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上映中

ダンケルク (2017)

DUNKIRK

監督
クリストファー・ノーラン
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3.76 / 評価:2,840件

解説

第2次世界大戦で敢行された兵士救出作戦を題材にした作品。ドイツ軍によってフランス北端の町に追い詰められた連合軍兵士たちの運命と、救出に挑んだ者たちの活躍を描く。監督は『インセプション』などのクリストファー・ノーラン。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』などのトム・ハーディ、『プルートで朝食を』などのキリアン・マーフィ、『ヘンリー五世』などのケネス・ブラナーらが出演。圧倒的なスケールで活写される戦闘シーンや、極限状況下に置かれた者たちのドラマに引き込まれる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

1940年、連合軍の兵士40万人が、ドイツ軍によってドーバー海峡に面したフランス北端の港町ダンケルクに追い詰められる。ドイツ軍の猛攻にさらされる中、トミー(フィオン・ホワイトヘッド)ら若い兵士たちは生き延びようとさまざまな策を講じる。一方のイギリスでは民間船も動員した救出作戦が始動し、民間船の船長ミスター・ドーソン(マーク・ライランス)は息子らと一緒にダンケルクへ向かうことを決意。さらにイギリス空軍パイロットのファリア(トム・ハーディ)が、数的に不利ながらも出撃する。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2017 Warner Bros. All Rights Reserved.
(C)2017 Warner Bros. All Rights Reserved.

「ダンケルク」死と隣り合った灰色の空間で マイナーポエットの眼が働く?

 「戦史」というからには、結果はわかっている。ダンケルク撤退戦もそのひとつだ。第二次大戦の初期、フランス北端の浜辺に追いつめられた連合軍兵士の大脱出劇。歴史に詳しくない人でも、結果は知っているはずだ。

 では、クリストファー・ノーランはこの撤退劇をどう撮ったのか。結果からの逆算は、だれしも思いつく。ただ、よくよく考えなければならない。そのなかで、なにを見せるか。あるいは、なにを省くか。

 戦史を知らないと、疑問はいくつも生じる。ドイツ軍機甲師団は、現在どこにいるのか。ドイツ軍の空爆はなぜ散発的なのか。連合軍の艦船はなぜ救援に来ないのか。ダンケルクの港はなぜ使えなかったのか。

 いま振り返れば答はすべて明らかなのだが、当時、浜辺に逃げ込んだ40万の兵士たちは盲目同然だったはずだ。自分たちは、なにをしているのか。どうすれば苦境を逃れられるのか。五里霧中で、単独行は不可能だ。

 ノーランは、観客も同じ立場に投げ込んだ。説明は抜きだ。ドイツ軍の電撃戦やチャーチルの決断は、この映画には出てこない。兵士も観客も、先は読めない。背後から潰滅的な危機が迫ってくるのはたしかなのに、戦況は断片的に知らされるだけだ。そんなとき、人間と空間はどう変容するか。泣いたり喚いたりしても無駄だ。暴発も感傷も苦悩も作り物になる。不要だ。索漠とした空と海に挟まれ、恐怖と絶望に押しつぶされそうになった若い兵士たちは、どんな行動に出るのか。そして、彼らが体感した空間とはどんなものなのか。

 ただノーランは、かすかな希望を描くことも忘れなかった。これは「ダンケルク」の急所だ。数少ない戦闘機と、小さな民間船。彼らも空間を変える。戦闘機は雲の厚い上空から兵士たちを守り、小舟は潮の流れが読みづらい海を渡って兵士たちの救助に向かう。静かだが、信頼できる勇気だ。そんな勇気を、ノーランは「スケールの大きな物語作家」の眼から離れて描き出す。死と隣り合った灰色の空間で、マイナーポエットの眼がこまやかに働いている。(芝山幹郎)

映画.com(外部リンク)

2017年9月7日 更新

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