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『カイジ ファイナルゲーム』福士蒼汰 単独インタビュー

2020年1月6日 更新

『カイジ ファイナルゲーム』福士蒼汰 単独インタビュー

大ヒットコミックを基にした映画シリーズ最終回にして、9年ぶりの新作となる『カイジ ファイナルゲーム』。原作者・福本伸行によるオリジナルストーリーで、福士蒼汰は、多額の借金を抱える主人公・カイジの前に立ちはだかる政府の高官・高倉浩介役を務めた。日本の経済を救う理想に燃え、庶民の代表であるカイジと激しいバトルを繰り広げることになる若きエリートである。夢だったという藤原竜也との共演を果たし、一皮むけた演技を披露している福士が、撮影の裏側を明かした。

■気持ちがすんなり理解できた高倉役

■気持ちがすんなり理解できた高倉役

Q これまでに見たことのない福士さんの演技でした。カイジの世界はどうでしたか?

ドキドキワクワクでした。高倉という役には台本を読んだ時点で気持ちが入れた気がして、役柄に関して悩むことはありませんでした。高倉は首相首席秘書官なので、そういった役職がもしかしたら自分にとって荷が重いかもしれないと感じていたのですが、若さゆえの勢いがあって、だからこそ務められる役職なのかもしれないと考えたら、意外とすんなり「よし! これならできるんじゃないか」と思えるようになりました。

Q 熱いカイジと対峙するクールな役柄がぴったりでした。

どうして気持ちが入りやすかったのかといえば、彼は信念を貫いている男なんです。彼なりに「こうすれば日本が変わる。よくなる」という思いがあり、それに基づいた言動なんだと思えば、理解しやすかったです。悪役という意識はまったく抱きませんでした。若いからこそ理想に燃えていて、しかもそれを実現できるポジションにいる。強い気持ちがあるんです。でも、カイジにもカイジなりの正義がある。2人がぶつかった時、これから先きっといい世界になるんだろうなという予感がしました。

■白熱した演技対決では自然と体が動いた

■白熱した演技対決では自然と体が動いた

Q カイジ役の藤原竜也さんとの演技対決となりましたね。

本当に楽しかったです。藤原さんが「これがカイジです」というのをドンと示してくれて、それが僕には頼もしかったです。「この範囲内ならいくらでも思うようにやっていいですよ」と役の余白をぽんと与えられたような気がして、そこもまた演じやすかった要因の一つかもしれません。カイジがいなければ、僕はあそこまで動いていないと思います。

Q 体だけでなく顔の動きも取り入れるなど、新境地でした。

自然とそうなっていたんです。僕の思い込みかもしれませんが、例えば政治家の方が演説する時、体が動いていますよね。人は伝えたいことがあって白熱すると、言葉だけじゃ表せなくて、つい体が動いてしまうものなんだと思います。今回は「こう動いて」というような演出はほとんどなくて、自由にやらせていただきました。カイジとグラウンドで対決するシーンだけ、監督から「カイジの胸倉をつかんで押し倒すところまでいってほしい」と言われていたので、そこをピークに持っていくためにお芝居のグラデーションを作ろうと考えながらやっていました。雨が降ったことが感傷的になる手助けをしてくれて、雨やグラウンドに響く自分たちの声を感じながらお芝居ができました。

■藤原竜也や岡田准一には畏怖すらある

■藤原竜也や岡田准一には畏怖すらある

Q 福士さんにとって、カイジみたいな人はどう映るのでしょうか? 性格的に真逆のような気がします。

確かに違いますね。いわゆるカイジのキャラクターってギャンブルをして、熱い……真逆かもしれません(笑)。そうはいっても、カイジの境遇ではやるしかないんですから、仕方ないのかもしれません。今回は関水(渚)さん演じる桐野加奈子だったり、(新田)真剣佑くんが演じる廣瀬湊だったり、登場人物に若者が多いんです。彼らに対して、カイジが「そうじゃないだろう。こういう生き方もあるよ。こっちの方がかっこいいぜ」と提示してくれているような気がしました。カイジの無骨だったり、人間らしかったりする生き様。それをいまの20代はどう見るんだろう。そんな作品になっていると思います。

