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『聖地X』岡田将生 単独インタビュー

2021年11月18日 更新

『聖地X』岡田将生 単独インタビュー

超常的な世界観で人気の劇団「イキウメ」による舞台を、『AI崩壊』『SR サイタマノラッパー』などの入江悠監督が映画化した『聖地X』。巨木と古井戸がつかさどる、呪われた地で起こる不可解な現象に巻き込まれる主人公・輝夫を演じた俳優・岡田将生が、兄妹役を務めた川口春奈との共演や、約1か月にわたった韓国ロケ、現地スタッフ・キャストとの仕事など、異例ともいえる初めてづくしの映画製作を振り返った。

■日本とは違う空気感

■日本とは違う空気感

Q 完成した『聖地X』の魅力を教えてください。

根底にホラーというものはあるのですが、最初に台本を読んだときに、主人公の輝夫とその妹である要が不可解な土地で起こる出来事を通して、一歩一歩成長していく姿が魅力的に感じたんです。そんな2人の成長物語もありつつ、ミステリー要素もあるので、個人的にはジャンルにとらわれない映画だと思っています。

Q 1か月に及ぶ韓国ロケはいかがでしたか?

現場では日本とは少し違う空気感があって、入江監督がこの作品の撮影場所を日本ではなく、韓国を選んだ理由がわかった気がしました。作品にマッチしていて、少し重々しいんです。また、日本のスタッフの方だけではなく、韓国のスタッフの方が入ることで、いい緊張感も出ますし、いい経験をさせていただいたな、と思っています。

Q その独特な空気感について、具体的に教えていただけますか?

僕が演じた輝夫が暮らしている別荘であったり、登場人物みんなが集まる和食店だったり、日本にはない空気感やパワーが感じられるロケーションだったと思うんです。正直なところ、これは台本を読んだだけではわからないものだったので、現場に直接行って初めて感じられたものだった気がします。

■現地のスタイルから学んだもの

■現地のスタイルから学んだもの

Q 韓国での映画製作のスタイルについて特に感じたことはありましたか?

例えば、みんなで同じ時間に温かいご飯を食べるとか、一緒に食事をとることを凄く大切にされている印象がありました。ロケではなくて、街なかにいるときでも、みんなで同じ店に入って一緒にご飯を食べる。そういうことで、チーム力が上がるというか、相乗効果みたいなものが生まれるんです。撮影も週休2日という決まりがあるので、より台本と作品に向き合えましたし、体力を温存しながら撮影に臨めました。

Q 劇中には、『哭声/コクソン』のような独特な除霊の儀式のシーンも登場しますね。

韓国映画で観たことのあるシーンだったので、現場では「本物だ!」と思いましたし(笑)、韓国映画が好きな人になら、きっと「おっ!」と思っていただけるんじゃないかなと。

■川口春奈は一緒にいて気持ちの良い人

■川口春奈は一緒にいて気持ちの良い人

Q しっかり者の妹・要を演じた川口春奈さんとの掛け合いはいかがでしたか?

川口さんとは初めての共演だったのですが、とてもしっかりされているうえに、物事の判断がハッキリされている方で、一緒にいて、気持ちが良かったです。人間的にとても芯が太いというか、怖じ気づくことがない印象が強かったですが、それが要というキャラクターにマッチしていたと思うんです。2人のシーンについても、特に話し合わなくても、いざ対峙(たいじ)すると、強いパワーを感じさせてくれる、とても素敵な女優さんでした。

Q 入江監督作への出演も初めてになりましたが、いかがでしたか?

今回、入江さんがこの映画を韓国で現地のスタッフチームと一緒に撮るということは、凄く大変なことだったと思うんです。でも、常に現場の中心にいて、的確な演出をされていたので、とても信頼していました。輝夫の人物像に関していえば、最初に僕が感じていたものと入江監督が感じていたものが少し違っていて、そこの照らし合わせから台本読みに入りました。僕は輝夫がダメ男なのに、もっと強がっている奴だと、勝手に思っていたんです。

Q その後、入江監督と綿密に、輝夫のキャラづくりをされていたのですか?

はい。監督と一緒に、輝夫をつくっていく感じで、彼の人間不信というか、人間関係を断っている人間の喋り方など、クセひとつも含めて、「あんなふうにやってみよう」「こんなふうにやってみよう」と話し合う時間は、とにかく楽しかったです。それで、キャラクター像ができていくと、今度は「その枠からどうはみ出していくか?」を考える時間も楽しかったですし、とても充実した1か月を送ることができました。監督には感謝しかないです。

Q そのほか、撮影現場での印象的なエピソードは?

もともと舞台が原作ということもあり、カットを割らずに撮るシーンがとても多かったですし、入江監督からも「その場で自由に」と言われるぐらい制限なく芝居をさせてもらっていたので、演劇的な要素も感じながら演じました。韓国キャストの方とは、日本語と韓国語をお互いに教え合ったり、意思疎通がうまくできない空気感もあえて取り入れたり、現場で生まれたものを大切に撮影していました。「どこの国で、どこの場所で撮影しても、常に映画に対する気持ちは変わらない」ということは学んだかもしれません。

■俳優としての欲が出てきた

■俳優としての欲が出てきた

Q 劇中で小説が書けなくなった輝夫のように、岡田さん自身のキャリアにおいて、スランプのようなものはありましたか?

僕はずっと悩んでいますし、常に壁にぶつかっている感じがしますね。10代から20代前半にかけて、等身大に近い役をやらせていただいたんですけれど、何かそれまでとは違うお芝居もしていきたいという、俳優としての欲みたいなものが出てきたんです。それで、残りの20代は「では、そのためには、どういうことをすればいいのか?」というようなことばかり考えていたと思います。

Q そんななか、どのようにコミカルな役柄や風変りな役柄などを演じることになったのでしょうか?

いろいろな監督との出会いなどから、少しずついただける役の幅が広がってきました。今もまだ「違うことをやっていきたい」という気持ちでやっている気がします。

Q 2021年に公開される出演映画は、本作を含めて5本になります。周囲の反響も大きかったと思います。

いろんな映画に携わらせてもらったことは、とても良い経験でした。あまり映画をやっていなかった時期もあったりしたので、あらためて映画の現場が好きだということを実感しました。また、30代になって、役と現場にかける思いがより強くなったと思います。

Q 話題を呼んだドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」など、クセのある役柄を演じる楽しさみたいなものはありますか?

僕もどこか欠けている人間なので、そうやってクセがあって、人間的にどこか欠けているような役をやるときは、自分自身を肯定するように、その部分も愛してもらいたいという気持ちが強くなるんです(笑)。ただ、最近そういう役が多くなってきたので、今後はバランスを考えつつ、やっていければと思っています。
入江監督の下、異国の地で、日本では味わったことのない映画製作を体験したという岡田将生。その貴重な体験から、「映画に対する愛を、日に日に感じた」とも語る彼の熱い思いは、日本映画のお家芸ともいうべきホラーの魂を、韓国映画界のクオリティーでブラッシュアップした、本作『聖地X』で十分堪能することができるだろう。
©2021「聖地X」製作委員会

取材・文:くれい響 写真:高野広美

映画『聖地X』は11月19日より劇場・配信同時公開

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