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上映中

わたしは、ダニエル・ブレイク (2016)

I, DANIEL BLAKE

監督
ケン・ローチ
  • みたいムービー 188
  • みたログ 108

4.10 / 評価:78件

ぜひとも、ぜひとも見て欲しい。

  • igg***** さん
  • 2017年3月19日 22時23分
  • 閲覧数 743
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

一言、静かですが確実にひしひしと迫ってくる、
大変優れた映画でした。
現在公開中の映画は、モアナを始め面白いものばかりですが、
今見るべき作品を一つ上げろと言われたら絶対にこれです!!

舞台はイングランドのニューカッスル。
心臓に病のある、元大工のダニエル・ブレイクは、
病気で働けない人に与えられる支援手当を申請しますが、
主治医からは働くのを止められているにもかかわらず、
国の簡単な審査だけで、「病気ではない、働ける」と判断され、
手当がおりませんでした。

現代イギリスでは役所も全てがオンライン対応になっており、
ダニエルは慣れないPCでオンラインにて失業手当の申請を試みますが、
なかなかうまくいきません。
やっとの思いで申請したところ、病気の支援手当とは違うので
職を探す努力をしろと言われます。
やむなく言われたとおりに職を探して得意の大工職場に履歴書を
出しますが、主治医からは止められているので
実際には働けません。面接先の会社からは怒鳴られながらも
報告しに役所に行くと、今度は面接に行ったことを証明するものを出せと
命じられます・・・
そんな苦労をしている中、ダニエルは役所で同じく生活保護の申請を断られた、
二児のシングルマザーのケイティと出会います。
優しく実直なダニエルは自分も支援が必要にもかかわらず、
一人で苦労しているケイティを慮り、家の壊れた水道管を直してやったり、
子供の見てあげたり、国の代わりに何かと面倒を見てあげます。


・・・ここまで書いていてため息が出ますが、要するに、杓子定規な国の対応を
揶揄し、そのせいで実直な人間が苦労していることを浮き彫りにする映画です。
「私たちはこんな扱いを受けるために生まれて来たわけじゃない」
テーマは人間の尊厳。日常の中で見落としがちですが非常に大事なことです。
人間の尊厳とは?それを理解しているダニエルは、
保護が出ないからと、生活のためにケイティがした「あること」を恥じるケイティをさとします。

ここでハッとしました。僕もケイティと同じように、
社会の中で自分なんて大した存在ではないと常に
感じていました。大して社会に貢献してるわけでもなく、だから人から、組織からひどい扱いを受けても仕方ないことだと思っていました。
違うのです。人は生まれた瞬間から祝福された存在です。
ぞんざいな扱いを受けない権利があります。
それをダニエルは肯定してくれます。

「違うぞケイティ、君は悪くない、
一人でこんなにがんばっているじゃないか。」

自分に対して肯定的になれない、貧しく弱いが謙虚で実直な人を、
ダニエルは迷わずに励まします。
このシーンだけでダニエルとこの映画を僕は全面的に支持します。
こんな風に周りの人を助けられる人になりたいと強く感じました。

「わたしは、ダニエル・ブレイク」
邦題は原題通りです。安易なタイトルをつけずに、ダニエル・ブレイクという
不器用で貧しいが、人を慮る豊かな人間性を持った優れた人物を全面に出した原題をそのまま採用した、
これは配給チームの英断と言っていいでしょう。

日本でもつい数年前、生活保護が下りずに母親と心中しようとした悲しい事件が話題になりました。
あの事件に如何しようもない悲しみ、怒り、遣る瀬無さを感じた方にも、
そして今この瞬間に人生が辛くて仕方がない方にも、本当に多くの人にぜひとも
おすすめしたい映画です。

※大事なことを忘れてましたが、この映画を映画館で見ると、
一人につき50円が貧しい人を支援する団体に寄付されるそうです。
よかったらぜひ見ましょう。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 切ない
  • 勇敢
  • 悲しい
  • 泣ける
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