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『鳩の撃退法』土屋太鳳 単独インタビュー

2021年8月23日 更新

『鳩の撃退法』土屋太鳳 単独インタビュー

直木賞作家・佐藤正午による同名小説を実写化した謎解きエンターテインメント『鳩の撃退法』。神隠しにあったとされる一家、主人公のもとに舞い込んだ大量のニセ札、彼の命を狙う裏社会のドン……藤原竜也演じるトラブル続きの作家・津田が執筆中の小説は、フィクションなのか、あるいはノンフィクションなのか。その未完の小説の最初の読者となり、津田に翻弄されていく編集者・鳥飼なほみ役を務めた土屋太鳳が、憧れの先輩のひとりである藤原との共演や役づくりについて明かした。

■目から声が出るような女の子に

■目から声が出るような女の子に

Q 最初に脚本を読んだとき、どんな印象を受けられましたか?

時系列が行ったり来たり、小説と現実の交錯が激しいので、「なんだこれは」と“?(ハテナ)”が結構、浮かんできましたね。映画に対して、主人公が幸せになるとか幸せにならないとか、面白かったとか面白くないとかいった結果を求めがちですけど、今回はちょっと珍しい参加型なんです。津田さんが書く物語に巻き込まれていくことが、いちばんワクワクする魅力なのかなって思いました。

Q 土屋さんから見た鳥飼なほみの人物像は? イメージする編集者像と一致していましたか?

映画版のキャラクターは、原作とちょっと違います。津田さんへの突っ込み役のようになっていたので、まずその点を大事にしたいと考えました。そしてとにかく津田さんの作品が大好きなんだろうと思います。そしてこんなふうに皆さんに取材をしていただくことが、今回の鳥飼さんの役づくりにとって、とても大事だった気がします。下調べをして、取材中は質問をどんどん投げていく。取材をされる方が質問で悩んでいる姿って、わたしはあまり見たことがなくて。わたしが答えに詰まっても質問を続けて、言葉を引き出すためのヒントを投げかけてくださったり。その話し方や言葉の返し方、感覚を鳥飼さんの役に生かしたい、目から声が出るような女の子になればいいなと思っていました。

Q クセの強いキャラクターが多いなか、観客にもっとも近いキャラクターという印象も受けましたが、共感する部分はありましたか?

よくぞおっしゃってくださいました(笑)。そのとおりの思いで、現場に臨んでいました。鳥飼さんは観てくださる方々の目線だったり、作品と繋げるインターフェース的な役割なのかなと思いましたし、小説が現実のできごとなのかフィクションなのか、その真実に辿り着くまでの案内役かもしれないと。そして知りたいと思ったら現地(小説の舞台となる場所)まで行って、真実を確かめようとする。そんな行動力のある鳥飼さんはいいなと、共感しながら演じていました。

■目の前のことを大切にしたい

■目の前のことを大切にしたい

Q 鳥飼さんは自立した女性でもありますが、土屋さんが理想とする大人の女性像があれば教えていただけますか?

そうですね……もっと目の前のことを大切にできたらなって思います。案外、難しいと思うんです。たとえば、いただいたお花の水切りを忘れちゃったり。大切にしているつもりになっているけど大切にできていない、ということが結構あるはずなので。そういうことがなるべくないよう、目の前のことを疎かにしない女性になれたらなと思います。

Q 土屋さんの周りの方で最近、大人の女性だなと感じた方はいらっしゃいましたか?

やっぱり、武井咲ちゃんです。同世代ですけど結婚して、子どもを産んで。(『るろうに剣心』の)舞台あいさつでも、人の話に相槌を打ったり、“聞いてるよ”というサインをちゃんと出してくれる。わたしは結構、舞い上がっちゃうタイプで(苦笑)。舞台あいさつに行くと、緊張して何を言ってるのかわからなくなってしまいます。でも咲ちゃんの姿に心を打たれて、冷静でいられた部分がありました。人が話するのを聞いてる姿が、とても素敵だなと感じました。ほかにも(大人と感じた女性は)いっぱいいるんですが、そのなかで自分が助けられたなというエピソードです。ふふっ。

Q そういえば、大学ご卒業おめでとうございます。自由に使える時間が増えたら、お仕事以外で新たに挑戦したいことはありますか?

