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ゼロ・グラビティ (2013)

GRAVITY

監督
アルフォンソ・キュアロン
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3.68 / 評価:4,871件

解説

『しあわせの隠れ場所』などのサンドラ・ブロックと『ファミリー・ツリー』などのジョージ・クルーニーという、オスカー俳優が共演を果たしたSFサスペンス。事故によって宇宙空間に放り出され、スペースシャトルも大破してしまった宇宙飛行士と科学者が決死のサバイバルを繰り広げる。監督を務めるのは、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』『トゥモロー・ワールド』などの鬼才アルフォンソ・キュアロン。極限状況下に置かれた者たちのドラマはもとより、リアルな宇宙空間や事故描写を創造したVFXも必見。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

地表から600キロメートルも離れた宇宙で、ミッションを遂行していたメディカルエンジニアのライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)とベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)。すると、スペースシャトルが大破するという想定外の事故が発生し、二人は一本のロープでつながれたまま漆黒の無重力空間へと放り出される。地球に戻る交通手段であったスペースシャトルを失い、残された酸素も2時間分しかない絶望的な状況で、彼らは懸命に生還する方法を探っていく。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2013 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
(C)2013 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

「ゼロ・グラビティ」ゲームを超えた活動大写真。主人公の生理まで体感できる

 暗い部屋からもっと暗い次の間を覗くと、次の間が深く見える。闇が深く見えるだけでなく、奥行も深く感じられるのだ。子供のころ、私はそれが不思議でならなかった。

 アルフォンソ・キュアロンも、似たような体験をしたのではないか。「ゼロ・グラビティ」を見て、私は思った。冒頭の長まわしが、闇のなかから別の闇に見入っている彼の視線を思わせる。もともと彼には「見入る」癖がある。傑作「トゥモロー・ワールド」で廃墟を凝視してみせた場面などはその好例だ。

 「ゼロ・グラビティ」の設定は、みなさんご存じだろう。作業中の宇宙飛行士(サンドラ・ブロックとジョージ・クルーニー)が、地球から600キロ以上離れた空間を漂流する。重力はない。助けは来ない。声は届かない。

 キュアロンは、このシンプルな設定で90分間、観客を宙吊りにする。発想の基本は「活動大写真」だ。一難去ってまた一難。序盤の快活な雰囲気は、いつしか底知れぬ悪夢へと変貌していく。ただし、この活動大写真はゲーム的ではない。「スター・トレック」に白ける私が身を乗り出したのには理由がある。

 ひとつは、サンドラ・ブロックの頑健な肉体に複雑なニュアンスを帯びさせたことだ。ブロックは、腰も太腿も二の腕もたくましい。その肉体が、浮遊と漂流をつづけるうち、寂寥と絶望を滲ませていく。宇宙空間での孤立はそこまで深い。その心細さは、われわれ観客にも伝染する。漂流を体感するだけでなく、ブロックの生理まで体感してしまうのだ。もし彼女の遭難した場所が大海原や高山だったら、ここまで深い寂寥感を作り出すことはできなかったのではないか。青い光を放つ地球を背景にした宇宙空間は、3Dの大画面と文句なしに相性がよい。(芝山幹郎)

映画.com(外部リンク)

2013年12月5日 更新

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