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つぐない (2007)

ATONEMENT

監督
ジョー・ライト
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4.01 / 評価:768件

解説

ブッカー賞作家イアン・マキューアンのベストセラー小説を、『プライドと偏見』のジョー・ライト監督が映画化。幼く多感な少女のうそによって引き裂かれた男女が運命の波に翻弄(ほんろう)される姿と、うそをついた罪の重さを背負って生きる少女の姿が描かれる。運命に翻弄(ほんろう)される男女を演じるのはキーラ・ナイトレイと『ラストキング・オブ・スコットランド』のジェームズ・マカヴォイ。映像化は困難と言われた複雑な物語を緻密(ちみつ)な構成でスクリーンに焼きつけた監督の手腕に注目。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

1930年代、戦火が忍び寄るイギリス。政府官僚の長女セシーリア(キーラ・ナイトレイ)は、兄妹のように育てられた使用人の息子、ロビー(ジェームズ・マカヴォイ)と思いを通わせ合うようになる。しかし、小説家を目指す多感な妹ブライオニー(シーアシャ・ローナン)のついたうそが、ロビーに無実の罪を着せ、刑務所送りにしてしまう。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2007 Universal Studios.All RIGHTS RESERVED
(C)2007 Universal Studios.All RIGHTS RESERVED

「つぐない」語りのたくらみも綿密だが、練り込まれた技巧に舌を巻く

 ジョー・ライトはマキノ雅弘の演出術を学んでいたのか。「つぐない」の序盤、カントリーハウスの内部を少女が早足で歩くシーンを見て、私は思わずつぶやきそうになった。

 それほどまでに、役者に対する芝居の付け方が具体的なのだ。山田宏一の著書によると、かつてマキノは「二歩出て体を引いて、こうして回せば女らしく見える」といった指導を手取り足取り行ったらしい。もしかするとライトも、「廊下の端から端までを10秒で歩いて」とか「この台詞は5秒で言い終えて」とかいった指示を出していたのではないか。

 撮影や編集に凝る監督は多くても、役者に具体的な芝居を付けられる監督は少ない。私はかねがね、これを不満に思っていた。35歳のライトは、この難事業に挑んだ。わけても彼は、言葉と音に対する感覚が鋭い。

 13歳の少女の嫉妬と勘違いが嘘を生み、その嘘が致命的な悲劇を招くという物語。ありがちな設定に二重三重の底を仕込む語りのたくらみも綿密だが、「つぐない」の前半には、「話の筋を一瞬忘れさせる」映画的快感が何度か噴出する。とくに注目すべきは、タイプライターの音と妹ブライオニーに扮するシーアシャ・ローナンの動きか。ライトは、ここで映画の心拍数を決定している。キーラ・ナイトレイのうっとりするような早口や、ダンケルクの海辺の5分半にわたる長回しも眼を惹くが、勝負はやはり立合いだったはずだ。ライトの技を、私は評価したい。(芝山幹郎)

映画.com(外部リンク)

2008年4月3日 更新

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