ここから本文です

『関ヶ原』有村架純 単独インタビュー

2017年8月21日 更新

『関ヶ原』有村架純 単独インタビュー

『日本のいちばん長い日』などの原田眞人監督が、司馬遼太郎の大ベストセラーをベースに、“天下分け目の戦い”として知られる戦国史上最大の合戦を真正面から映画化した『関ヶ原』。岡田准一が徳川家康と激突する主人公の石田三成をこれまでとは違うキャラクターで演じた本作で、三成の侍女となる忍びの初芽にふんした有村架純が初めての本格時代劇、そして初めて挑んだアクションについて振り返った。

■お姫様のような役でなくてよかった

■お姫様のような役でなくてよかった

Q 『関ヶ原』の出演のオファーを最初に聞いたときはどう思いましたか?

時代劇はいつかやってみたいと思っていたのでうれしかったです。それに、2016年のブルーリボン賞の授賞式で原田眞人監督から「いつかご一緒したいですね」とおっしゃっていただいていたので、それがこんなに早く実現したのもうれしくて。原田監督の歴史を扱った作品を拝見しながら、撮影を楽しみにしていました。

Q 今回の時代劇で有村さんが演じられた初芽は忍び。アクションの要素もあります。そこに対して期待や不安はありましたか?

いわゆるお姫様みたいな役じゃなくてよかったなと思いました。泥まみれになるような役の方が、大変だけど自分に合っているような気がしていて。岡田准一さんが演じられた石田三成に仕える侍女の初芽をかっこよく演じたいなと思いました。

Q 撮影前にはどのような準備をされましたか?

実は『関ヶ原』の撮影に入るギリギリまで、『ナラタージュ』(10月7日公開)を富山で撮っていたんです。なので、富山までアクションのトレーナーの方や所作の先生に来ていただいて、撮影の合間の限られた時間の中でそれぞれの練習をしました。

Q アクションはどんなトレーニングを?

都内に戻ってからはできるだけジムに行って、キレや止めるところで動きをちゃんと止められる練習をしました。その次にシーンごとの動きを振り付けのように教えていただいて。京都の現場に入ってから共演者のみなさんと合わせていきました。

■岡田准一との最初の撮影はすごく緊張した

■岡田准一との最初の撮影はすごく緊張した

Q 忍びの佇まいや動き、表情などに関してはどんなことを心掛けましたか?

笑わない! 常に戦う目でいるというか、石田家の屋敷の中にいるときは身内にしか見せない表情もしますが、外では笑顔をなくして。歩き方も女性っぽくならないように、がに股で歩くようにしていました。

Q 三成の“犬”に徹するのもスゴいですね。

そうですね。三成さまとの距離感をわかっていて、自分の中でちゃんと線引きをしている。でも、三成さまに特別な感情を抱いてしまって……というところをうまく表現できたらなと思いながら演じていました。

Q クランクインはどこのシーンでしたか?

屋敷の中で、三成さまの背後からスッと近づき、首に短刀を突きつけるシーンでした。すごく緊張しましたね。初めて使う言い回しやあの時代の言葉が多かったので、何が正解かわからなくて。だから、なるべくギリギリまで考えて、初芽の感情に寄り添いながら言葉に気持ちを乗せていくということを意識してやっていました。

Q 岡田さんは「有村さんが緊張していたから、何か話し掛けた方がいいかなと思って話しに行った」とおっしゃっていました。

覚えています! でも、本当に緊張していたから申し訳ないことに、どんな言葉を掛けていただいたのかは覚えてなくて(笑)。ただ、自分から「初めての時代劇なので緊張しています」と伝えたのは覚えています。

Q でも、短刀を突きつけるところは素早い動きでビックリしました。

いえいえ、自分のイメージではもっと機微に動けていたつもりなのですが……やっぱりまだまだですね(笑)。

■力尽きた豪雨の比叡山での忍者バトル

■力尽きた豪雨の比叡山での忍者バトル

Q 楽しみにされていた原田監督の撮影現場はいかがでしたか?

原田監督の時代劇に対する熱量がスゴかったですね。エキストラの方々にも丁寧に演出をされていたし、持てる知識と技術をふんだんに使って、ご自分が思い描くあの時代を細かく作り上げていました。

Q 有村さんが原田監督から言われた、印象に残っていたり助けになったりした言葉はありますか?

台本読みのときに、「甘いキャラクターにならないよう、声のトーンをもっと低く」「ここはもっと速くしゃべって」「ここは感情がもっとワ~っと出てもいいんじゃない?」といったひとつひとつのシーンのニュアンスをすごくわかりやすく伝えてくださって。そこで初芽像をある程度作ってくださいました。

Q 初芽のアクションの最大の見せ場は、石田三成と対立する徳川家康側の忍び“赤耳”と山中で戦うシーンですね。

あのシーンは実際に豪雨の中で撮影したので、ぬかるみがすごくて大変でした。動きづらいし、こんなに泥まみれになったことはないなと思うぐらい泥まみれになって(笑)。そんな環境の中での殺陣だったからすごく疲れたし、息遣いも荒くなりましたね。台本では初芽の体勢が高くなったところを赤耳が取り押さえるという設定だったのですが、そのリアルな時間の流れの中でわたしは完全に力尽きてしまって。でも、原田監督はそれを採用してくださったんです。

■戦国時代の人たちの生き様を見て欲しい

■戦国時代の人たちの生き様を見て欲しい

Q 岡田さんと共演されてみていかがでした?

もっと一緒にお芝居をしたかったし、限られた時間での撮影だったので、初芽と三成との距離感には悩みました。でも、三成に三条河原の処刑場から救出される出会いのシーンでは、岡田さんと一切話さなかったです。三成にガシッとつかまれて石の河原に倒されるところはリアルに痛くて、ワ~って取り乱しちゃいました(笑)。

Q 岡田さんからアクションのアドバイスはありましたか?

「馬は絶対に乗れるようになった方がいいよ」と何度もおっしゃっていたので、機会があれば乗りたいし、これからもアクションのお話があったら全力でやりたいです。かっこよくはできないかもしれないけれど、身体を動かすのは好きなんです(笑)。

Q 完成した映画をご覧になって、どんな感想を持たれましたか?

戦国時代の人たちの生き様がかっこいいなと思いました。男性も女性も死と隣り合わせで生きているのに、それを恐れずに戦っている。いまは誰もが自分自身を守ってしまうと思うから、どこからその気持ちが湧き上がってくるんだろう? と観ながらずっと考えていました。

Q 初芽にもしっかり見せ場があり、女性にも楽しんでいただけそうですよね。

歴史を知らなくても100パーセント楽しんでもらえる作品ですし、迫力があって、役者の方々のお芝居もすてきだし、魅力的なものがたくさん詰まっている。だから、自然に見入っちゃうと思います。女性の方には特に、当時の女性の生き様や佇まいみたいなところも見ていただけたらうれしいですね。
数々の話題作やヒット作に次々に出演し、この数年の躍進ぶりには特に目をみはるものがある有村架純。現在もNHKの連続テレビ小説「ひよっこ」でお茶の間の人気をさらっている彼女は、控えめながら新たなことにチャレンジし、芝居の幅をどんどん広げていて、その“挑戦”する姿が『関ヶ原』にも焼きつけられている。笑顔で質問に答える彼女の言葉には、新境地を開いた清々しさが感じられた。
ヘアメイク:尾曲いずみ スタイリスト:瀬川結美子

取材・文:イソガイマサト 写真:高野広美

映画『関ヶ原』は8月26日より全国公開

本文はここまでです このページの先頭へ