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『ストロベリーナイト』竹内結子&大沢たかお 単独インタビュー

2013年1月24日 更新

『ストロベリーナイト』竹内結子&大沢たかお 単独インタビュー

ノンキャリアでありながら警視庁捜査一課の警部補として、周囲とぶつかりながらも正義を貫き通す姫川玲子が、難事件に挑み、刑事ドラマとしては新風を吹き込んだ「ストロベリーナイト」が、シリーズの原作者である誉田哲也の「インビジブルレイン」を軸に映画化。本作で姫川は、連続殺人事件に挑みながら、孤高のヤクザ、牧田勲に強く惹(ひ)かれていく。ドラマから引き続いて姫川玲子を演じる竹内結子と、牧田役の大沢たかおが、作品の魅力と、心に闇を抱える者同士の恋愛の機微を興味深く語った。

■鏡のような存在の、姫川と牧田の関係

■鏡のような存在の、姫川と牧田の関係

Q 竹内さんは約8か月ぶりに姫川役を演じましたが、キャラクターにはすぐ戻れましたか。また、スペシャルドラマから連続ドラマというかっちりと世界ができている、『ストロベリーナイト』に初参加した大沢さん、現場に入ったときの印象はいかがでしたか?

竹内結子(以下、竹内)
割と戻るのは早かったと思います。自分が作り込んで玲子さんを演じるというよりも、周りのキャストの方に対するリアクションで、玲子さんはこうなったという感覚がとても強くて。だから、「ああ、そうだ。この人はこういうキャラクターだった」と思い出しながら、玲子さんに戻っていきましたね。
大沢たかお(以下、大沢)
僕はもともと原作を読んでいて、大人の重厚感と色気のあるすごい物語だなと思っていました。初めて参加するにあたって、やはり現場がどういう空気感なのかとわからないところもあり、ドキドキしたし、楽しみでもありました。

Q 大沢さんが演じる牧田は、単純なワルではなくて、いくつもの顔を持つような男でしたね。青年実業家のように見えたり、恫喝(どうかつ)するヤクザだたり……。いくつもの顔を持つ男で、今までの大沢さんのイメージにはない役ではなかったかと?

大沢
そうでもないんですけど、あまりにもいい人というイメージの強い役を前に演じたからじゃないかな。僕は牧田という人物は、心に闇を持っていて、本当はそこから抜け出したいのに、抜け出せない役だと思って演じていました。

Q 姫川から見て、牧田はどんな人間だったのでしょう?

竹内
牧田さんという人は、玲子さんにとって近すぎてわからない人という気がしますね。牧田さんがどういう人かというよりも、目の前にポンと鏡を出される感じで、その人の中に自分がいて、知らないうちに同じ世界の中にいた……そんな人ですね。

Q 大沢さんは、姫川をどう見ながら、牧田を演じていたのですか?

大沢
牧田は姫川に対して、同じような闇を抱えていると、何か動物的な部分で感じるところがある。ただ牧田はそのままダークサイドに生きてしまったけれど、姫川は何とか頑張って表の世界で生きている。だから、僕は牧田を演じながら、姫川に嫉妬と同時に、憧れのようなものを感じて、どこかで自分をこの人に託せるんじゃないかと思っている。そんなふうに考えながら、竹内さん演じる姫川を見ていました。

■監督から言われたのは、ラブストーリーと思わないで!

■監督から言われたのは、ラブストーリーと思わないで!

Q 映画では、姫川と牧田という似た者同士が惹(ひ)かれ合うような関係に陥りますが、あれは恋と呼んでいいのでしょうか?

竹内
監督から「いわゆるラブストーリーだと思わないでほしい。見終わった後で、あれは恋だったかもという意識で演じてほしい」と言われました。実際、人には頭で考えていても違う方に動いてしまうことがあるじゃないですか。だから玲子さんもそうなんだと、考えて演じていました。
大沢
恋愛って、単純に好き嫌いだけじゃない。深い愛ってあるんじゃないかと思っています。自分はそっちに行っちゃいけないんだけど、引きずられて行ってしまったり。本能的な愛というか、理屈じゃない愛に惹(ひ)かれてしまうときがあると思うんですよ。人だからこそ起こりうる過ち。それを見事に描いているから、『ストロベリーナイト』ってすごく色っぽくて、今までに観たことがなかった作品だと思いましたね。だから、牧田に惹(ひ)かれてしまうことに苦悩する姫川を見ているのも面白かったし、牧田を演じることも楽しかったですね。

Q 現実的に、姫川のような女性が現れたらいかがでしょう? お好きですか?

大沢
う~ん(笑)。竹内さんがやっているからいいなと思うんだけど……。
竹内
アハハハ!
大沢
でも、目の前にいたら……いやー、大変かもしれない(笑)。
竹内
わたしも姫川は大変だと思います。気質でいうと、常に緊張感を持っている人なので、プライベートな空間になったとしても、常に相手に何かしらの緊張を強いる気がします。仮に、玲子さんが誰かと暮らすとしたら、きっと洗濯ものや食器の洗い方まで相手に気を使わせる。「これ、やったら主任怒るかな……」と。わたしが男性だったら、常にビクビクしているのかなと(笑)。

Q そうなると、やっぱり菊田(西島秀俊)しか、姫川の相手はできないのでしょうか。でも、劇場版はこれまで以上に切なかったですね……。

竹内
菊やん……(切なそうな声で)。そうですね、あの二人はきっと職場の居心地いい人間関係を維持したい方が強かったんじゃないでしょうか。大事にバランスを取っていたら、牧田にさらわれちゃった。そんな気がしますね。

■全編に降る「雨」に込められた意味とは?

■全編に降る「雨」に込められた意味とは?

Q 最後に映画を楽しむポイントを教えてください。

竹内
全編、雨なんですが、でも一つだけ雨が降っていないシーンがあるんです。「なぜ、ここだけ晴れているんだろう」というのに、注目してほしいですね。また、雨の降らせ方にも意味がある。例えば、ラストあたりの牧田と姫川のシーンの雨には注目してほしいし。「インビジブルレイン」ということで見えない雨なんですが、雨はずっとどこかに降っている。雨といっても、違う意味合いかもしれないし。見終わってから、じっくりと考えていただければと思いますね。
大沢
すごくエネルギーに満ちた作品なので、ぜひ劇場で観てほしいですね。そして、スクリーンの中で、懸命に生きようとする姫川玲子の旅で、女性はもちろん男性も共に2時間過ごしてもらえたら、一番いいなと思います。
竹内
あとは「正しいことって、何だろうな」と。牧田さんの生きている世界はダークなところじゃないですか? その中で、牧田さんが完全に悪かというと、そうではないと思ってしまうし、自分の中に持っているエネルギーを正義のために使おうと思っている玲子さんの中にもすごくドロドロしたものがあって、どうにもならない暗いものもあって。なんか人ってグレイだなと。正しいことをしたつもりなのに、こんな切ないことってない……。そんなところもじっくりと楽しんでいただきたいです。

取材・文:前田かおり 写真:吉岡希鼓斗

映画『ストロベリーナイト』は1月26日より全国東宝系にて公開

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