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「全裸監督 シーズン2」 山田孝之単独インタビュー

2021年7月8日 更新

「全裸監督 シーズン2」 山田孝之単独インタビュー

2019年、放送禁止のパイオニアとして、時代の寵児となった村西とおると仲間たちの狂乱を描いて、映像業界を中心に大きな話題になった、Netflixオリジナルシリーズ「全裸監督」。あれから、2年。まさに全世界待望ともいえるシーズン2でも、ふたたびトレードマークであるブリーフ姿で、エネルギッシュな村西の転落人生を演じている山田孝之。映画監督やプロデューサーとしても活躍している彼にとって、間違いなく俳優としての代表作になった本作での、自身における挑戦やその思いを語った。

■自信につながったシーズン1

■自信につながったシーズン1

Q シーズン1の配信後、大きな反響があったと思いますが、特に海外の方の反応はいかがでしたか?

ハワイでとあるブランドショップに入ったとき、男性店員の方から「Are you Netflix?」と声を掛けられました。思わず「Yes!」と答えたら、半ば興奮気味に「やっぱり、そうだ!」みたいな反応をいただいて。それで、ほかの店員もやってきて「シーズン2! シーズン2!」と言われました(笑)。あと、シンガポールを訪れたときや、家の近所のバーに行ったときも、欧米の方に「Netflix?」って言われました。僕は正直「村西!」と呼ばれたかったのですが、それでも嬉しかったですね。

Q そういった反応を目の当たりにしたお気持ちは?

僕は、いろんなところで「日本の映像作品は、海外に比べてレベルが低い」と言われることに、疑問を持っていたんです。それは画作りのことなのか、脚本なのか、芝居なのか。それとも、全体的なことなのか。それを確認したいこともあって、全世界190か国に配信される「全裸監督」に出演しました。でも、そうやってシーズン2を期待されている方が多くいる状況を見て、そこまで卑下することはないと思えたんです。確かに、Netflixの予算が大きいということはありますが、脚本作りの段階からしっかり熱意を持って作れば、「ここまでの作品が作れる!」という自信につながりました。

■周りが離れていく芝居

■周りが離れていく芝居

Q 今回、山田さんはどの程度、制作に関わられていたのでしょうか?

シーズン1でいうと、かなり初期の段階から「どう物語を作っていくか?」という話し合いに参加していましたが、脚本制作に入る段階で抜けました。主演として、村西とおるを演じなきゃいけないので、その人が脚本会議にいると、どうしても主観的な発言になってしまうので……。それはシーズン2でも変わらなかったのですが、現場でいろいろ話し合うことで、脚本に書かれてないことがたくさん生まれるんです。みんなで練って、作って、本番のときだけ、カメラ前に立つ感じでした。

Q 村西とおるを演じるうえで、シーズン1との違いはありましたか?

シーズン1では、よくわからないけど、どこか引き付けられるキャラクターを出したいこともあり、だいぶ早口でエネルギッシュな感じに演じました。シーズン2では自意識過剰になりすぎた部分と、業界トップになることに執着しすぎて、引くに引けなくなっていく。それにより、周りの人々が離れていく芝居を、あえてやりました。例えば、ダイヤモンド映像の専属女優に対し、罵声を浴びせるシーンでは、現場でセリフを足して「ホントこの人酷い!」と思わせるぐらい徹底的にやりました。また、(相棒だった)トシの感情をぐちゃぐちゃにさせるシーンでは、村西とおるを演じる山田孝之と荒井トシを演じる満島真之介の関係性があってのシーンにしました。

■撮り切って、しっかり世界に届ける

■撮り切って、しっかり世界に届ける

Q シリーズ1から続投された森田望智さんや伊藤沙莉さん、シーズン2から参加された恒松祐里さんら、女優陣との撮影現場でのエピソードを教えてください。

今回の村西は、その場しのぎで人を騙すのですが、(森田演じる)黒木香だけには、その嘘が最初からバレているんです。森田さんは、その嘘を見抜いた表情で芝居をしてくるから、一緒にやっていて楽しかったです、沙莉は現場で、あの笑い声が聞こえると、僕もどこか安心するというか、スッと力が抜けるというか、安定さ抜群の存在感でした。恒松さんは僕がメイク室にいたとき、スッと現れて、森田さんの肩をいきなり揉み出したんです。森田さんが「何ですか?」と聞いたら、「普段からイラつかせようと思って!」と言っていたんです。なんて、素晴らしい女優だと思いましたね(笑)。

Q コロナ禍における撮影は、いかがでしたか?

撮影後にご飯も行けないことに関しては、とてもつらかったですが、シーズン1のときにみんなが濃密な時間を共に過ごしていたこともあり、あまり話さなくても、芝居の返し方がわかるようになっていました。ただ、撮影が1回、完全に止まってしまったこともあり、クランクアップまで行けるのか? という空気がありました。それでも、何としてでも撮り切って、しっかり世界に届けるんだという、前回より強い結束力が生まれてきたと思います。

■濃密な続編になった

■濃密な続編になった

Q 完成した作品を観て、いかがでしたか?

僕が出演していないシーンでいえば、トシがヤクザになったことで、並行する物語の軸が増えて、とても濃密になったと思いました。ヤクザの抗争シーンも最高でしたし、いろいろと仕掛けてくる鉄さん(玉山鉄二)も最高でした。あと、もの悲しい顔をしている森田さんの芝居も、スゴかった。村西に関しては、まさに自業自得の人生だなと(笑)。

Q シーズン2で完結となる「全裸監督」ですが、山田さん自身にとって、どのような作品になりましたか?

いろいろとしんどかったけれど、間違いなくスゴく素敵で、楽しい現場でした。ほかの現場以上に、みんなで話し合って、悩んで、練りに練って、頑張って作った。そういう意味でも、とても大事な作品といえるでしょう。僕は監督やプロデューサーとしても映画を作っていますが、俳優として自分から「この役をやりたい」「この作品をやりたい」と、アプローチかけていくやり方をしたことはないんです。あくまでも、待つ立場。なので、また、こういう面白い企画で、声をかけてくれたらいいなと思っています。
村西とおるという“怪物”を、実に冷静に捉え、そのストイックな役づくりで完璧なまでに作り上げた山田。受けの芝居が中心だった『はるヲうるひと』とはまた違った、攻めの芝居が堪能できる「全裸監督」は、「俳優とは大変なものだとわかって、長年やってきたが、ここまで体を張った作品はもうやりたくないです(笑)」という言葉が出てくるぐらい、山田にとって渾身の一作だったといえるだろう。

取材・文:くれい響 写真:上野裕二

Netflixオリジナルシリーズ「全裸監督 シーズン2」は全世界独占配信中

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