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イントゥ・ザ・ワイルド (2007)

INTO THE WILD

監督
ショーン・ペン
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4.04 / 評価:1,106件

解説

すべてを捨てアラスカへと放浪の旅へ出た裕福な青年の心の軌跡を描いた人間ドラマ。ショーン・ペンが監督を務め、原作は冒険家ジョン・クラカワー著のノンフィクション小説「荒野へ」。前途有望な未来を捨て自由を選択したすえに悲惨な最期を遂げる若者を演じるのは『ロード・オブ・ドッグタウン』のエミール・ハーシュ。『ダーティハリー2』のハル・ホルブルックが、愁いをたたえた老人の役で登場。青年が足を踏み入れていく、美しくも厳しいアメリカの大自然の映像も圧巻。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

大学を優秀な成績で卒業したクリス(エミール・ハーシュ)は車や財布を捨て、自由を手に入れるための放浪の旅に出る。労働とヒッチハイクを繰り返し、アメリカからアラスカへと北上。アラスカ山脈の人気のない荒野へと分け入り、捨てられたバスの車体を拠点にそこでの生活をはじめる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)MMVII by RIVER ROAD ENTERTAINMENT, LLC and PARAMOUNT VANTAGE, A Division of PARAMOUNT PICTURES CORPORATION.All Rights Reserved.
(C)MMVII by RIVER ROAD ENTERTAINMENT, LLC and PARAMOUNT VANTAGE, A Division of PARAMOUNT PICTURES CORPORATION.All Rights Reserved.

「イントゥ・ザ・ワイルド」「アイ・ミス・ユー」と呟く陰で苛烈と寛容が激しく競り合っている

 一歩まちがえば、自己愛と自己破壊の葛藤を天秤にかけた話になる。もう一歩まちがえば、愚かな甘ったれの話になる。だが、そうはならない。見終えて思うのは、この映画を撮ったショーン・ペンの並外れた愛情の深さと、当人も制御できないほどの業の深さだ。

 裕福な家庭に育ち、優秀な成績で大学を卒業した青年(エミール・ハーシュ)が、大学院の学費を寄付し、IDとクレジットカードを燃やし、ひとり放浪の旅に出る。

 そこまではありがちな設定だ。旅の途上で青年はいろいろな人に出会う。これもよくある話だ。が、「イントゥ・ザ・ワイルド」はラディカルな映画だ。新鮮で痛烈で底の深い気配は一貫して衰えない。青年がくぐり抜ける風雨や太陽の感触を……彼が出会う人々の呼吸や肌合いを……観客は実感しつづける。

 つまり、青年は「世界と直面」している。観客も、彼を通じて世界と直面する。あまりにも根源的で、通常なら思わず避けてしまいそうな体験だ。青年が漂流する世界の基底には、深い自然と深い人情が横たわっている。苛烈と寛容、残酷と幸福は、どちらも紙一重だ。ペンはそこに眼を据え、青年を神話のなかに閉じ込めたりしない。失敗を描き、救援を描き、幸福と不運と衰弱を描き、なおかつ青年の「勇気」を、むごい「宿命」よりも大きな字で明記する。声には出さぬが、ペンの唇は「アイ・ミス・ユー」の形に開かれている。(芝山幹郎)

映画.com(外部リンク)

2008年8月28日 更新

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