
愛媛県の三島高校をモデルに、巨大な紙の上で筆を操る書道パフォーマンス甲子園に青春を懸けた女子高生たちの実話を、映画『マリと子犬の物語』の猪股隆一監督が映画化した『書道ガールズ!!-わたしたちの甲子園-』。町おこしのために書道パフォーマンスの大会を開催する書道部員たちを、成海璃子、山下リオ、桜庭ななみ、高畑充希、小島藤子が体当たりで演じている。本作のために書道の特訓を重ねた5人が、筋肉痛と寒さに悩まされたという撮影の裏話をたっぷりと語ってくれた。
■5人がガチで挑んだ書道パフォーマンス

Q
皆さんのパフォーマンスは本当に素晴らしかったです。クライマックスの書道パフォーマンス甲子園のシーンは、本番一発勝負で撮影されたそうですね。
- 成海
- 本当にすべての文字を自分たちの手で書きましたし、本番用の紙も一枚しかなかったので、「間違えたらどうしよう!」ってものすごく緊張しました。しかも、紙があまりにも大きいので、やっているうちに迷子のようになってしまい、どこから書き始めたらいいのかわからなくなってしまうんです。もう、必死でしたね。
- 山下
- わたしは最後の方で息切れしてしまいました。実は、撮影の前日に6キロくらいジョギングをしたので、本番の日は筋肉痛で足がガクガクしちゃって(笑)。でも、必死で頑張りました!
- 小島
- とにかく緊張しました。墨の入ったバケツを持ったり下ろしたりするときに、「こぼしたらどうしよう!」とか悪いことばかり考えてしまうんです。だから、パフォーマンスが終わったときは心の底からホッとしました。
- 桜庭
- わたしなんて、書いている途中で墨が切れたんですよ! 筆がカスカスになってきてしまって、すごく焦ったんですけど、思いっきり力強く書いて、何とか書き終わることができました。
- 山下
- 筆をこねくり回して、必死に墨を集めていたよね! 隣で見ていて、状況がわかったので、ちょっと笑っちゃいました(笑)。大変だったのにゴメンネ!
- 桜庭
- ホント、大変だったんだから(笑)。
- 高畑
- わたしは観客席から4人のパフォーマンスを観ていたんですけど、みんなすごくかっこよくて感動しました。わたしの場合は、商店街で書くシーンが印象に残っているんですけど、人前で書くというのがこんなにも緊張するものなのかと思いました。腕に電流が流れたかと思うくらい、しびれてビリビリするんです(笑)。
Q
映画のモデルとなった三島高校をはじめ、本物の書道ガールズも撮影に参加されましたが、皆さんのパフォーマンスはいかがでしたか?
- 成海
- それぞれ個性がありましたよね。パフォーマンスも迫力があるし、衣装もピンクやキラキラしたものだったり、ダンスや歌ったりする学校もあって、見ていて楽しかったです。でも、わたしたちは字で勝負しました!
- 桜庭
- やる前は不安もいっぱいあったんですけど、自分たちらしさを出せたと思います!
■練習中に思いがけないところが筋肉痛に!

Q
クランクインの直前まで、書道パフォーマンスの猛練習をされたそうですね?
- 成海
- ほとんど毎日のようにみんなで集まって、まるで部活のように練習をしていました。腰を落としながら書くので、下半身が筋肉痛になってしまって、びっくりしました(笑)。
Q
どこか特に痛くなってしまったところはありますか?
- 一同
- 腰!
- 山下
- あと、太ももが痛かった!
- 桜庭
- 全身を使うので、本当にキツかったです。しゃがむのでもなく、立っているのでもなく、ずっと中途半端な姿勢でいたので。
- 小島
- そうそう、ずっと中腰なんですよ!
Q
しかも、撮影は真冬だったのに、パフォーマンス中は素足でしたよね?
- 桜庭
- あれは気合です!
- 4人
- (爆笑!)
- 山下
- 体育館の中とか、本当に足がちぎれるかと思いました(笑)。
- 桜庭
- あと、書道パフォーマンス甲子園に向かう朝のシーンが寒かった!
- 小島
- あの日は雪が降ったんだよね! もう、ビックリするくらい寒かったね!
- 成海
- 撮影が終わると、みんな速攻でストーブの前に行きましたね(笑)。
■撮影を通して芽生えた本当のチームワーク