ありがとうございます! もし可能であれば、運転免許を取りたいと思っています。来年までに(笑)。開けている場所が好きなので、ひとりで運転して近くの海とかどこかへ行きたいですね。

■原作は親、映画は子ども

■原作は親、映画は子ども

Q 今回は人気小説の実写化となるわけですが、原作がある場合、とくに意識されたり、大切にされていることは何かありますか?

原作は親だと思っています。小説も漫画も親、脚本と映画は子ども。子どもはやっぱり親の背中を見て育つので。親を大事にしたいなと思いながらしっかり読み込みつつ、人間にしかできない表現について考えていきます。

Q 今回、とくに親の背中から学んだことは?

今回はちょっと反抗ぎみの子どもだったかもしれないです(笑)。原作とは役の設定がそもそもちょっと違っていたので。別物ではないですけど、台本を参考にしながら自分でつくっていきました。たとえばわたしは「どういうことっすか」と聞く鳥飼さんのように、「~っすか」といった言葉遣いをあまりしません。ふざけて「あざっす」とかは言ったりするんですけど(笑)。ただ現場のマネージャーさんがふとしたときに、「そうっすね」とか、「めっちゃ、うめぇ」とか言うんです。それを静か~に(笑)、観察していました!

■身体能力の高さが生かされた演技とは

■身体能力の高さが生かされた演技とは

Q 藤原竜也さんと今回はがっつり共演されたわけですが、お芝居を間近で見ていて刺激を受けたことは?

わたしにとって藤原さんは憧れであり、追いかけている方のおひとりです。現場では毎回、同じ芝居がないことが衝撃的でした。映像(の芝居)って、割と似てきちゃう部分があるんです。カメラの動き(という制約)もありますし。それなのに毎回、違う。毎回何かアドリブが入ってくるので、ドキドキしながら、次は何がくるのだろうと身構えながらやっていました(笑)。

Q アドリブが入るとワクワクしますか、それとも……?

ヒヤヒヤもしますが、同時にワクワクします。でも、竜也さんはお客さんを楽しませるということをずっとされてきた方。共演は刺激的でしたし、わたし自身も舞台を何回かやらせていただいて、お客さまと一緒にその世界観をつくる楽しさを知ったので。いつか竜也さんと舞台でご一緒するのが、遠い夢ではなく、近い夢です。

Q おふたりの本格的なアクション共演にも、また期待しています!

わたしは身体を動かす役も多いですけれど、ただ動かすだけじゃなく、そこにちゃんと意味をつけていけることが大事だと思うんです。竜也さんは「そんなこと考えてないよ」と言いながら、しっかり考えていそうな方なので。ご一緒したらワクワクするんじゃないかなと思います。

Q 身体能力の高さはアクション以外の静的なお芝居でも大きな武器となっているはずですが、今作の撮影現場でそれを実感したできごとはありましたか?

反射神経みたいなものが、竜也さんとのやりとりにすごく必要だった気がします。かけ合いのスピード力が試されるなと感じて、運動神経がよくてよかったと心から思いました。バー「オリビア」での竜也さんとのかけ合いに、注目していただけたらうれしいです。

Q 反射神経は、コメディー演技の間のとり方にも関係しますよね?

そうかもしれないですね。役者さんって結構、運動神経のいい方が多いと思います。
取材では常に背筋をピンと伸ばし、笑顔を絶やさない土屋太鳳。別作品の取材で会っていたカメラマンには、「~以来ですよね? お久しぶりです」と自ら声をかける気遣いと記憶力を見せた。そして取材中はもちろん、相手の目を見ながら気持ちいいくらいにハキハキと答える。自身では気づいていないかもしれないが、そんな彼女こそ「大人の女性」のよき見本ではないだろうか。役づくりの一環としてマネージャーを静かに観察していたと語った際にのぞかせた、いたずらっ子のような笑みにも彼女の愛され力を実感。大人ながらも茶目っ気のある鳥飼なほみの存在は、『鳩の撃退法』の一服の清涼剤のようでもある。
ヘアメイク:尾曲いずみ/スタイリスト:藤本大輔(tas)

取材・文:柴田メグミ 写真:高野広美

映画『鳩の撃退法』は8月27日(金)より全国公開

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