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『斉木楠雄のΨ難』山崎賢人&橋本環奈&福田雄一監督 単独インタビュー

2017年10月16日 更新

『斉木楠雄のΨ難』山崎賢人&橋本環奈&福田雄一監督 単独インタビュー

麻生周一による人気漫画を、「勇者ヨシヒコ」シリーズや映画『銀魂』の福田雄一監督が実写化した『斉木楠雄のΨ難』。テレパシーなど当たり前の超能力者だけど、平凡に暮らすべく能力を隠している高校生・斉木楠雄が、トラブルメーカーぞろいの同級生に囲まれて能力を使うハメになるというギャグ満載のコメディー映画だ。楠雄を全力で演じきったコメディー初主演の山崎賢人、楠雄を振り向かせたいのにスルーされる腹黒美少女・照橋心美を演じた橋本環奈、そして福田監督の3人が、作品について大いに語り合った。

■山崎賢人、スイカの食べ方で振り切る!

■山崎賢人、スイカの食べ方で振り切る!

Q 山崎さんは福田組初参加ですが、以前から参加したいというお気持ちがあったのでしょうか?

山崎賢人(以下、山崎 ※山崎の「崎」は「たつさき」)
はい。「勇者ヨシヒコ」シリーズが好きだったので、福田さんとご一緒したかったんです。
福田雄一(以下、監督)
賢人くんはずいぶん前から、雑誌の記事とかで僕と仕事をしたいと言ってくれていたみたいなんです。それをファンの方がツイッターで送ってくれたんですよ。
橋本環奈(以下、橋本)
監督の作品は本当に楽しいですから。
監督
カンカン(橋本の愛称)は僕の作品を観ていないんですよ(笑)。
橋本
ちゃんと観ています!(笑)。福岡の実家にいた頃、一番上の兄が「ヨシヒコがめちゃめちゃ面白い」って夜中に笑っていたんです。その音でわたしも起きて、こっそり観ていたんですよ。

Q 今回、自分が振り切れたなと思ったギャグシーンといえば?

山崎
心美の妄想の中で、スイカを食べまくるところですね。
橋本
楠雄の食べ方が面白いんです!
監督
賢人くんが食べ方を提案してくれたんですよ。楠雄の夏休みを妄想する心美が、「スイカ食べて麦茶飲んでスイカ食べて」って心の中で言うセリフに合わせて妄想を再現するんですけど、僕もあれが一番面白い食べ方だと思っていた。でも、主演俳優に「やってくれ」とは言えないじゃないですか。「やれません」と言われるのがまずつらいし、やってできなかったらイヤな思いをさせてしまう。どうリクエストをしようか考えていたときに、現場で賢人くんが、ふっと「志村けんさんってどんな食べ方してましたっけ?」って言いにきてくれたんです。

Q あの食べ方は、志村けんさんのコントがヒントだったんですね!

山崎
子供の頃に志村さんのスイカの食べ方をマネていたことがあったので、イケるんじゃないかなと思っていたんです。共演者の方々が皆さん振り切っていて、僕がああいったことをできるのは照橋さんの妄想の中だけなので、やりたい欲が出てきたというか(笑)。
監督
照橋さんの妄想の中で自分を壊したい欲求ね(笑)。楠雄は基本的にクールだから。
山崎
そうなんです。「自分も遊びたい! 面白くしたい!」ってなっていました。
橋本
本当に楽しい現場でした。カットがかかるとモニターを見に行くんですけど、自分をチェックするのではなくて、他の俳優さん方が面白いから見たい感じでしたね。

■橋本環奈、顔中の穴が…!

■橋本環奈、顔中の穴が…!