Q
書道パフォーマンスはチームワークが大切だと思うのですが、5人の間にも本当のチームワークが芽生えたのでは?
- 成海
- 撮影の前からずっと一緒に練習をしていたし、ロケ中は同じホテルで、同じものを食べていたので、本当の部活のようでした。チームワークって、作ろうと思ってできるものではなく、同じ時間を過ごすことでできるものだと思うんです。だから、わたしたちは自然にチームになれたような気がします。
- 山下
- 本当に仲が良かったです。書道パフォーマンスは、自分だけが突っ走ってしまうとバランスが崩れてしまうので、周りを意識していないといけないんです。そういう意味で、「みんなとつながっているな!」と感じる瞬間が何度もありました。
Q
愛媛県四国中央市で行われたロケは、まるで合宿のような雰囲気だったそうですね。
- 桜庭
- 本当の合宿みたいで楽しかったです。休憩時間はトランプで盛り上がりました!
- 高畑
- やっぱり、合宿といえばトランプですよね!
- 小島
- あと、卓球も楽しかった! 璃子ちゃんが市長さんとお会いする機会があって……。
- 成海
- そうなんです。「今、卓球にハマっているんです」って市長さんにお話したら、ホテルに卓球台を入れてくださって、それからはずっとみんなで卓球をやっていました。
Q
それはうれしい差し入れでしたね(笑)。卓球は誰が一番強かったんですか?
- 成海
- 小島が結構強かったよね。
- 高畑
- あー、強かった!
- 小島
- だって、璃子ちゃんってば、球を打てないんだもん!
- 4人
- (大爆笑!)
- 山下
- 璃子は打てないのに、「イヤー!」とか、声だけは大きいんですよ(笑)。
- 成海
- 打てないから、大声でみんなを威嚇(いかく)していたんです(笑)。
- 桜庭
- いつも大騒ぎでしたね(笑)。
■思いがあったからやり遂げることができた

Q
書道パフォーマンスに情熱を注いだ女子高生を演じて、どんなことを感じましたか?
- 山下
- 一つのことに打ち込むって、本当にステキだなと感じました。この映画には、書道だけでなく、親子の関係や仲間との友情など、いろんなことが描かれているので、観てくださる人にも何かを感じてもらえると思います。
- 桜庭
- やっぱり、チームワークって大切なんだと思いました。書道パフォーマンスに限らず、お仕事だって一人ではできませんよね。そういう仲間とのつながりや、周りの人たちの大切さを、皆さんにも感じてもらえたらうれしいです。
- 高畑
- やりたいことがあるなら、なりふり構わずチャレンジした方がいい、やってみれば何かが見つかるものなんだと実感しました。モデルになった高校生と同年代のわたしたちが、本気で練習して挑んだリアルな書道パフォーマンスを観てほしいです。
- 小島
- みんなで力を合わせて、最後まで吹き替えなしでやり切って、自分ではすごく満足しています。観てくださった方にも、「書道って楽しそうだな」と少しでも感じてもらいたいし、「自分は一人ではない」と思ってもらえたらうれしいですね。
- 成海
- 技とかテクニックではなく、思いがあったからこそ、書道パフォーマンスをやり遂げることができたんだと思います。何かに向かって熱くなることや、思うことの力は強いと感じました。そんなわたしたちの気持ちが、映画を観てくださる方にも伝わるといいなと思います。
取材・文:斉藤由紀子 写真:高野広美