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『くれなずめ』成田凌 単独インタビュー

2021年5月12日 更新

『くれなずめ』成田凌 単独インタビュー

『バイプレイヤーズ』シリーズなどで知られる松居大悟監督が、実体験に基づくオリジナル舞台劇を自ら映画化した最新作『くれなずめ』。友人の結婚披露宴に集まった高校時代の親友たちがドタバタ劇を繰り広げる中、主演を務める成田凌は、ある秘密を持った心優しい青年・吉尾を自然体で好演している。「年齢差はあったけれど、共演者たちは本当の同級生のようだった」と語る成田が、親友役の高良健吾、若葉竜也、浜野謙太、藤原季節、目次立樹らとハイテンションで臨んだ撮影の日々を振り返った。

■独特の緊張感と遊び心に胸熱

■独特の緊張感と遊び心に胸熱

Q 松居監督の独創的な感性が今回もさく裂していますが、成田さんはどのような印象をお持ちですか?

松居監督ならではの独特の世界観に、何か熱いものが湧き上がるのを感じました。6人の友情を軸に、最初から最後まで緊張感を保ちながらも、明るくポーン! と弾けたり、感動させると見せかけて感動させなかったり……(笑)。張り詰めた中にも遊び心がたくさんあって、すごくいい作品に仕上がったなと思います。

Q 松居監督は、「主人公の吉尾は、6人の中でもあまり喋る方ではないが、『あいつがいないと、なんだか変な間ができて寂しいな』と思わせる存在。もうこれは成田さんしかいない」とおっしゃっていましたが、ご自身はどう受け止めましたか?

最初に聞いたときは、喜んでいいのか、喜ぶべきではないのか、よくわからなかったんです(笑)。「あ、僕ってそんな感じなのか」と思って……。でも、よくよく考えてみると、役者としてそれだけ高く評価してくださっているからこそのお言葉だと思うので、今はポジティブな意味に捉えています。

Q 初めてタッグを組んだ松居監督の演出はいかがだったでしょうか?

もちろん、吉尾というキャラクターについて松居監督と何度も話し合いを重ねましたが、「吉尾をこんな風にしてほしい」とか、「吉尾ってこうだよね?」とか、枠にはめるような演出は一度もなかったです。むしろ、「みんなといる時の吉尾ってどんな感じかな?」というやり取りの中で、実際に僕が演じてみて、「こんな感じはどうでしょう?」と提案しながら、撮影現場で一緒に作り上げていった感じでした。

■役づくりをせず「無味」でいることに挑戦

■役づくりをせず「無味」でいることに挑戦

Q 成田さんが演じた吉尾は、ある秘密を持ちながら親友たちと絡む役ですが、難しさはありましたか?

現在と過去を行ったり来たりする物語の中で、吉尾はみんなの記憶の中の人物でもあるので、「本当の吉尾はどうだったのか」という曖昧な部分もあるんですよね。一人一人との接し方も違うし、6人の中にいる時の一面もある。とりたてて役づくりはせずに、シーンごとに対応していった方がいいのかなと思いました。

Q シーンごとに考えて演じていたのでしょうか?

そうなんです。例えば、親友の一人であるネジ(目次)の中では、「吉尾はウルフルズが世界一だと思っている奴」という印象なんですが、吉尾の本心は「好きだけど、別にそんなでも」みたいな感じ。少しずつ吉尾に対して認識の誤差があるんです。だから、役づくりをせず、その都度その都度、対応していった方がいいというか、演技を決めていくと、ちょっと強くなりすぎてしまい、アクが出る気がしたので、なるべく「無味」でいることを心がけました。

■本当の「同級生」のような関係を築いた撮影現場

■本当の「同級生」のような関係を築いた撮影現場

Q 成田さんを含めた6人の友情は、観ていて羨ましくなるくらいリアルで楽しそうでした。撮影現場ではどんな雰囲気だったのでしょう。

お芝居のリハーサルも大事ですが、何より「同じ時間を過ごすこと」が今回は特に大事だったので、いつもの撮影現場よりみんなでご飯に行く機会は多かったです。そういう時間の積み重ねでなんとなく関係もできてくるし、遠慮みたいなものもなくなっていく。成田凌の立ち位置と、吉尾の立ち位置って実際にそんなに変わらないと思うので、撮影の合間でのコミュニケーションが撮影でもすごく生きたと思います。共演の前田(敦子)さんから、「みんな、ハイだったよね」って言われたのですが、本当に「箸が転がっただけで笑える」みたいな精神状態でやっていました(笑)。

Q みなさんでどんな話をしたんですか?

お芝居や役については一切話さなかったですね。やっぱり下ネタが多かったかなぁ……だからここでは喋れません(笑)。僕が最年少で、最年長のハマケンさん(浜野)とは10歳以上年齢差があったのですが、先輩たちはみんな優しく、僕が甘えさせていただいた感じです。

Q ご自身の学生時代のことを思い出したりしましたか?

男子の“あるある”みたいなことが詰まっている作品なので、実体験を重ね合わせるというよりも、「こういうこと、あるよね」みたいな共感はたくさんありました。

Q 学生時代、「一番記憶に残った女子」を前田敦子さんが演じています。成田さん自身、今も心に残っている人っていますか?

もちろんいます。でも、僕の高校時代の最後の方って、男女一緒に遊んでいた感じだったので、恋愛という感覚はなかったんです。ただみんなで楽しくはしゃいでいる感じでした。だから、ほかの生徒から見れば、けっこうイケイケな感じに見られていたかもしれません(笑)。

Q 成田さんはどういうタイプだったんですか? 吉尾と共通点はありますか?

なんだかワーワーしていましたね(笑)。吉尾との共通点があるとしたら、彼はたまに熱いこと言ったり、行動に移したりする時がありますが、僕も時々ある気がします。例えば、みんなが揉めそうになったら、揉めないように仲裁に入るとか。

■ビンタされるシーンで恐怖からNGが20回!?

■ビンタされるシーンで恐怖からNGが20回!?

Q 同級生の紅一点、前田さん演じるミキエに思いっきりビンタされていましたが、撮影はいかがでしたか?

怖すぎて避(よ)けちゃうんですよ。思いっきり助走をつけて、思いっきり振りかぶって、「パシーン!」みたいな感じなので、何回やっても避けてしまう。「次は絶対に避けないぞ!」と思っていても、本番になるとダメ。だから20回くらいはやりましたかね。でも結局、引きの画一発しか使われてなくて、ちょっと残念です(笑)。

Q 6人組のシーンは、どこを切り取っても印象的ですが、成田さんの心に一番焼きついたシーンはどこですか?

6人がそろって、それぞれの思いを抱えながら“赤フン姿”で踊るシーンはすごく印象に残っていますね。胸にジーンと来るものがありました。実は松居監督も一緒に赤フン姿になって演出しているんです。あの姿を見て、「僕たちと一緒になって戦ってくれているんだ!」という思いが込み上げて、さらに感動したのを覚えています。共演者も含めて、「また、みんなとご一緒したいな」と心から思えるシーンになりましたね。
スーッと役に入り込み、フワッと馴染ませる成田の術は、もちろん努力の賜物ではあるが、彼が持っている天性の嗅覚がクオリティーをさらに高めているのではないか? 本作の吉尾を見て、ふとそんなことを思った。「吉尾って、きっとこんな感じだよね」とラフに思わせながら、結局、成田にしか表現できないオンリーワンの存在になっている……。理論派の俳優には辿り着けない、これぞ“成田領域”! これからの活躍にますます目が離せない。

取材・文:坂田正樹 写真:映美

映画『くれなずめ』は全国公開中

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