Q 橋本さんが演じた照橋心美は、清楚な美貌の持ち主だけど、本音では男子生徒を思い通りに動かしたい腹黒少女。かなり強烈なキャラクターでしたね。

監督
僕は原作の中でも一番と言ってもいいくらい心美が好きなんです。「楠雄が人の心が読めるばかりに、容姿は100点なのに心美を愛せない」という設定が面白い。今回は、心美の真っ黒な内面部分を、カンカンに楽しんで演じてもらいました。『銀魂』では神楽の役で鼻をほじってもらったりしましたが、今回は目、鼻、口と、顔中の穴を広げるようにお願いしたんです。カンカンは顔の穴を開けば僕が喜ぶことを知っているからね(笑)。
橋本
はい、それは心得ています(笑)。でも、開くタイミングが難しいんですよ。表向きの照橋さんと裏の照橋さんがいて、表向きは普通にしてはいるんですけど、裏の声によって表の顔も崩れてきてしまう。その兼ね合いが難しいんです。今回は神楽よりもすごくて、「世に出して大丈夫かな?」と思うくらい、顔中の穴が開いちゃっています(笑)。
監督
試写を観た方が、「神楽よりもギアが三段階上がってる」って言っていたくらいだからね(笑)。
山崎
僕は撮影当時、『銀魂』がまだ公開前ということもあり、初めて照橋さんとしての環奈ちゃんを見たとき、「ヤバイ! スゴイ!」となりました。環奈ちゃんがこんなに面白い方だったとは……知らなかったです。
橋本
フフフ。ただ同じコメディーでも、福田監督じゃなかったらここまでやらないと思うんです。面白い・面白くないの判断って、自分ではなかなかできないところがあるんですけど、福田監督は「こうしたほうがいい」と的確におっしゃる。その信頼感があるから、思い切りやれる気がします。

Q 福田組初参加の山崎さんにとって、かなり刺激的な撮影現場だったんでしょうね。

山崎
刺激的でした。衣装合わせのときに、僕が監督に「何か準備したほうがいいことってありますか?」って聞いたら、「なんもいらない」っておっしゃったんです(笑)。それ以来、作品のことは監督にはあまり聞かないように、なるべくこちらから提案していこうって決めました。
監督
僕、聞かれるのが好きじゃないんですよ。賢人くんはスイカの食べ方以外でも、かなり提案してくれましたね。
山崎
勝手に踊ってみたりとかもしました。照橋さんにメモをもらいそうになるのを避けていくうちに踊っちゃう、みたいな。
監督
ばっさりカットしたけどね(笑)。
山崎
そうなんですよ。だから、楠雄の動きが変なところで終わっちゃっているんです。踊り出した部分なのにカットになってしまったので(笑)。
監督
でもそういう提案をしてくれるのが本当にうれしいんですよ。

■これだけ大規模なギャグ映画は日本初!

■これだけ大規模なギャグ映画は日本初!

Q 福田監督は、「笑いこそが人を救う」という信念をお持ちだとうかがいました。

監督
そう、泣くよりも笑うほうがいい。今回、山崎賢人というトップ級の俳優でギャグ映画をやる意味というのがあると思うんです。公開規模なども含め、A級の人たちとギャグをやりつくす。そこに意味を持って観てもらいたい、という思いはありますね。
山崎
100パーセントギャグの日本映画ってなかなかないですよね。
監督
あっても規模が小さい。日本の映画界って、アメリカとは違ってそういうのをやらせてくれないからね。今回はたまたま熱いプロデューサーたちが集まって可能になったけど、基本はやらせてもらえない。しかも、山崎賢人でギャグ映画をやりたいなんて、最初は無視されましたよ。

Q 山崎さんでA級のギャグ映画をやりたかったという、監督のお気持ちを聞いていかがですか?

山崎
……僕、A級なんですね(笑)。
橋本
え? そこ? さすがです!(笑)
監督
うん、そういうのいい。ステキ(笑)。
山崎
でも、僕も笑いが一番だと思うんです。笑いってどんな感情よりも幸せを感じるから。
監督
日本って、笑いは芸人さんがテレビでやってくれるものだと思っているんですよね。今回は、俳優さんたちが作る笑いを映画館で観ていただける。それが、ものすごくハードルが高いことは自分でも認識しているつもりなんです。でも、そこを切り開いて「こういうものもあっていい」という状況にならないと、日本の映画界は面白くならない気がします。SNSも含めて今は「これは許せない!」という考え方が多いけど、許さないと日本のエンタメは育たないですからね。許してもらうために、賢人くんの力が必要だったんです。これだけの規模でシリアスなアクションもないギャグ映画は、日本初だと思いますよ。
取材の合間、「みんなで肉を食い荒らすツアーをやろう!」と遊びの提案をする福田監督に、「いいですねー」と心からうれしそうに賛同していた山崎と橋本。その空気感だけで、撮影現場の楽しい雰囲気が想像できる。おそらく福田監督は、遊ぶこと、笑うこと、楽しむことが、根っから好きなのではないだろうか。その感性が連鎖し、俳優陣が自発的に笑いを追求していくことで、誰もが楽しめる福田ワールドが生まれるのだろう。福田監督のギャグ旋風が、日本の映画界を変える日が来ることを願わずにはいられない。

取材・文:斉藤由紀子 写真:高野広美

映画『斉木楠雄のΨ難』は10月21日より全国公開

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