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コクリコ坂から (2011)

監督
宮崎吾朗
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  • みたログ 5,069

3.35 / 評価:3,022件

解説

『ゲド戦記』以来、宮崎吾朗が約5年ぶりに演出を手掛けるファンタジックな要素を排したスタジオジブリ作品。16歳の少女と17歳の少年の愛と友情のドラマと、由緒ある建物をめぐる紛争を軸に、真っすぐに生きる高校生たちの青春をさわやかに描いていく。主人公となる少年少女の声を担当するのは、長澤まさみと岡田准一。企画・脚本は宮崎駿。さまざまな価値観が交錯する戦後の高度成長期を背景に、現代を生きることの意味を見つめていくストーリーが感動を呼ぶ。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

東京オリンピックの開催を目前に控える日本。横浜のある高校では、明治時代に建てられた由緒ある建物を取り壊すべきか、保存すべきかで論争が起きていた。高校生の海と俊は、そんな事件の中で出会い、心を通わせるようになる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2011 高橋千鶴・佐山哲郎・GNDHDDT
(C)2011 高橋千鶴・佐山哲郎・GNDHDDT

「コクリコ坂から」団塊世代の青春ドラマからは、ジブリの現在を描く裏テーマが読み取れる

 メトロノームが刻むリズムが規則正しい朝の始まりを告げ、ヒロインのてきぱきとした所作から昭和38年の倹(つま)しい暮らしぶりが立ち現れる。横浜港を見下ろす丘で、高2の少女は日々たゆまず、航海を案じ信号旗を揚げている。それは、船乗りだった亡き父への思慕であり、少年との運命的な出会いを生むきっかけともなる。

 2つの軸がある。ロマンスを阻む出生の秘密と、高校文化部の老朽化した建物“カルチェラタン”の取り壊しを阻止する学園闘争。父親である宮崎駿の企画・脚本による古めかしいプロットに困惑しつつも、宮崎吾朗監督は坂のある街の高低差を生かし、テンポで見せる。恋の駆け引きからは機微を一切捨象し、時代感覚を際立たせるが、アニメーションならではの快楽への昇華には到らない。

 表向きは、希望のあった時代の前向きな青春の姿だ。ただし横浜という舞台には、少女の境遇を形成した朝鮮戦争の記憶が込められた。父の命を奪った特需の時代こそが、現代日本のルーツであるという重層構造は示唆に富んでいる。しかし、演出家の立ち位置が見えてこない。

 戦前生まれが描く団塊世代の青春を、高度経済成長の恩恵に浴して生を受けた世代が撮るという「屈折」から、読み取るべきものは何か。闘争のゆくえを握る学園理事長の容姿と言動は、ジブリ創設者・徳間康快そのもの。そう、カルチェラタンとはジブリであり、血をめぐる彷徨は監督自身の自分探しに違いない。あぶり出されるのは、興味深い裏テーマだ。「ゲド戦記」で父殺しを試みた吾朗にとって本作は、父を受け容れ、ジブリの礎を確認して、自らの宿命を悟るプロセスでもあるのだろう。(清水節)

映画.com(外部リンク)

2011年7月16日 更新

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