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イリュージョニスト (2010)

L'ILLUSIONNISTE/THE ILLUSIONIST

監督
シルヴァン・ショメ
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3.91 / 評価:172件

解説

『ぼくの伯父さん』シリーズで名をはせたジャック・タチが娘のために書いた幻の脚本を基に、長編デビュー作『ベルヴィル・ランデブー』で独特のセンスを発揮したシルヴァン・ショメが映画化したアニメーション。昔ながらの手品を披露する老人が純粋な少女と出会い、言葉が通じないながらも心を通わせる姿を温かく描く。1950年代のスコットランドを映像化したノスタルジックな情景が美しく、不器用な老手品師の姿やシーンの中にタチへのオマージュがささげられている。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

1950年代のパリ。場末の劇場やバーで手品を披露していた老手品師のタチシェフは、スコットランドの離島にやって来る。この辺ぴな田舎ではタチシェフの芸もまだまだ歓迎され、バーで出会った少女アリスはタチシェフを“魔法使い”だと信じるように。そして島を離れるタチシェフについてきたアリスに、彼もまた生き別れた娘の面影を見るようになり……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2010 Django Films Illusionist Ltd/Cine B/France 3 Cinema All Rights Reserved
(C)2010 Django Films Illusionist Ltd/Cine B/France 3 Cinema All Rights Reserved

「イリュージョニスト」優雅な所作とサイレント映画を思わせる笑いが散りばめられたノスタルジックなアニメ

 「ベルヴィル・ランデヴー」で世界中を驚嘆させたフランス・アニメ界の鬼才シルバン・ショメが、ジャック・タチが娘に遺した幻の脚本をアニメ化した逸品である。ロシア貴族とオランダの由緒ある額縁職人の血を引くタチは本名をジャック・タチシェフという。第2次大戦で軍役に入る以前、タチは寄席芸人として、作家コレットからも熱烈な讃辞が贈られるほどの人気を博した。本作はそんな自伝的な挿話がベースにある。

 1950年代のパリ。ロックンロールやTVが台頭し、人気が凋落した初老の手品師タチシェフはスコットランドの片田舎に流れ着く。そこで知り合った少女アリスは、彼を魔法使いと信じ込み、後を追う。やがて二人はエジンバラで暮らし始める。

 すべてが淡い夢幻的な色調で統一された水彩画を思わせる画面は、タチが実際に舞台で活躍した30年代といっても通用するほど、ほとんど時代を特定させない本源的なノスタルジアに染め上げられている。

 ショメは前作のような緩急自在なスピード感は抑制し、台詞もぎりぎりまでそぎ落とされ、余計な説明や野暮な心理描写などは皆無。ただし、ジャック・タチの喜劇映画と同様、主人公のパントマイムのような優雅な所作が印象的で、サイレント映画を思わせるスラップスティックな笑いが随所にちりばめられている。実際、主人公が映画館に入ると、「ぼくの伯父さん」が上映されていて、スクリーンのユロ氏と彼が一瞬、見つめ合う場面など、「キートンの探偵学入門」を彷彿とさせる嬉しいギャグだ。

 少女が自らの<世界>を発見する時が訪れ、同時に、映画もほろ苦い余韻を残して、幻影の幕を下ろす。(高崎俊夫)

映画.com(外部リンク)

2011年3月25日 更新

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