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『3月のライオン 前編』神木隆之介&有村架純 単独インタビュー

2017年3月13日 更新

『3月のライオン 前編』神木隆之介&有村架純 単独インタビュー

羽海野チカの将棋を題材とした人気漫画を実写化した映画『3月のライオン』。『るろうに剣心』シリーズの大友啓史監督が、主人公の高校生プロ棋士・桐山零と彼を取り巻く人々との人間ドラマを濃密に映し出す。家も家族も居場所も失い、深い孤独を抱えながらも将棋に打ち込む零を熱演したのは、ヒット作での主演が続く神木隆之介。零を内弟子として引き取った棋士の娘で、零の義姉となる香子を演じたのは、人気若手女優の筆頭株である有村架純。共に将棋の猛特訓をしてから撮影に臨んだという2人が、作品に対する思いを語り合った。

■原作の真似はしたくなかった

■原作の真似はしたくなかった

Q 国民的人気漫画の実写化だけに、いろいろと考えてしまうことがあったのでは?

神木隆之介(以下、神木)
原作はとてもあたたかい感情が味わえる作品で、僕自身も好きだったんです。群像劇的な要素もあるので、読んだ方によってとらえ方も違うでしょうし、好きなシーンも違うと思う。漫画を読んでいるというよりは、人間ドラマを見ているような感覚というか。だから、僕が零を演じるにあたって、漫画のキャラクターの外見を作っていくような、原作の真似のようなことはしたくなかったんです。そもそも、真似ができるような作品ではないと思っています。大友監督とも、「単なる実写化ではなくて、人間ドラマの繊細さを大事にしながらやりたいね」と話していました。

Q 真似ではないのでしょうが、神木さんの零が原作漫画の雰囲気そのままだったので驚きました。

神木
それはうれしいです。原作の零の性格は意識しました。他者からはおとなしいように見えて、実はおとなしくはない。負けず嫌いで謙虚。決して内向的ではないし、他者との向き合い方はきちんとわかっている人間。動き方も、ヘコヘコし過ぎても零ではないような気がしたんです。実はきちんと立っていられる人なので、そこをどう見せていこうか、日常生活で動き方や歩き方を考えながら役づくりをしていきました。

Q 有村さんが演じた香子は、かつて棋士を目指していた女性で、父親が将棋の才能を認めた義理の弟である零に辛辣な態度をとってしまいます。今までにない役柄ですよね?

有村架純(以下、有村)
そうですね。原作ファンの方は、香子はわたしではないと絶対思っているような気がするんです。本編を拝見した今でも、不安はたくさんあります。
神木
確かに、香子は攻撃的ですよね。トゲを持っていないといけないですが、それが見えづらいトゲだったりする。有村さんのホンワカしたムードとは全然違うキャラクターだから、どうやって演じるんだろうと楽しみにしていたんです。有村さんからどういうネチネチ感が出てくるのか(笑)。
有村
香子を演じるために、漫画も読み込みましたし、参考にできるものは全部見ました。その中で材料となるものを自分で用意して、しゃべり方とか気持ちの余裕とか、いろんなことを工夫してやってみたら、ああいう香子になりました。あとは、香子の人間としての部分を大切にしたいと思いましたね。どうしてああいう性格になってしまったのか? というところを考えて、彼女の本当の気持ちを大事にするようにしました。

Q 恋愛面でも情熱的な香子。少女役のイメージが強い有村さんですが、今回は大人の女の香りがしました(笑)。

神木
大人の女!(意味深な笑み)
有村
フフフ。今まで正統派の役が多かったので、香子役は自分でも新鮮でしたし、演じていて楽しかったです。

■義理の姉弟の危うさを細やかに表現

■義理の姉弟の危うさを細やかに表現

Q 零と香子のやり取りも熱がこもっていましたね。

神木
大友監督の演出に助けていただきました。一連のシーンを長回しして、僕らの表情が出る瞬間を待っていてくださったんです。相手のセリフを受けて、自分の中から感情が生まれるがままに、自分自身の間合いで話していく。気持ちの動きをカットせずに撮っていただけるように、試行錯誤しながら進めていきました。

Q 香子が一人暮らし中の零の部屋に泊まって下着姿になるシーンが衝撃的でした。

神木
現場はホンワカしていました(笑)。
有村
神木さんがわたしと目を合わせて話すシーンはなかったから……こっちを見てなかったよね?
神木
うん。零として見られないなという気持ちもあったし。試写で初めて見ました(笑)。

Q この2人どうなっちゃうの? というドキドキ感がすごかったです。

神木
そう思っていただけたならありがたいです(笑)。
有村
そうそう(笑)。

Q 2人の愛憎がちらつく関係については、どうとらえていましたか?

