
自分らしく生きたいと頑張る女性たちにスポットを当て、女子のバイブルとして人気の奥田英朗の同名小説が映画化。仕事や恋、オシャレや子育てに悩みながらも、人生と向き合う4人の女性たちの姿を描く。本作で29歳、“ガールの潮時”に悩む由紀子を演じる香里奈、34歳、年上の男性部下に振り回される新米管理職の聖子を演じる麻生久美子、34歳、独身で恋もオシャレもあきらめがちな容子を演じる吉瀬美智子、36歳、頑張りすぎなシングルマザーの孝子を演じる板谷由夏が作品にまつわる女子トークを繰り広げた。
■思わず共感! このキャラクター、わたしと似ている

Q
女性が思わず「わかるわかる」と共感するエピソードが詰まっていますが、演じられた感想はいかがですか?
- 香里奈
- わたしは今28歳で、由紀子が29歳という設定で年齢が近い分、わかる部分は多かったと思います。この世代って、やっぱり恋愛と仕事と結婚で悩む時期だし。職場ではもう新人でもなく、中堅という立場でスキルアップを求められて、次のステップに行かなければいけない年齢ですよね。自分の立場と似ているなと思いました。
- 吉瀬美智子(以下、吉瀬)
- わたしが演じた容子さんの家に帰ったときのラフな格好や化粧っ気もなく、缶ビールを飲んだりする姿は、わたしの素に近いですね。女優業をしていると、オンオフの切り替えも大事だから、家では脱力というか、女子力の女の字もないんです(笑)。
- 麻生久美子(以下、麻生)
- 聖子のように仕事で男性と戦ったことはないけど、仕事の中で、勝負時ということはありましたね。仕事って楽しいことばかりじゃないし。わたしの場合は、人間関係で悩むこともありました。ただ聖子のように、人前で相手を「言い負かしてやる」というタイプではなくて、わたしの場合は自分がひたすら頑張るという勝負の仕方です。
- 板谷由夏(以下、板谷)
- わたし自身は夫が協力してくれていますが、シングルマザーの孝子さんのように、女性が子どもを育てながら、仕事をする大変さはとてもよくわかります。家庭と仕事の両立や、時間がなくて、いつも追い詰められている感じは特に。
■女性の人生って、何を選択しても大変

Q
香里奈さんは、ナレーションも担当されていますが、印象的なセリフはありましたか?
- 香里奈
- 「人生の選択肢が増えて、かえって不自由になった。何を選んでも違う道があったのではと思ってしまう」というセリフですね。何を選んでも後悔というか、あっちの道を選んでいたら……と思うことはありますよね。
Q
吉瀬さん演じる容子さんは、一回り年下のイケメン新入社員クンにトキメいてしまうキャラクターでしたが。
- 吉瀬
- 普通にかわいいとは思うけど、一回り年下の男性って、恋愛の対象じゃないよねとわたし自身は思っています。ちょっと妄想をすることはあるかもしれないですけど(笑)。でもやっぱり、妄想止まりですね。
Q
麻生さんが演じた聖子さんはバリバリのキャリアウーマンでしたが、今までに演じたことのない役どころですね。
- 麻生
- そうそう。だから、最初に脚本を読んだとき、吉瀬さんと役が逆なんじゃないかって思いました。でも、冷静に考えると、聖子は自分にそっくりだったんです。本心としてはもっとかわいい自分でいたいから、認めたくないですけど(笑)。子どものころから、ものすごく負けず嫌いだから、聖子の気持ちはわかります。
Q
板谷さんは実際の子育てが、映画の中で役立ちましたか?
- 板谷
- うちの息子は3歳ですが、朝「お願い、早くご飯食べてー」とか、映画のようにいつも言っています。孝子さんのように、一人で頑張って本当は、ギブアップと言いたいけど言い出せない人もいますよね。だから、ギブアップと言えない人に「言ったらいいじゃない」と言ってくれる友達や、フォローする制度があるといいのにと思いながら演じました。
■撮影現場も女子会のノリで和気あいあい

Q
皆さん、とても和気あいあいとしていますが、撮影現場でのムードメーカーはどなたですか?
- 吉瀬
- リーダーはいなかったし、4人がほかの作品で一緒になったことがなくて、これが初めてだったんです。こんなふうに仲良くなることってあまりないので……何でこんなふうになっちゃったんだろ?
- 板谷
- なぜだろう、わからないね。
- 麻生
- わたしは、興味ある人ばかりだから、とにかく話してみたかったですよ。
Q
どんなところに興味を持ったのですか?
- 麻生
- 例えば、香里奈さんは思っていたイメージと違ったところが面白くて。
- 香里奈
- えっ!? わたしってどんなイメージだったんですか?
- 麻生
- もちろん女性らしい部分があるとは思うんですけど……、実際の香里奈さんはボーイッシュですごく魅力的。吉瀬さんもイメージが違ったんですよ。クールなキャリアウーマンの役が多いから、カッコいい女性というイメージだったのに、ド天然(笑)!
- 一同
- (爆笑)!
- 吉瀬
- えっ、わたし天然なの?
- 麻生
- だから、普段、何を考えているのか聞きたくなって。
- 板谷
- そうそう、イメージとは違うから、すごく興味がありますよね。
Q
皆さんの「ガール」な部分を教えてください。
- 香里奈
- 洋服やメイクによってテンションが変わるときかな。キラキラしたものが好きですよ。
- 麻生
- 普段のわたしは、人に甘えて頼って生きているタイプなんですけど、そういうのって、女性なら許してもらえるかなって(笑)。
- 板谷
- わたしも持つ持たないは別にして、キラキラするものが好きです。
- 吉瀬
- えー、イメージが違う! 何かオーガニックが好きな女子と思ってた(笑)。
- 麻生
- 何かわかる!
- 板谷
- えっ? わたしって、そんな感じ!?
■今を大事に自分らしく、生きていきたい

Q
劇中では、それぞれ人生の中で何を大切にしていくかということが描かれていますが、皆さんは普段から大切にしていることはありますか?
- 吉瀬
- わたしは毎日幸せで楽しくやっていくことですね。
- 香里奈
- わたしは今を大事に、自分らしく生きることです。場所とか雰囲気とかTPOに合わせることは大事だけど、自分の意見というのをちゃんと持っていたいです。
- 麻生
- わたしもブレないことを大切にしています、それから、いつも人の気持ちを考えられるようにしていたいなと思います。
- 板谷
- 最近イライラしたときは「優しい気持ち、優しい気持ち」と言い聞かせてます、呪文(じゅもん)のように(笑)。そう思うことで優しくなれるような気がします。
Q
最後に、映画『ガール』を観る方へのメッセージをお願いします。
- 吉瀬
- この映画を観ると、もっと頑張ろうとか前向きになれると思うし、どこか自分に当てはまる部分があるから楽しめると思います。きっと女子力も上がるはず。
- 板谷
- 観た後に、女に生まれて良かったなと思ってくれる人がいるとうれしいですね。いろんなことがあっても人は生きていかなきゃならないし、励みになればと思います。
- 麻生
- 女性として生まれてきたからには、女でいることを楽しみたいと思ってもらえたらいいですね。
- 香里奈
- 人って、何で自分だけ……と落ち込むことってあるじゃないですか。そんなとき、この映画を観て「何だ、みんな同じようなことで悩んでいるんだな」とか「つらいのは自分だけじゃない」と気持ちを楽にしてほしいです。頑張っている人たちがいるから、自分も頑張れるだろうし、だから女性だけでなく、男性にも観てほしいですね。

取材・文:前田かおり