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『バイプレイヤーズ』田口トモロヲ&松重豊&光石研&遠藤憲一 単独インタビュー

2021年4月8日 更新

『バイプレイヤーズ』田口トモロヲ&松重豊&光石研&遠藤憲一 単独インタビュー

映画やドラマに欠かせない名バイプレイヤーたちが本人役で出演して、大きな話題となった連続ドラマから4年。前代未聞のこのコンテンツが第2シリーズ、撮影所「バイプレウッド」でのドタバタを描く第3シリーズを経て、ついに映画『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』になった! しかも100人を超える名だたる名脇役たちが参戦する“バイプレ祭り”。1作目から出演する“元祖バイプレイヤーズ”の田口トモロヲ、松重豊、光石研、遠藤憲一が、同作への深い思いを語った。

■皆さんの粘り勝ちです

■皆さんの粘り勝ちです

Q 深夜ドラマとして始まった企画が、総勢100人のキャストが集結するという映画にまでなりました。いま、どう感じていらっしゃいますか?

光石研(以下、光石)
まさか映画になるなんて、というのが率直な感想です。「バイプレイヤーズ」は、大杉漣さんが立ち上げてキャプテンとしてやってきたものなので、漣さんを失って、もう先はないと思っていました。それが、周りの皆さんのお力でこういう形になった。僕らは今回、ああしたいとかいう希望は全然無かったです。
遠藤憲一(以下、遠藤)
僕はありましたよ、「やりたくない」って(笑)。やるなら漣さんと一緒にやりたかったですから。なので僕はフィリピンに行っている設定で、出番を少なくしてもらったんです。でも、現場に行ったらすごく楽しかったので、もっと出たかったなと思いました。後の祭りですけど(笑)。
松重豊(以下、松重)
僕としては、テレビの深夜のこじんまりしたものが大きな形で再生されて、僕らもご相伴にあずかっているという感覚です。それに、「バイプレイヤーズ」は僕らが作ったものからどんどん変わっていっている気がするので、「元祖」という形で立ち会わせてもらった感じです。
田口トモロヲ(以下、田口)
僕ら4人は現場で“元祖バイプレイヤーズ”と言われていたんですが、あくまで漣さんありきのチームだったので、次に踏み出せなかった。それを、プロデューサーさんやスタッフの皆さんが、どうしたら参加できるか模索して、何稿も脚本を作ってくださった。彼らの粘り勝ちです(笑)。「次」のお話をいただくことは俳優としてはありがたいことですから、そこまでしていただいてお断りする理由はなかったです。

■漣さんのまいた種が花開いた

■漣さんのまいた種が花開いた

Q 今作は、濱田岳さんが犬の風(ふう)を主演に100人の俳優が出演する映画を制作しようと奮闘するエピソードが中心になっていますね。

松重
4人になったし、僕らメインでわちゃわちゃやるのはもう難しいと思うんですよ。だから、次の世代のバイプレイヤーズで作っていけばいいと思う。今回はお祭りでしたけど、たとえば20代の俳優版とかってくくりで連ドラをやったら、きっと参加したいと思ってくれる人はたくさんいると思います。
遠藤
これだけの方が出てくださっていると、出てない俳優さんも「出ないといけない」と思われるかもしれないですね(笑)。
光石
そしたら、今度は200人になるかもね(笑)。
松重
漣さんがまいた種がこうやって花を咲かせているわけで、この先、韓国版や台湾版やヨーロッパ版があってもいいと思う。漣さんの名前とともに、このフォーマットを世界に広めたいですね。それで、僕ら元祖は必ず1シーンは出していただくというお約束で契約してもらうのはどうですかね(笑)。
田口
そんなカッコいいこと言ってるけど、何とまっちゃん(松重)はまだ完成した映画を観てないんですよ(笑)。
遠藤
そうなの? なんで観ないの?
松重
もともと、自分が出た作品はあんまり観ないんです。
光石
そのわりには、冷静に多くを語ってるよね(笑)。

■達者な俳優たちの表現のお祭り

■達者な俳優たちの表現のお祭り

Q 大勢の多彩な俳優さんが出演していますが、どうして皆さんは集まってくださったんだと思いますか?

田口
コロナ禍だったからじゃないですかね。皆さん仕事の空いた隙間の時期だったので、「事務所からこれはやってと言われました」という方もいました(笑)。
遠藤
それに、プロデューサーがやる気にさせる能力に長けているんですよ。僕は今回、1日だけの撮影の予定だったのが、「フィリピンに行くためにはこのシーンが必要です」「帰ってこないとお話がつながらないです」って、マジックのように出演シーンが増えていきましたから(笑)。
光石
いろんな方が出てくれたのはとてもうれしかったです。現場に行くとみんなのお芝居がすごく面白くて、参加してよかったと思いました。刺激にもなったし。
遠藤
演技の達者な方ばかり出てくださっていて、「すごいな」と心底思わせてくれる映画ですよね。そういう方たちの表現のお祭りだと感じました。
松重
どんどん広がっていくのがいいと思います。ネクストバイプレイヤーズってことで。

■気付いたら大きな存在でした

■気付いたら大きな存在でした

Q 皆さんにとって「バイプレイヤーズ」は、どんな作品ですか?

遠藤
演技は普通、キャラクターをいただいてそれに入っていくのですが、これは素のまま、しかも僕の苦手な集団芝居でした。最初は戸惑っていましたけど、漣さんが「大丈夫か、遠ちゃん」ってよく声をかけてくれて、乗り越えられました。素の状態でいることと、集団芝居の楽しさを身に付けることができたと思います。
光石
僕は、漣さんの背中について行ったらこうなったんですよね。幸運だったなと漣さんに感謝しています。自分の中で大きな作品にはなったけど、気付いたらそうだった、という感じも大きいです。
松重
僕の映画デビュー作『地獄の警備員』で、演劇の先輩だった漣さんが映画の世界でも生き生きしてらして、すごい方だなと思っていました。その背中を追い続けて、この作品でようやく現場で肩を並べることができたと思ったら、その姿が一瞬にして見えなくなって。僕はいまも探し回っている気がします。いつか自分もそんな先輩にならなきゃいけないと思いますが、この作品を経験して、どういうふうに役者として立つべきか、わかった気がしています。
田口
僕にとって「バイプレイヤーズ」はやっぱり漣さんありきで、漣さんが「やりたい」と言ってこのメンバーが集まって、思わぬところまで行けたなという感じです。漣さんとはこれからも一緒に演劇の舞台に立てるかなと夢想していたのですが、いきなり断ち切れてしまったショックは大きかったです。でも、バイプレイヤーの先頭を走っていた漣さんに「おまえ、つまんなくなったよ」と言われないように、これからも自分のやり方で仕事を続けていきたいと思っています。
互いにツッコミを入れながら、取材の場で楽しそうに話す4人の姿は尊い。「名脇役たち主演の連続ドラマ!?」という驚きと、それを凌駕する面白さに「さすが!」とうなった第1シリーズの頃は、こんなことになるとは想像もできなかった。企画の牽引役だった大杉漣さんが旅立った第2シリーズ、100人を超える名脇役たちの心意気とスタッフの思い入れ、さらに元祖バイプレイヤーズの濃い願いが結集した第3シリーズ、そして映画版。全員が深い思いを込めて制作した作品が、面白くないわけがない。

取材・文:早川あゆみ 写真:映美

映画『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』は4月9日より全国公開

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