神木
2人の関係性をどう表したらいいんだろうねと、有村さんとも話していたんです。歯車がかみあっているようでかみあっていないとか、逆にかみあっていないようでかみあっているとか。姉弟にも恋人にも見えて、他人にも家族にも見える。そういった細やかなものが、ふとした瞬間に出せたらいいなと思い、監督にチェックしていただきながら演じました。

Q 注目度がどんどん高まっている神木さんと有村さん。お互いに今回の共演であらためて感じたことはありますか?

神木
何度か共演させていただいていますが、今回はこれまでのイメージと違う有村さんを見せていただきました。さすがです!
有村
ありがとう(笑)。
神木
僕は何にも変わってないでしょ?
有村
うん、中身は変わってはいないけど、表現力がすごいなってあらためて思いました。神木さんとは約5年前に共演して以来なんですけど、いつも勉強になることばっかりなんです。役への入り方が本当にすごくて、憑依型っていうのかな? 頭の中はどうなっているんだろうって思う時がたまにあります。
神木
……そんなことを言われたのは初めてです(笑)。

■将棋にハマって初段を獲得!

■将棋にハマって初段を獲得!

Q 本作のために、将棋の勉強もかなりしたのでしょうね?

神木
しました!
有村
すごいものをもらったんだよね?
神木
実は、アマチュア初段をいただきました。とてもプレッシャーです(苦笑)。
有村
撮影中に、神木さんが勉強してどんどん上達しているってスタッフさんから聞いていたので「さすがだなあ」と。なんか、関わったものを好きになる力がすごいんだなって思いました。
神木
いいですよ。オタク気質だと言っても(笑)。
有村
いやいや(笑)。それってすごいことですよ。突き詰める力があるってことなんだから。
神木
将棋の練習は本当に楽しかったんです。先生に教えていただきながらフリー対戦をやらせていただいたのですが、奥深さにハマりました。小さいころお祖父ちゃんと将棋をやっていた時は、こんなに深いものだとはわからなかった。先生とのレッスンだけではなく、家に帰ってもやったりと、ずっと将棋をしていました。今でも大好きです。

Q その経験は、この先も何かに活かせそうな気がしませんか?

神木
そうですね。将棋は、どんな状況でも冷静でいないといけないし、どんな危機的状況でも、逆転の一手があるかもしれない。勝てる方法があるかもしれないんです。それを見いだせるようになるにはパワーもいるし、とても大変なことなのですが、自分を信じることは大事なんだなとすごく思いました。
有村
わたしも今回将棋のルールを知って、練習もさせてもらったんですけど、相当頭を使いますし、自分と向き合う時間が長いから、すごく怖い。自分自身との闘いなので孤独だけど、本当に自分を信じることができたら、相当面白いのでしょうね。
どれだけ売れっ子になっても、細やかな気配りと屈託のない笑みを絶やさない神木。劇中のエキセントリックな香子などまるで感じさせない、たおやかな物腰の有村。2人の醸し出すホワンとした空気感に癒やされつつ、それぞれがどれほどの熱を込めて本作に挑んでいたのか、あらためて認識させられるインタビューだった。2部作で公開される『3月のライオン』の前編となる本作では、17歳の零が将棋の世界でしか生きられなくなってしまった背景がじっくりと描かれる。何かとモノ申したくなる原作ファンすらも、スクリーンに集中させてしまいそうな実写化作品だ。

取材・文:斉藤由紀子 写真:高野広美

映画『3月のライオン 前編』は3月18日より公開

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