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ゆれる (2006)

監督
西川美和
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4.06 / 評価:1,701件

解説

『蛇イチゴ』の西川美和監督が兄弟を主人公に、家族のきずなや絶望からの再生を描くシリアスドラマ。旧知の女性が転落死したことをきっかけに、法廷で裁判にかけられる兄と弟の姿を見つめる。『スクラップ・ヘブン』のオダギリジョーが“自由人”の弟を熱演。その兄役に『バッシング』の香川照之。実際撮影中に意気投合したという2人の息の合った演技が素晴らしい。人間のどろどろとした感情やエゴとそこからの救いを描く。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

東京でカメラマンとして成功している猛(オダギリジョー)は母の一周忌で帰省する。彼は実家のガソリンスタンドを継いだ独身の兄の稔(香川照之)や、そこで働く幼なじみの智恵子(真木よう子)と再会し、3人で近くの渓谷に行くことにする。猛が単独行動している間に、稔と渓谷にかかる吊り橋の上にいた智恵子が転落する。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2006「ゆれる」製作委員会
(C)2006「ゆれる」製作委員会

「ゆれる」吊り橋で“ゆれ”のダイナミズムを表現

 西川美和監督は、デビュー作「蛇イチゴ」に引き続き“兄弟の映画”を撮った。もちろん前作は兄妹という設定で喜劇的要素が活用されたのに対し、今回は香川照之とオダギリジョー演じる兄弟がシリアスに対決することでギリシャ悲劇的な荘厳さを帯びる……という点では、両作の間に違いはある。だけどそれでも“兄弟”という関係性への固執が、西川作品を活気づけることに変わりない。

 “兄弟”とは、互いに最も身近な他者としてある関係性だ。近くて遠く似ているようで異なり、互いに影響を与えずにいられないライバル関係。そしてこれも重要だが、兄弟は互いに相手を切断できない宿命にある。最終的に「ゆれる」で弟は兄を裏切る。だけど、それで2人の関係が終わるわけではない。

 本作での兄弟の対立は、家族=故郷から飛び出す弟とそれができない兄の間に生じる。あるいは、渓流にかかる吊り橋を渡る弟とそれができない兄……。といっても、弟が完全に自由なわけではない。その吊り橋ですばらしく唐突に起こる“殺人”を機に、弟は家族=故郷から離れようとする欲望の虜であることにおいて、むしろそこから自由になれずにいる自分に気づかされるだろう。そう、今も兄弟の間には吊り橋がかかる。この映画はその不安定で強力な“ゆれ”のダイナミズムを僕らに示して見せた。(北小路隆志)

映画.com(外部リンク)

2006年7月13日 更新

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