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『科捜研の女 -劇場版-』沢口靖子 単独インタビュー

2021年8月30日 更新

『科捜研の女 -劇場版-』沢口靖子 単独インタビュー

1999年のテレビシリーズ放送開始から20年以上親しまれてきた国民的なミステリードラマが、『科捜研の女 -劇場版-』として初めて映画化された。京都をはじめ、国内外で科学者が次々に不審死を遂げる事件が発生。この事件は各地で自殺として処理されようとしていたが、それに疑問を抱いた榊マリコと科学捜査研究所のメンバーは、捜査一課の土門刑事と真相を究明していく。今やキャラクターと一体になってシリーズを牽引している、主人公・榊マリコを演じた沢口靖子が、スケールアップした映画の魅力を語った。

■マリコの無茶ぶりも、スクリーンサイズの強烈さに!

■マリコの無茶ぶりも、スクリーンサイズの強烈さに!

Q 開始から21周年を迎えた人気シリーズ、初の劇場版ですが、映画ができた感想は?

お話をいただいて、まさか「科捜研の女」が映画化されるなんて思ってもいませんでしたから、夢のようだと喜びました。20シーズンの節目に、集大成として取り組みたいと思いました。映画ではテレビとは違う、新たな世界観が誕生したと手ごたえを感じています。

Q 脚本はシリーズのメインライターの一人である櫻井武晴さんが書かれましたが、脚本を読んだ感想は?

いつにもまして情報量が多く、専門用語が難しいと思いました。内容は先が読めないスリリングな展開に加えて、心がくすぐられる場面や感情が込み上げてくる場面があって、櫻井さんの20年分のシリーズに対する思いや愛を感じました。それにお応えしたいなと思ったんです。

Q 今回の映画では、いつも以上にマリコの周りに対する無茶ぶりがすごいと感じました。2009年のシーズン9からシリーズに参加している兼﨑涼介監督と、映画でどんなマリコ像を表現しようと話し合われましたか?

兼﨑監督からは、「いつものマリコの無茶ぶりを、スクリーンサイズにしたい」というリクエストがあったんです。わたしもそれには喜んでお応えしました(笑)。わたし自身は慎重派のタイプなんですが、マリコは猫のようにマイペースなところがあって、周りの人を振り回してしまう。その部分が映画ではよりダイナミックに強調されていますね。

■シリーズ最大の敵を演じた佐々木蔵之介の迫力

■シリーズ最大の敵を演じた佐々木蔵之介の迫力

Q シーズン1とシーズン3に出ていたマリコの元夫・倉橋拓也役の渡辺いっけいさん、現在は科学鑑定監察所の監察官でもあるマリコの父・榊伊知郎役の小野武彦さんをはじめ、シリーズを彩ってきた懐かしい顔ぶれが多数登場しますね。

皆さんと久しぶりに会えて、うれしかったです。かつて苦楽を共にした友人と再会したような気持ちで、一気に時間が縮まった感じがしました。いっけいさんが演じる拓也とは、すれ違いが原因で別れてしまったけれども、人間的にはお互い、まだ愛情を感じている関係性にしたいと思って、マリコとして屈託なく接するようにしました。いまだに不器用に生きている元夫を愛おしく見つめるマリコの、どこか女性らしい部分を表現できたらと思ったんです。小野さんは今回、監察官として娘であるマリコを調べる立場なので、セリフにもあるように「親子である前に科学者同士である」というスタンスで、ちょっと切ない親子の関係が描かれていますね。

Q 今の科捜研は法医担当の沢口さんを中心に、風間トオルさん(化学担当)、斉藤暁さん(所長・文書担当)、渡部秀さん(物理担当)、山本ひかるさん(映像データ担当)というレギュラーメンバーが、シーズン16から続いていますね。

今のメンバーは緩急両方の味を出せる、息の合ったチームだと思っています。家族のような雰囲気がありますね。この映画では非常に犯人の手口が巧妙で、シリーズ最強の敵が登場しますから、科捜研としてはミクロの手がかりからそれぞれのプロフェッショナルな力を合わせて真相にたどりつこうとする。そのチームワークも観ていただきたいです。

Q マリコの最大の敵となるのが、佐々木蔵之介さん演じる微生物学の天才科学者・加賀野亘教授ですね。佐々木さんの印象は?

