ここから本文です

きみに読む物語 (2004)

THE NOTEBOOK

監督
ニック・カサヴェテス
  • みたいムービー 1,075
  • みたログ 6,829

4.10 / 評価:2,073件

別れの瞬間はあのときのふたりでいたい

  • dr.hawk さん
  • 2017年3月9日 1時14分
  • 閲覧数 949
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

2017.03.08 字幕 DVDレンタル


ニコラス・スパークス原作の同名小説(原題『The NoteBook』の映画化作品
監督はニック・カサヴェテス
脚本はジャン・サルディ&ジェレミー・レヴェン


ある療養施設に入寮している老女(ジーナ・ローランズ)に物語を読み聞かせている男・デューク(ジェームズ・ガーナー)
彼が手にしている本は「誰かが書いた若き日々の恋愛物語」だ
老女は物語の先を急ぎながら彼の言葉に耳を傾け続ける、というお話


この映画は好評と酷評で二分しているが、その理由は「どの時代の恋愛」を中心に観たか、である


構成的には「回顧録」であり、現状は「認知症を発症した妻が記憶を取り戻すために奮闘している夫」であり、過去は「自己中心的なふたりが後先考えずに恋愛に溺れた」のである

このどちらをメインで考えるかで評価が分かれる


物語は1940年代、第二次世界大戦勃発前のアメリカ南部シーブルック
だが若いふたりを引き裂いたのは「戦争」ではなく「格差」である
この恋愛における障壁は「格差」だった

アリー(レイチェル・マクアダムス)は夏休みにシーブルックを訪れた令嬢で、彼女に一目惚れをしたのが若きノア(ライアン・ゴズリング)である
無鉄砲な求愛に押されたアリーは次第に彼に惹かれていく

アリーの両親はわがままな娘に困っていたが、いずれ別れがくることはわかっていた
父ジョン(デヴィッド・ソーントン)はノアに「住む世界が違う」ことを示し、母アン(ジョアン・アレン)も彼女を諭す
だが理解力のあるノアは事実を受け入れるが、アリーは拒み続ける
結局、強引に引き裂かれた恋愛は「未練」だけを残してしまった


けじめのついていない恋ほど厄介なものはない
再燃の火種は燻り続け、双方に新しい生活が始まっても、心は過去に置いてきてしまっている
きっかけがあれば「理性」を凌駕するのは火を見るよりも明らかである


この一連の「若さ」が共感しづらい部分であろうか
見方を変えれば「超自己中心的」で、罪のない人を傷つけている
婚約者ロン(ジェームズ・マースデン)も未亡人も「この二人に振り回されて傷ついただけ」に思えるからだ

ただ結果論としては「誰かの幻影に囚われ続けている相手」とはうまくいかないので、いずれにせよ「別離」は避けられない


この物語は多くの尺と説明を若い頃に注ぎすぎたために「本来色濃く描かれるべき老夫婦の過程」が見事に飛んでしまっている
あの若いカップルが「どうして今の関係になっているのか」がまったく描かれない

その理由は明白で、「この物語は誰が書いたのか」をミステリー要素にしているからである


劇中でめくられるノートブックにはこう書かれている

The story of our lives
By allison hamilton
calhown
To my love,noah
Read this in me,and
I'll come back for you

これはアリーが綴った「ノアとの愛の物語」である
そして「この本を読んでくれたら、私はノアのもとへ戻れる」と締められている
普通に解釈すれば「忘れてしまっていく過去」を留めておきたい
そして「認知症が進んだあとの奇跡」を願ったものである


要するに「美化された過去」であり、これは夫ノアが覚えていることと「同じ」であるかどうかはわからない
無論ノアの中でも思い出は美化されているが、基本「回顧映像」はすべてアリー目線である
(ノアが脚色しているかも知れないが、メッセージの内容とノアの性格を考えるとそれは無さそうに思える)


結末は奇跡が起きて「戻ってきた妻と会話をして、望み通りの幕を引く」という流れだが、この生還が唐突すぎてリアリティがない

心肺停止後の蘇生で生き延びたデューク
彼はアリーの下に行き添い遂げるのだが、このシークエンスがデュークの妄想ではないかと感じている

リアリティの話で恐縮だが、高齢のCPA(心肺停止)の蘇生はほぼ無い(心不全要因)し、歩けるまで回復するのも無理がある
そして看護師との会話が決定的で、「今夜は会わせられない」と言う
それは「彼女の状態が不安定だから」であり、その理由は「あなたが危篤になって取り乱しているから」である
デュークの病状が理由ではないのは時系列的にあり得ない


ちなみにデュークはどっちか問題が論争に上がっているようだが、私はノア派である

まあ、デュークがロンである理由が物語の構成上考えづらい
この物語が「純粋な老夫婦の愛」を描いている物語であって、「謎の男の正体を暴露する」ミステリーではないからだ
どっちか論争は副産物であり、若い頃と今が別人のように見えるのは「美化された過去」だからというしかない

あくまでもアリー目線では「こう見えていた」のである

そしてアリーの葛藤がそこには描かれていて、彼女の選択を知っているノアは「出会いの誓い」のとおりに生きた
それがこの物語の素晴らしいところだと思います

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • ファンタジー
  • ロマンチック
  • 切ない
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここまでです このページの先頭へ