ここから本文です

ウルフ・オブ・ウォールストリート (2013)

THE WOLF OF WALL STREET

監督
マーティン・スコセッシ
  • みたいムービー 637
  • みたログ 3,165

3.62 / 評価:1,952件

解説

実在の株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォートの回想録を映画化した実録ドラマ。1980年代から1990年代のウォール街で、若くして大金を稼ぎ、その後証券詐欺の容疑で逮捕された彼の栄枯盛衰を見つめていく。監督と主演は『ディパーテッド』『シャッター アイランド』などでコンビを組んできた、マーティン・スコセッシとレオナルド・ディカプリオ。事実とは思えないほどのジョーダンのエピソードもさることながら、ジョナ・ヒルやマシュー・マコノヒーら、実力派の共演にも注目。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

学歴や人脈もないまま、22歳でウォール街の投資銀行で働きだしたジョーダン・ベルフォート(レオナルド・ディカプリオ)。巧みな話術で人々の心を瞬く間につかみ、斬新なアイデアを次々と繰り出しては業績を上げ、猛烈なスピードで成り上がっていく。そして26歳で証券会社を設立し、約49億円もの年収を得るまでに。富と名声を一気に手に入れ、ウォール街のウルフという異名で呼ばれるようになった彼は、浪費の限りを尽くして世間の話題を集めていく。しかし、その先には思いがけない転落が待ち受けていた。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2013 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
(C)2013 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

「ウルフ・オブ・ウォールストリート」あの大友勝利を思わせる主人公。この愚者は善悪の彼岸にいる

 ジョーダン・ベルフォートは大友勝利に似ている。

 「ウルフ・オブ・ウォールストリート」を見ていたら、突然そんな考えが浮かんだ。大友勝利は、「仁義なき戦い 広島死闘篇」で千葉真一が演じた破天荒なテキ屋だ。野蛮で粗暴で、「(わしら)旨いもん食うてよ、マブいスケ抱くために生まれてきとるんじゃないの」とうそぶいて木刀を振りまわす男。これほど放埓な個性は、シリーズ全体でも珍しい。

 レオナルド・ディカプリオが扮するジョーダンも、欲望を全開にしてはばからない。銃や木刀は振りまわさないが、だれよりも強欲で、ドラッグとセックスがなによりも好きな男。石頭の道学者が見たら眉をひそめるだろうが、冗談好きが見たらきっと腹を抱えて笑う。馬鹿だなあ、こいつ。でもきっと、これを思い残すことのない人生というのだろうな。

 ジョーダンは、1980年代後半から90年代中盤にかけてウォール街で悪名を轟かせた実在の株式ブローカーだ。ボロ株の取引から出発した彼は、やがて標的を富裕層に変えて年間50億円近い手数料を荒稼ぎする。その先はもちろん、クレイジーな酒池肉林。俗物の極致、金銭至上主義と罵られようと、獣欲に駆られたウルフは聞く耳などもたない。しかもこの餓狼は、兜町のノミや北浜のシラミとちがって精力が桁ちがいだ。愚者といえば愚者だが、善悪の彼岸にいる愚者を思わせる。

 そんな主人公を映画の中心に得て、マーティン・スコセッシの演出も久方ぶりに冴える。やはり彼には、「グッドフェローズ」や「カジノ」の蛮行が一番よく似合う。いいかえればその持ち味は、不埒で奔放で、シリアスな場面にも道徳や社会性などを持ち込まない思い切りのよさだ。話や登場人物の帯びる高電圧に触れて、スコセッシ自身もかつての爆発力と速度を取り戻したような気がする。(芝山幹郎)

映画.com(外部リンク)

2014年1月30日 更新

本文はここまでです このページの先頭へ