佐々木さんは、普段は関西弁で話されて面白い方なんです。それがいざ演技に入ると、ものすごく迫力がありまして。グッと迫って来るものがあって、呑み込まれそうになりました。役柄的にはマリコと同じ科学者ですが、加賀野教授は近未来を見据えたクールな天才科学者で、マリコとは価値観が違うんです。その二人の正義がぶつかる部分が見どころでもあるんですが、科学者としての加賀野教授に対するリスペクトの気持ちを忘れないようにして、向き合いました。

■内藤剛志は、親戚のお兄さんみたいな存在

■内藤剛志は、親戚のお兄さんみたいな存在

Q 加賀野教授に立ち向かうのが、マリコと土門刑事のコンビですね。土門刑事とマリコが、単なる捜査の協力者ではなく男女の関係にも見えるのが、このシリーズの魅力だと思うのですが?

ご覧になる方の中には二人を恋人だったり、長年連れ添った夫婦のように観てくださる方もいるようですけれど、わたしの捉え方では、あくまで仕事の上での絆が深いパートナーだと思っています。使命感と価値観が一致していて、お互い信頼して尊敬できる存在なんです。ただマリコの中では心が許せる相手なので、皆さんが観ていてやきもきしてしまうのかなと思うんですけれど。

Q 登場人物の中で唯一、マリコのことを“お前”と呼ぶのが土門刑事ですよね。

そうなんです。“お前”って呼ぶんですよ(笑)。でもそれくらい、距離が近い間柄だと思うんです。また演じる内藤さんはわたしと同じ大阪の出身で、非常にざっくばらんな方なんですよ。とても知識が豊富で、普段はすごく余裕のある雰囲気があって。わたしとは10歳年が離れているんですけれど、どこか親戚のお兄さんみたいな感じがして(笑)。だからいつも、内藤さんの大きな胸にドンと頼らせていただいているんです。

Q このシリーズは京都が舞台ですが、特にこの映画では秋の京都の風景も印象的ですね。

紅葉真っ盛りの時期に撮影していましたから、映像的にはもみじがいいアクセントになっていますね。冒頭のマリコの登場シーンから始まって、クライマックスシーン、そしてラストシーンにももみじが出てくるんです。その色彩の美しさにも注目していただきたいです。

■人生初の4メートル宙づりに、細胞が震えた

■人生初の4メートル宙づりに、細胞が震えた

Q アクションシーンにも挑まれていますが、大変なことはなかったですか?

生まれて初めて、4メートルの高さにつられまして、細胞が震えるような体験でした。下を向いたり、周りを見ると恐怖心が湧いてくるので、一生懸命役の気持ちを考えるようにしていました。やはり地に足がついていないと不安な気持ちになるものですね。つられた状態で大変だったのは、飛び上がる動きをするときに、足に重心がかかっている感じの芝居を要求されて、それを自然に見せるのが難しかったです。

Q 榊マリコは沢口さんの女優人生の中で一番長く演じ続けている役だと思いますが、マリコはご自身にとってどんな存在ですか?

もはや分身のような存在ですね。1年に1度、マリコと共に年齢を重ねて、また必ず戻る場所が「科捜研の女」の現場なんです。マリコとわたしはものの考え方が理系で、正確さや規則正しさを重視するところは似ていますけれど、やはり沢口靖子と榊マリコは違う。マリコは脚本から生まれて、皆さんに育てていただいた存在ですね。

Q 20年以上にわたるシリーズを振り返って、どんな思いがありますか?

毎年、東映京都撮影所へ行って白衣を着たら、マリコの世界に帰って来たなという思いはありますけれど、作品自体は毎シーズン進化しているんです。だからマンネリにもならず、常に新鮮な気持ちで毎シーズンを迎えていった感じがしますね。今度の映画はその集大成といえる作品で、スリリングな展開と京都の美しい風景、佐々木蔵之介さんの迫力ある演技や懐かしいレギュラーの登場と見どころが満載です。最後にマリコが下す決断まで目が離せない作品ですので、多くの方に観ていただきたいですね。
言葉を選んで切々と話す真面目さも含め、正確に自分の考えを伝えようとするその姿勢は、まさに科学者・榊マリコそのもの。このキャラクターは沢口靖子がめぐり会うべくして出会った、一代の当たり役だと再認識した。また白衣を着た姿には20年という時の流れを感じさせない美しさがあって、見た目はもちろん、常にぶれない芯の強さに、彼女の魅力がある。今回の映画は、そんな彼女の個性が凝縮された1本だ。
※榊の字は木へんに神が正式表記
©2021「科捜研の女 -劇場版-」製作委員会

取材・文:金澤誠 写真:高野広美

映画『科捜研の女 -劇場版-』は9月3日より全国公開

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