ここから本文です

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット単独インタビュー

2009年2月13日 更新

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット単独インタビュー

老人の姿で生まれ、年を取るごとに容姿が若返っていく男の一風変わった人生を描いた『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』。ブラッド・ピットのCGでの若返りぶりや、第81回アカデミー賞での最多13部門ノミネートなど、話題にはこと欠かない。今回そろったのは、主演のブラッドとヒロインを演じたケイト・ブランシェット、そして監督のデヴィッド・フィンチャー。作り上げた作品に対する、それぞれの込み上げるような思いや撮影時の様子を和気あいあいと語ってくれた。

■感傷に流されず堅実に描いた作品

■感傷に流されず堅実に描いた作品

Q この脚本のどこに一番惹(ひ)かれましたか?

ブラッド・ピット(以下ブラッド)
長時間座ったまま特殊メークされることかな。まあ正直嫌だったけどね(笑)。それと一人の男の一生を演じられることかな。
ケイト・ブランシェット(以下ケイト)
わたしはとても野心的だと思ったの。一つの人生を形成するさまざまな経験を通して、ある男の一生という長い期間を追っている。しかもそれを感傷に流されず堅実に描いている。それをデヴィッドが監督するんだから、絶対に面白いと思ったわ。

Q 感傷的でなく?

ブラッド
感傷はなし。
ケイト
珍しいわよね。
デヴィッド・フィンチャー監督(以下監督)
その通りなんだ。長年の感傷を捨て……。僕はただストーリーがとても気に入って、この作品にかかわりたいと思ったんだ。

■深みにハマって抜けられなくなった

■深みにハマって抜けられなくなった

Q そのスケール感に意欲を燃やしたということでしょうか?

監督
そうだね……ここはまじめに答えるけど、脚本で読むだけだと映像ほど大変そうに思えない。どれだけの展開なのかは映像で観て初めて気付くんだ。例えばベンジャミン・バトンは見た目が6歳だけど、外見は85歳という人物だ。それは実際にその姿を見て初めて彼に対するさまざまな思いが沸くんだ。だから脚本だけで不可能に挑戦とか、誰を道連れにしようとかは思わなかったよ(笑)。それより「これは人に自慢したい作品になる」と思ったんだ。
ブラッド
彼はこう言っているけど、ものすごく大変だった。これだけ難問があるかもしれないってことが事前にわかっていたら……(笑)。
監督
抜けられなくなるんだよ。もう2年も取り組んだしな(苦笑)。すでに2年半……もう3年半だ……ここまで時間をかけたら、もう作るしかないだろう! でも製作に6年かかると最初に言われていたら、多分やらなかっただろうね(笑)。

Q 深みにハマりましたか?

監督
ああ。

Q ベンジャミンに影響を与えた人々を演じた共演者について教えてください。

ブラッド
素晴らしいキャストに恵まれたよ。これは社交辞令じゃなく本当だ。
ケイト
特にベンジャミンの母親代わりになる女性を演じた、タラジ・P・ヘンソンの演技には本当に胸を打たれたわ。彼女のキャラクターはとても心が大きいと思ったわ。
ブラッド
そうだね。本当に素晴らしかったよ。

■運命と自分が決めた道の境界線は変化する

■運命と自分が決めた道の境界線は変化する

Q 誕生から死まで演じる機会はあまりないと思いますが、これまでの役作りとどう違いましたか?

ブラッド
当然混乱しないように気を付けたよ。年齢と経験が逆になるからね。でも大切だったのは映画自体の本質なんだ。これはある男の生涯と彼にかかわった人々を描いた映画だということをデヴィッドは最初に明確にしていた。そして何を避けたいかも話してくれた。依存し合う関係を描くのではなく、もっと深いものを観客に伝えたいと。そこが僕にはとても重要だった。それが僕の答えかな。ベンジャミンは出会った人々からさまざまな影響を受けて成長する。その意味を追求することがとても重要だったんだ。選択には責任が伴うものだし、難しいのは運命と自分が決めた道の境界線はどこなのかということだ。そして、それはいつも変化していると思う。
ケイト
この作品がほかの作品と違って独特なのは、わたしたちがベンジャミンの成長を通して彼を見守れることなの。
ブラッド
経験からの選択もね。
ケイト
そうね。

Q 原作では、生まれたときに彼はすでに心も大人だという設定でした。そこが映画版との大きな違いですね?

監督
読まなくて良かった!
一同
爆笑

Q 最後に作品を楽しみにしている読者にメッセージをお願いします。

監督
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は、一人の男の人生を追いかけた物語なんだ。その人生は、普通とは違う。彼は老人としてこの世に生まれ、若返っていくんだよ。人は皆、年齢を重ねることによって、何かが得られるのではないかと期待する。知識や教養を身につけて、聡明(そうめい)になっていくこと。家族や友人を心から愛せるようになることや、経験を重ねて心の平安を得られること。ベンジャミンの人生は、複雑な旅なんだ。彼の人生は、愛と死の物語であり、すべての子どもたち、母親たち、そして父親たちの物語でもある。また、彼の人生には、わたしたちに人間らしさを取り戻させてくれるさまざまなものが詰まっているんだ。ほかの誰もが年老いていく中、ベンジャミンは若返っていく……ずっと、たった独りでね。その姿を見て、何かを感じてくれればと願っているよ。

文・構成: シネマトゥデイ

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は丸の内ピカデリーほかにて全国公開中

本文はここま>
でです このページの先頭へ