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アデル、ブルーは熱い色 (2013)

LA VIE D'ADELE/BLUE IS THE WARMEST COLOR

監督
アブデラティフ・ケシシュ
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3.69 / 評価:600件

解説

第66回カンヌ国際映画祭で史上初、パルムドールが主演女優2人にも贈られ話題を集めたラブストーリー。ジュリー・マロによるフランスの人気コミックを原作に、運命的に出会った女性同士の真っすぐな愛の行方を大胆なラブシーンを交えて繊細に描き出す。監督はこれまで数々の映画賞に輝いてきた俊英、アブデラティフ・ケシシュ。『マリー・アントワネットに別れをつげて』などのレア・セドゥと、『カレ・ブラン』のアデル・エグザルコプロスの体当たり演技が光る。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

教師を夢見る高校生アデル(アデル・エグザルコプロス)は、運命的に出会った青い髪の画家エマ(レア・セドゥ)の知性や独特の雰囲気に魅了され、二人は情熱的に愛し合うようになる。数年後、念願の教師になったアデルは自らをモデルに絵を描くエマと一緒に住み、幸せに満ちあふれた毎日を過ごしていた。しかしエマの作品披露パーティーをきっかけに、二人の気持ちは徐々に擦れ違っていき……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2013- WILD BUNCH - QUAT'S SOUS FILMS - FRANCE 2 CINEMA - SCOPE PICTURES - RTBF (Television belge) - VERTIGO FILMS
(C)2013- WILD BUNCH - QUAT'S SOUS FILMS - FRANCE 2 CINEMA - SCOPE PICTURES - RTBF (Television belge) - VERTIGO FILMS

「アデル、ブルーは熱い色」不意の出会いの訪れと、もしかするとあったかもしれない別の人生

 ボブ・マーリーとサルトルが同列に語られる。そのまさかの接続。預言者と哲学者は同じだと主人公は言う。そんな発言を聞けば、微妙に納得はできるものの、ジャマイカのレゲエの聖者であり闘士でもある歌い手と、西欧の近代思想の核となる哲学者とをこうやって繋げることの出来る女子高生とは一体何者か? それがフランスであると言ってしまえばそれまでなのだが、いずれにしてもこの映画が常に示すのは、こういった不意の出会い、あらぬ方向へと繋がる接続である。

 通学バスに乗り遅れそうになった主人公が焦って走るシーンから始まるこの映画は、いつもどこか息せき切っているように見える。焦っているというより、もしかすると今ここで起こるかもしれない不意の出会いを逃すまいとする研ぎすまされた時間感覚と言った方がいいだろう。自分の身体の周囲に延びて行く触毛のような神経細胞が感じる時間とも言える。「私」という個人がはっきりと確立する前の高校生の物語、という設定も、そんなことを思わせるのかもしれない。また、主人公の性的な立場の不安定さもその一因かもしれない。

 とにかくそこに生まれる輪郭の微妙な揺れを、カメラがとらえる。画面に映る風景の中に流れる空気の動きが、自然に身体に伝わる。気がつくとその空気に乗って、街角から見知らぬ音楽が聞こえてくる。そしてその一瞬、時間の流れが緩やかになり、主人公は交差点で運命の人とすれ違うのだった。不意の出会いの訪れとはこのようなものなのだと、全身でこの映画を肯定したくなる。その積み重ね。だからすべてが不安定で、もしかするとあったかもしれない別の人生が、そこからふと顔をのぞかせる。その可能性を身体中に染み込ませ、私たちも主人公も大人になるのだ。そんなことを思わせる3時間。もちろん最後に再びあの音楽が……。こうやって映画も人生も、あったかもしれない別の人生もまた、果てしなく広がり続ける。だからこそ私たちは、いつまでも映画を観続けるのだろう。(樋口泰人)

映画.com(外部リンク)

2014年3月27日 更新

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