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エレメント・オブ・クライム (1984)

THE ELEMENT OF CRIME/FORBRYDELSENS ELEMENT

監督
ラース・フォン・トリアー
  • みたいムービー 12
  • みたログ 40

2.00 / 評価:9件

ラースのはじまり

  • wqp***** さん
  • 2006年12月11日 2時19分
  • 閲覧数 628
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

この作品はヨーロッパ三部作の第一部作品でもあります。





ある敏腕刑事がエジプトから久しぶりに故郷ヨーロッパに戻ってくる。



彼はそこである事件にで出会う。その事件は彼の師匠が以前担当していた事件であった。



彼は師匠がやったのと同様に、師匠が発表した犯罪解決方法「エレメントオブクライム(訳:犯罪の原理)」に基づいて捜査していく。



そのやり方は犯罪者が実際に行った行動を自らで追っていくというものであるが、彼は次第に自らの行っているエレメントオブクライムにはまっていくことになる。





ラースの技術は圧倒的であり、他の監督の追随を許さない。



特に彼の全作品に通していえるのは、彼のライティングについての配慮である。



ドグマを発表し、人工照明を使わなくなってからも、彼は自然の光の角度や方向、それが落とす影を完璧に演出し、映像を魅力あるものに変えている。



今回は全編黄金色のライティングを行うことによって、この作品の不気味な雰囲気を演出し、腐ったヨーロッパという牢獄の中を魅せている。



演出はやはりラースは天才的である。



後の「ヨーロッパ」と同様にコラージュっぽいものも行っている。



しかしこの作品では雰囲気作りをするあまり、退屈ともいえないような状況となっている。



僕も実際、部分部分、多少寝てしまい、何度もみてしまった。



また、セリフを極力少なくし、雰囲気を残そうという事は理解できるが、なかなか伝わりにくい。



映画のストーリーにわかりにくさがあるのは否めないのである。



ラースの準備段階といえるような作品である。



以降彼が大幅な採用をすることになる不気味なアナウンスもここには健在である。



彼が大きく影響受けたであろうキューブリックの「バリー・リンドン」を近いうちにみたい。





さて、彼はこの映画で何を言いたかったのか?



おそらくこれは、ラースの中にある将来のヨーロッパであり、よどんでいる水には過去のヨーロッパが写っている。



ヨーロッパには殺戮の歴史がある。



あらゆる場所で誰かが身も知らぬ誰かを殺しているのである。



パッケージが閉じられたヨーロッパという密室空間で、だれも、ヨーロッパの過去の幻影から逃れることはできない。



だれもが犯罪者の後追いをする。



その瞬間、だれもが犯罪者になりうるのである。



彼はヨーロッパのみならず、現代社会へと警笛を鳴らす。





様々な社会問題が交錯する現代。



僕らはその加害者を執拗に攻めるが、その加害者の歴史をたどれば、ある種加害者になることは必然なのである。



つまり、ある人物を加害者にしたてあげたのはその周りの人物たちでもあり、それはとりもなおさず、僕らの責任へと連鎖していく。



「エレメント・オブ・クライム」



犯罪の原理は全ての社会構成員によってつくられているのである。



犯罪をつくっているのはあなたでもあるのだ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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