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ある天文学者の恋文 (2016)

LA CORRISPONDENZA/CORRESPONDENCE

監督
ジュゼッペ・トルナトーレ
  • みたいムービー 180
  • みたログ 691

3.29 / 評価:499件

解説

『ニュー・シネマ・パラダイス』『鑑定士と顔のない依頼人』などのジュゼッペ・トルナトーレ監督が放つ、ミステリードラマ。死んだはずの恋人から手紙やプレゼントが届き続ける女性が、その謎を解く姿を彼女の秘めた過去を絡めながら追う。『運命の逆転』などのジェレミー・アイアンズが天文学者である恋人を、『007/慰めの報酬』などのオルガ・キュリレンコがヒロインを力演。深い謎と、舞台となるエディンバラやサン・ジュリオ島の美しい風景に魅せられる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

天文学者エド(ジェレミー・アイアンズ)と、教え子のエイミー(オルガ・キュリレンコ)は、愛し合っていた。だが、エイミーのもとにエドが亡くなったという知らせが飛び込む。悲しみと混乱の中、死んだはずのエドからのメール、手紙、プレゼントが次々と届く。不思議に思ったエイミーは、その謎を解くためにエドの暮らしていたエディンバラや、二人の思い出の地サン・ジュリオ島などを訪れる。やがて、エドが彼女の秘めた過去を秘密裏に調べていたことがわかり……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)COPYRIGHT 2015 - PACO CINEMATOGRAFICA S.r.L.
(C)COPYRIGHT 2015 - PACO CINEMATOGRAFICA S.r.L.

「ある天文学者の恋文」名匠トルナトーレが描く、宇宙の深淵にてミステリアスに輝き続ける愛の物語

 なんとも奇想天外な作品だ。ようやく物語の正体をつかんだかと思うと、次の瞬間それは幻影となり、また一歩も二歩も先に立って別の輝きを放っている。そうやって付かず離れず、何億光年もの彼方から瞬く星のように観客の進むべき道をずっと静かに照らし続ける。

 物語はいたってシンプルだし、主な登場人物も男女たったふたりに過ぎない。天文学者のエドと教え子エイミーは、ホテルの一室でつかの間の愛を交わし、やがて別れの時間がくると、エドは颯爽と旅立っていく。遠く離れた二人の距離を埋めるのはもっぱらメールやビデオメッセージ。離れていても変わらず愛の言葉を囁きあう二人だが、そんな矢先、彼女のもとに衝撃的な訃報が届く。もう何日も前にエドが亡くなったというのだ。まさかそんなはずはない。それが本当なら、今なお手元に届き続けるメッセージは一体何だというのか。

 途端に映画はミステリー色に染まる。これは誰かのいたずらか?それとも死者からの交信なのか? 頭の中はたちどころに疑問符でいっぱいになるが、しかし謎が膨らんだ時こそ思い出してほしい。これはトルナトーレの作品なのだ。そこには「ニュー・シネマ・パラダイス」(89)以降、彼がこだわり続けてきた多様な“愛のかたち”がある。そして本作の特異な点といえば、これらの愛に天文学を織り交ぜて描いてみせるところ。たとえば、地球に輝きを届ける頃にはすでに消滅してしまっているかもしれない星の運命に、人の生死、愛のあり方を重ね合わせ、ある種の深淵に触れようとするのである。

 ひとつ間違えば束縛にもなりかねない愛を、ジェレミー・アイアンズの深みのある存在感が優雅に牽引していく。その立ち居振る舞いはどれだけ見ていても飽きないが、と同時に、本作の彼は“後ろ姿”で観る者の心を射抜く瞬間があるのを付け加えておきたい。果たしてその表情は微笑んでいるのか、泣いているのか????。そんなスクリーンという名の天球に散りばめられたすべての要素を、エンニオ・モリコーネの音楽がゆりかごを揺らすように穏やかに調和させるのもさすがだ。

 シンプルなれど壮大。実験性に富みながらも、誠実に愛のかたちを描いてみせる。スクリーンの幕が閉じる時、ああやっぱりトルナトーレの作品だったと、あらゆるシーンが万感の想いとともに胸に蘇ってくるはずだ。(牛津厚信)

映画.com(外部リンク)

2016年9月22日 更新

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