監督にご相談したところ「ここまで録ったのに」という、どよ~んとした顔が目の前に……。
鈴木
そうなるよね(笑)。でもそこをあえて申し出たのがスゴイよ。
井上
ピリピリした空気でした。半日かけて監督と亮平君とず~っとやってきたのに申し訳ないと思ったんですけど。
鈴木
わかる。
井上
アフレコに至るまでには、企画を立ち上げてから2年かかっているわけですから。もやもやした気持ちのままで最後までやってしまったら、それこそ失礼だなと思って。すると「ぜひぜひ」と言ってくださってホッとしました。ルドルフは物語の中で成長していくので、最初はもうちょっと年齢を下げて、より無邪気にやらなければいけないんだと後からわかったんです。アニメの声優を初めてやらせていただいたときもそうでしたが、自分が強く表現しているつもりでも、映像と合わせると、声量や声のトーンに違和感が出たり。声だけではごまかせないんだなと思いました。
鈴木
イッパイアッテナの場合は、自分でも思っていなかった優しさが出てくるのが成長だなと。もともとひとりでつっぱって生きてきたんですけど、ルドルフと出会い、自分以外の存在を守り、そのために生きようとすることで成長していく。その成長が出せればいいなと。でも声に優しさを盛り込み過ぎてしまうとイッパイアッテナではなくなってしまうので、あくまでぶっきらぼうに。優しさは内に秘めていればいいからと言われていました。

■感動でマジ泣き!?

■感動でマジ泣き!?

Q 出来た映画を観た感想は?

井上
もう単純に感動してしまって。声を入れるときに観る映像はまだCGが未完成で表情があまりついていなかったり、動きもカクカクしていたんです。だから完成した映画を観たときに、猫の毛並みなど細かいところまでリアルに描かれていたので、まず技術的なことにビックリしました。
鈴木
最初は猫の毛の描写が柔らか過ぎたんですって。もふもふ感を出そうとしたら、かわいいんですけどシャンプーしたての毛並みに見えてノラ猫感がない! と(笑)。それで途中で、毛の硬さを表わす数値をすべて変えたらしいです。この映画は猫の毛を描くためのソフトウェアをつくるところから始まったそうで。気の遠くなる作業だなと。それで僕自身は映画を観たとき、号泣でした(笑)。

Q マジ泣きですか?

鈴木
マジ泣きですよ! わりとすぐ泣いちゃうんですけど。
井上
観るときに「亮平君、絶対に泣いちゃうよ!」って言ってたんです。そうしたら見事に泣いていたので。
鈴木
途中からず~っと泣いてました。わかるな~。子どもから大人になる、これが成長! みたいな(笑)。自分が上京してきたころと感情的にちょっとかぶるところがあったりして。
井上
うんうん。
鈴木
それでいてあれはルドにとってのベストなエンディングだったし、成長でもあると思うから、がんばれルド! よかったないい仲間がいて! と思いながら、切なくてなんだか泣けてくる。泣きながら笑っているような、とても幸せな後味でした。

Q 原作は30年ほど前に発表され、テレビアニメ化されたりミュージカルになったり、時代を超え、カタチを変えて繰り返し息を吹き返していますよね。その魅力はなんだと思いますか?

井上
教養を身につけるとか友達のために捨て身の行動をとるとか、大切なことは時代の変化とともに変わるものではないんだなと。それは、いつの時代にも大事だなと思うことがたくさん詰まっているからだと思います。
鈴木
年齢によって、全然違うものを受け取れるからだと思うんです。子どもなら猫の冒険として読むだろうし、中学生高校生を経て、一人暮らしを始めたら受け取るものもまた違うだろうし、仕事を始めたらまた変わる。親になってもそう。そこが子ども向けでは収まらない作品なのだと思うんですよね。
写真撮影中、まず一人でポーズをとる井上の前に立って振り向きざまにカメラ目線をキメて周囲にドッと笑いを起こす鈴木。そのあとすぐにカメラの後ろに回り「い~よ、セクシーだね~」とカメラマン風の掛け声をかけたりして、とにかく場の空気を和ませてくれる。一方、井上も「さすが女優!」などという鈴木の声に合わせて手にアゴをのせて小首をかしげて見せるなど、ノリのよさはピカイチ。二人一緒に行ったというアフレコの楽しい空気が伝わってくるようだった。

取材・文:浅見祥子 写真:高野広美

映画『ルドルフとイッパイアッテナ』は8月6日より全国公開

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