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ミカエル (1924)

MICHAEL/MIKAEL

監督
カール・Th・ドライヤー
  • みたいムービー 3
  • みたログ 2

5.00 / 評価:2件

ヨブ記の再現には…

  • bakeneko さん
  • 2015年2月16日 11時10分
  • 閲覧数 137
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

デンマークの作家:ヘアマン・バング(Herman Bang)の作品の2回目の映画化作品で、老画家と青年モデルの関係の推移を軸にして“芸術と愛”というテーマを20世紀初頭の空気感覚の中に格調高く描き出していきます。

原作者のホモセクシュアルを隠さない精神的自伝とも言える筆致を、ドライヤーがストイックな演出で映像化したもので、老巨匠とモデルとして寵愛を受ける青年:ミカエルの関係がロシアの亡命貴族夫人の出現によって崩れていく課程を、不倫関係にある知人の公爵とアリスの破滅的な恋と平行して描いていきます。

芸術と性、死と愛、同性愛といったテーマを、20世紀の画家サロンに出入りする典雅な階級の人々の交歓で描き出していて、本物の高価な衣装や劇場、貴族庭園を用いたクロースアップや移動撮影の美術も見所の作品で、巨匠役を映画監督でもあるベンヤミン・クリステンセンが貫禄を持って演じています。そして主演のウォルター・スレザックは(後に丸々と太って「救命艇」などに出演していますが)繊細な青年を好演しています。

冒頭で語られる箴言が象徴する―“人生の意義”や“芸術と愛の関係”を格調高い映画文法で真摯に追求した、「ベニスに死す」等と同列の作品で、巨匠と若者の関係は「家族の肖像」も連想させますよ(特に老画家のラストシークエンス)。

ねたばれ?
ミカエルが夫人の眼を描けたのは、彼が異性愛的な感覚を持っていたことを表していますが、同時に巨匠が自分の感じたことしか絵に写し取れないことを意味しています。従って、ミカエルの“出奔を始めとした乱行”は、巨匠の畢生の大作:ヨブを追体験させるべく協力していると言えます(ヨブは神様の試練によって様々な辛苦を体験するのですから)。そして、巨匠が過去作品を引用したことが露呈しないように“アルジェリアの風景画”を運び出し、絵画のテーマである悲劇性を完成させるために危篤にも駆けつけなかったのであります。

おまけ―レビュー項目にない北欧映画の紹介を
もっと優しく起こしてくれ~
「リメイク」(スウェーデン:73分)監督:アンドレアス・エーマン&ペール・ガヴァティン監督
「シンプル・シモン」のアンドレアス・エーマン監督らによる―“映画による叙述トリック”が愉しめる青春感性&恋愛ムービーの佳作であります。

総てを録画しておきたいヒロインが、ストックホルムとニューヨークの2人の恋人との邂逅から恋愛の顛末を、一人称視点の映像で語っていく作品で、“スウエーデンの田舎の夏の光vsNYの人工的な賑わい”を、ビビッドな自撮り風映像を駆使して魅せてくれます。
スウエーデン美人のヒロインの肢体も眩しい、女性の恋愛心理とエゴイズムを繊細に描き込んだ作品で、凝り性のヒロインに「シンプル・シモン」と同様のこだわり人物造形も愉しめますし、観客を煙に巻く“映画による叙述トリック”には引っかかりますよ!

ねたばれ?
あの腕のギミックはハルクだな!

その格好で深刻なことを言われても…
「ビッチハグ」(スウェーデン:101分)監督:アンドレアス・エーマン
「シンプル・シモン」の女性編的作品で、スウエーデンの田舎街で燻っているのが嫌でしょうがない少女が一念発起して、夏休みにNYでの生活をレポートする記者生活を計画するが、飛行機に乗り遅れてしまい、知り合った近郊の訳あり少女の家で“偽装NYレポート”を送り好評を博するが…というお話で、性格も境遇も違うティーン少女の友情と成長をスゥエーデンの煌めく夏の中に活写している“少女成長&友情”映画の佳作であります。

NYを演出する可愛らしいトリックを始めとした夏休み感覚と、思春期少女の自分探し感覚が共載された作品で、主人公の姉を始めとした女性陣の美人度の高さと男性のボンクラ度の対比も愉しい映画でもあります。

ねたばれ?
確かにスウエーデン訛り英語ってフランス訛り英語と少し似ていますね!

詳細評価

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音楽

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