『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE2』劇団ひとり&小木博明&矢作兼 単独インタビュー
2014年9月22日 更新

テレビ東京の深夜バラエティー番組「ゴッドタン」。芸人たちがセクシー美女のキスの誘惑を我慢し続けるという同番組の人気企画を映画化し、スマッシュヒットを記録した劇場版の第2弾が早くも登場。ストーリーも共演者も知らされていない主人公が、勝手に進行していく物語の中で披露するアドリブ演技を、同時に10台以上のカメラを回して一発本番で撮影。再び真剣勝負に挑んだ劇団ひとりと、MCとして参加したおぎやはぎの二人が、本作への思いを熱く語った。
■面白くないはずがない!

Q
1作目がヒットしたとき、どう思われましたか?
- おぎやはぎ 矢作兼(以下、矢作)
- うれしかったですね。もともと「キス我慢選手権」という企画自体が、面白いと思っていたんですよ。だから映画も観てさえくれれば評価が高いのはわかっていました。
- 劇団ひとり(以下、ひとり)
- とにかくスタッフ全員がすごいエネルギーに満ちていますからね。監督は「ゴッドタン」だけでなく、ほかの番組も手掛けていて、眠れないくらい忙しい方なんです。正直映画を作る余裕はない。でも、アツい思いだけでこの映画を作っている。面白くないはずがないんです!
Q
そのヒットを受けての2作目が、こんなに早く作られると思いませんでした。
- おぎやはぎ 小木博明(以下、小木)
- 僕は、2作目はあると思っていましたね。思った以上に早かったな、みたいなのはありましたけど。あれだけ評判が良かったんですから当然ですよね。
- ひとり
- 前作の打ち上げの席で監督と「2も作りたいね」と話していたので、僕もやるとは思っていましたけど、こんなに早いとは思っていませんでした。相変わらず現場には何も聞かされずに入るので、今回もスタッフに『「ゴッドタン」のみんなとバーベキューをやるロケです』って言われていましたから(笑)。
- 小木
- でも、バーベキューなのに肘あてを付けるなんておかしいなってなるよね(笑)。
- ひとり
- 僕が「バーベキューですよね?」って聞いてもスタッフは「バーベキューです」としか言わないから(笑)。なので、さすがに現場では薄々気付きますけどね。
■パニック状態から生まれるアドリブ

Q
前作に引き続き、映画1本丸ごとのアドリブ演技は信じられないくらいにすごかったです。
- ひとり
- ずっとパニック状態でやっているんですよ。一番良いのは、そのシチュエーションに入り込むこと。そうすれば楽に演じられます。ただ、入り込むまで時間がかかるんですよ。なにせ、設定がよくわからないので。自分が誰なのか。周りの人が誰なのか。どういう状況に置かれているのか。
- 小木
- そうだよね。
- 矢作
- そりゃ、普通は入り込めないよ。
- ひとり
- 前半は特に。間違っていたら嫌だから、あんまり適当なこと言えないんです。なので相手の言動にすごく集中します。あんなに人の話を集中して聞くことって、なかなかないと思う。一つも聞き逃さないぞってくらいの勢いで臨みましたね。
Q
物語を知っている共演者が作る流れを探っていくような感覚ですか?
- ひとり
- むしろそれだけですね。流れを壊さないようにしようっていう。不思議ですよね。主人公である僕が物語を知らなくて。何をするのか一生懸命知ろうとするっていう。「何なんだろう?」って思いますよ。
- 矢作
- モニタリングしている僕らも何も知らないので、状況を予想しないといけないから、結構大変なんですよ。
- 小木
- ホントに。でも、僕らが大変なんだから演じる方はもっと難しいよね。
■一発撮りの真剣勝負

Q
失敗することはないんですか?
- ひとり
- ありますあります。山ほどあります。あらぬ方向に走っていってしまって、振り返ったらカメラがいなかったりとか(笑)。
- 小木・矢作
- (笑)。
- ひとり
- だからそうならないために、ナビゲーターのような人がいる。今回は安井順平くん。例えば、劇中で超能力をかけられるシーンがあるんですけど、そこで周りのみんなが動けなくなる。これは僕にも効いているのか、それともこれは僕には効かない設定なのかがわからない。そういう「どうしたらいいんだろう」ってときに、安井くんが「おまえも固まっていいんだよ」的な、見えないような合図をくれるんですよ。
- 矢作
- なるほど。
- 小木
- そういう真剣勝負なところが面白いよね。
Q
ひとりさんが、マキタスポーツさんへ逆に「アドリブを仕掛ける」という展開も面白かったです。
- ひとり
- あのシーンはマキタスポーツに会えたといううれしさで、ついいたずら心が働いちゃったんです(笑)。
Q
今回は伊藤英明さんが共演するというサプライズがありましたね。
- ひとり
- 伊藤さんは以前ドラマでご一緒したことがあったのですが、いきなり大物すぎて逆にやりにくかったですね(笑)。アドリブの場合は目の前にいるイメージしか知らない方のほうが入りやすいんですよ。だからむしろ上原亜衣さんのように、いわゆるセクシー女優さんの方がやりやすいんですよ。
- 小木
- そうなの?
- ひとり
- 知らない人だったり、普段関わらない方のほうが、会った印象でそのまま演じられるんです。
- 矢作
- いつもビデオで観ているのに(笑)?
■スタッフもざわついた衝撃のキス!

Q
おきやはぎのお二人も、アドリブ演技をやってみたいと思いますか?
- 矢作
- 思わないですよ。
- 小木
- 思わないですね。全く。
- 矢作
- だって劇団ひとりは好きなんですもん。別に彼はボケてやっているわけじゃないんだよね。大好きなシチュエーションに入り込んで、芝居をやっているだけで。
- ひとり
- 僕としては、ドラマごっこですよね。僕はただその世界に酔いしれているだけなんです。
- 矢作
- そう。真剣にやっているのが、この企画の面白いところなんだよね。
Q
そういう意味では今回のキスは衝撃的でしたね。
- ひとり
- 今まで一番自然なキスでしたね。目の前にいる少女を救いたい一心で、入っちゃいました。キスした瞬間にスタッフがざわつきましたけど(笑)。
- 矢作
- 結果、それがいいんだよね。
- 小木
- そうそうそう。
- 矢作
- アドリブだからこそのリアリティーがいいんですよ。
- ひとり
- 本当に楽しいんですよ。誰かに成り切っているのが。好きですね。ずーっとこんな毎日でもいいと思います。

取材・文:永野寿彦 写真:尾藤能暢