『Mr.タスク』ハーレイ・ジョエル・オスメント単独インタビュー
2015年7月13日 更新

映画『シックス・センス』『A.I.』の演技で天才子役として一世を風靡(ふうび)した俳優ハーレイ・ジョエル・オスメント。しばらくの間、彼の活躍をスクリーンで目にする機会がなかった印象を受けるが、ケヴィン・スミス監督による奇想天外なホラーコメディー『Mr.タスク』で、狂気の老人によってセイウチにされてしまう主人公の友人でオタクのテディ役を務め、再び注目を浴びている。そんな彼が、本作での役柄や撮影裏話を語ると同時に、俳優として自身のキャリアを振り返った。
■ジョニー・デップたちとの楽しい日々!

Q
本作に出演しようと思った決め手は?
- 僕に声が掛かったとき、すでにジョニー・デップの名が出ていたんだ。それに、ケヴィン・スミス監督の映画だったし、ジャスティン・ロングにジェネシス・ロドリゲスも出る。それが一番の魅力だったかな。でもその後に、とてもユニークな脚本だってことがわかって。比べようもないくらいオリジナルな作品だと思った。それがスミス監督の作品らしさなんだけどね。
Q
そのジョニー・デップとの共演はいかがでしたか?
- とても楽しかったよ。彼と働けるなんて夢にも思っていなかったから。ジョニーの娘(リリー・ローズ)も出演しているから、彼は俳優だけでなく父親としてこの作品に臨んだわけで、撮影をとても楽しんだんじゃないかな。
Q
ケヴィン・スミス監督と働いてみてどうでしたか?
- 彼はとっても気楽な人。ふざけるのが好きで、とても独創的な人だね。5~10ページにもわたる長い会話の場面を作ったりするから、俳優陣はみんな一生懸命だったよ。彼がくれた、とっておきのアドバイスは、撮影を楽しめっていうことだった。それって素晴らしいことだと思うね。だってベストを尽くして、それを楽しめるのが仕事なんだから。
Q
ということは、撮影は楽しめた?
- うん、とても。素晴らしい人たちと一緒だったし、それに僕たちはケヴィンと働くのが大好きなんだ。今回のキャストはケヴィンの次回作『ヨガ・ホーサーズ(原題) / Yoga Hosers』にも出演するんだよ。
■ホラーコメディーだけど演技は大真面目!

Q
本作は『シックス・センス』以来のホラー映画ですよね?
- うん。全く異なるタイプのホラー映画だけどね。
Q
どうやって違うタイプのホラー映画に向けて準備しましたか? 長い月日がたっていますし……。
- 『シックス・センス』での死者が見える少年と、オタクのテディは全く違うタイプのキャラクターだ。でも今回、共演したジェネシスと話し合って決めたのは、あえてコミカルに演じないということ。だってすでに、面白い要素がたくさん詰まっているわけだから、とてもストレートにリアルに見えるように僕たちは演じた。今回はその選択が正しかったと思っているよ。
Q
とても自然な演技で、あなたの私生活をそのまま見ているようでした。
- それは少しあるかもね。ありがとう(笑)。
Q
実際、テディの役柄はあなた自身に近いと思いますか?
- うん。ある程度の要素は兼ね備えていると思うよ。彼はとても気楽なやつだ。そしてとても寛容。でも僕とは違った寛容さかな。だってこっそり彼の親友を裏切ったりするわけだし。そこがテディの複雑な役どころといったところかな。
Q
(ジャスティンの演じた)セイウチ人間はとてもグロかったと思うのですが、もしその役をオファーされていたらやっていましたか?
- セイウチ人間役? 絶対やりたくないね! ジャスティンが演じて、すごいことになったのを僕たちは見ているわけだから(笑)。
■恵まれたキャリアとありふれた学生生活

Q
まだお若いですが、すでに長いキャリアをお持ちです。昔と比べて、何か変わったと思うことはありますか。
- もちろんだよ。全ての役を通して多くのことを学んできた。いろんな監督たちと働けて、とてもラッキーだったなって思っている。大きな違いは、経験かな。本当に素晴らしい俳優や監督たちと働ける多くの機会に恵まれてきたから、それを通してより良い演技をしていこうという向上心はあるね。
Q
(『シックス・センス』で共演した)ブルース・ウィルスとは、今でも連絡を取り合っていますか?
- そうだね。とってもタフな業界で、数か月に及ぶ撮影が終わるまで、多くの時間を一緒に過ごしたわけだし。当時は気が狂うかと思うスケジュールだったけど。ブルースはキャプテン気質のすてきな人。(『A.I.』の)スティーヴン・スピルバーグ監督も記念日にはカードを送ってくれたりする。彼は素晴らしい人だよ。やらなきゃいけない役割が何万とあるのに、人と連絡を取り合うのが上手なんだ。
Q
スピルバーグとまた働けるのを楽しみにしていますか?
- うん、そうだね。また働ける機会があればいいなと思っているよ。
Q
演技を学ぶためにニューヨーク大学に進学したと聞きました。すでに立派なキャリアがあるのに、どうしてそのような決断をなさったのですか?
- 大学に行くことは、人生で一度きりの経験だと思った。そこで学んだこと以外にも、演劇を観に行ったり、脚本を書いたり、監督をしてみたり。ハリウッドではないところでも、社交的になれた。ほかの人たちみたいに、普通に学業を全うすることができたと思っているよ。
■念願の悪役に挑戦!

Q
この映画での役どころは、今までと違ったものだと思います。人々のリアクションを何か耳にしましたか?
- もちろん。バラエティーに富んだ役に挑戦するのはとても興味深い。僕のことをしばらく観ていなかった人は、僕がすごく違う役に挑んでいると思うだろうけど、それは僕にとってうれしいことだ。
Q
『アントラージュ(原題) / Entourage』や『ヨガ・ホーサーズ(原題)』など、ここ最近映画への出演が続いていますよね? それはどうしてだと思いますか?
- 映画はポストプロダクションに時間がかかるから、大学を卒業してからの2013年、2014年あたりに撮影したものの多くが、今になってちょうど公開を迎えるという感じだよ。同時期に全く異なるタイプの映画に出演するというのは面白かった。『SEXエド チェリー先生の白熱性教育』っていう映画も今までにやったことのない作品だった。
Q
メジャー映画とインディペンデント映画の違いを気にしたりしますか?
- 全く違うチャンスだと思っているよ。『Mr.タスク』みたいな映画は、メジャーなスタジオでは作られないと思うし。そういう意味で、インディペンデント映画に出演するのは面白い。
Q
今後、挑戦したい役は?
- 将来を見越すのは難しいね。でも、すでにいくつかやってみたかった役には挑戦したんだ。最近は悪役を演じる機会がたくさんあって、俳優仲間と悪役をやるのはとっても面白い経験だって、よく話しているよ。
Q
スーパーヒーローは演じてみたい?
- たぶんね。今はたくさんのヒーロー映画があることだし。そういった映画に出るのも、もちろん楽しいと思う。アクション映画にまだ挑戦したことがないんだ。純粋なアクション映画っていうやつ。だから、そういった映画をやってみるのも面白いかなと思っているよ。

取材・文:石神恵美子 写真:金井尭子