Q 福士さんにとっても、カイジとの出会いは大きな刺激になったのでしょうね。

たくさん刺激を受けました。特に藤原さんとの共演は自分の概念を壊されたような感覚があります。藤原さんだってもちろん既成概念をお持ちだと思いますが、それを無視して、飛び越えて、壊していくことができる自由さがあるんです。僕は多くの人と同じようについ既成概念のなかで生きようとしてしまうので、その自由さがうらやましかったです。でも今回、役を通じてその枠を超えていく瞬間を見られたので、それは大きな発見でした。

Q 『ザ・ファブル』に次いでこの作品と、映画では悪役が続きましたね。

偶然といえばそうですが、主演の方の影響が大きいかもしれません。絶対に面白くなるとわかっているから、岡田(准一)さん、藤原さんの作品なら無条件で出たい。そういう意味では必然的かもしれません。僕から見ると、岡田さん、藤原さんって、普通の人間とは思えないです。「長い間、主演の立場でい続けるってどういう思いなんだろう」と想像しただけで、すごいと思ってしまう。どんなに大変でもいつも笑顔で現場にいる姿を間近で見て、あこがれると同時に自分にできるのかという畏怖もある。自分はまだまだだと何度も省みてしまうんです。

■福士蒼汰、どん底からの逆転体験を語る

■福士蒼汰、どん底からの逆転体験を語る

Q 福士さんはカイジほどではなくても、どん底からの逆転体験はありますか?

これはどん底とは少し違いますが、役者を始めてからが自分にとってのそれにあたるのかもしれません。高校2年生くらいから仕事を始め、決められたレールに乗って、周囲の「これはこういうものだよ」というルールに疑問を感じないようにして従ってきたことが多かったように思います。高校生くらいまでが本来の自分なら、どんどん真逆の方向に向かっていく感じ。それは決して悪いことではなくて、言葉では表現しづらいけれど、どこかで爆発すると逆転現象が起きるから、とにかく何事も経験して実感することが大事なのだと思います。いまの自分に目を背けず、カイジみたいな逆転劇が僕の人生にもあればいいと思うようになりました。

Q 具体的な解決策は考えていますか?

いろいろあると思っていますが、わかりやすくいうと本能的になること。いかに動物的になれるかというのが核心でしょうか。動物園に行った時、動物は動かなくても、ものすごく気になるし、見てしまいますよね。あんな存在の人間になれたら、輝いていてみんなが見てくれる。社会の歯車になればなるほど、誰も見てくれない存在になってしまうから、極端にいえばそういうことかもしれません。そのためには、自己肯定感をどこまで高められるか。周りの「いい、悪い」に振り回されず、自分を認めて「これでいい」と思えるようになること。傍から見れば変に思うようなことも、そこに強い意志があれば、真逆のものとぶつかっても、きっと先にいいものができる。ぶつかることを恐れて信念を持たないでいるより、自分の信念を持って貫きたいです。

Q では、藤原さんとの共演で既成概念を壊されたことはいいきっかけになりそうですね。

実は徐々にいろんな人に壊されてはいるんです。でも、いまだに自分のなかにロックがあったり、再構築してしまったり。そこはやっぱり、人間だなと思います(苦笑)。『カイジ』では頭でそんなに考えることなく、本能的に動いて芝居をしてみたんです。だから、僕にとっては成功例の一つです。人間のサイズが役者のサイズに比例する気がするので、今後、人としてどれだけ大きくなっていけるかに徹したい。まずは怖がらないことです。

取材・文:高山亜紀 写真:高野広美

映画『カイジ ファイナルゲーム』は1月10日より全国公開

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