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リズと青い鳥 (2018)

LIZ UND EIN BLAUERVOGEL/LIZ AND THE BLUE BIRD

監督
山田尚子
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3.85 / 評価:900件

解説

『映画 「聲の形」』などの山田尚子が監督を務め、武田綾乃の青春小説「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏学部、波乱の第二楽章」をアニメーション化。高校最後の年を迎えた2人の少女が過ごす日々を映し出す。山田監督作『けいおん』シリーズや『映画 「聲の形」』でも組んだ吉田玲子が脚本を、テレビアニメ「氷菓」や『Free!』シリーズなどを手掛けてきた京都アニメーションが、アニメーション制作を担当。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

北宇治高等学校吹奏楽部所属の鎧塚みぞれと傘木希美は、それぞれオーボエとフルートを担当する親友同士。高校3年生の二人にとって最後の出場となるコンクールで選ばれた自由曲「リズと青い鳥」には、オーボエとフルート掛け合いのソロパートがあった。希美はその曲が自分たちのようだと無邪気に話していたが……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)武田綾乃・宝島社/「響け!」製作委員会
(C)武田綾乃・宝島社/「響け!」製作委員会

「リズと青い鳥」手を強く握るだけではなく、その手を解くことの大切さ。細やかな演出が見事

 働き始めてから少しして、取材でとある高校を訪れた時のことをたまに思い出す。懐かしさと共に、学生生活というものは手厚く守られた温室のような環境だったことに気付かされた。しかし、それゆえに感じる窮屈さや不安もあったのだ。「リズと青い鳥」も同じく、温室の中の美しい花々が、その限られた空間と時間の中で部活、友人、進路で悩み日々揺れ動いている。

 集団生活や人との交流が得意ではない主人公の一人みぞれにとって、学校は心地よい空間とはいえなさそうだ。一方、もう一人の主人公であり、みぞれが唯一の拠り所にしている友人、希美は明るく天真爛漫で青春を謳歌している。そんな対照的な二人を描き分ける、日常の動作、歩調、仕草のアニメーションに目を奪われる。セリフのないシーンでも関係性と心の機微が伝わる静かで細やかな演出が見事だ。

 吹奏楽部のコンクールや卒業後の進路など、節目を迎える準備の過程で、みぞれと希美が抱えるそれぞれの葛藤や悩みが浮き彫りになり、二人の関係性が揺らぎはじめる。そんな二人の想いを映すように、タイトルにもなっている「リズと青い鳥」という童話と演奏曲が象徴的に描かれ、こんがらがった気持ちがどのように紐解かれるのか、最後までハラハラさせられる。

 すべての価値観を希美に委ねているみぞれの姿勢は頑なで、友情というより依存のような一面も見える。それほどに不器用でまっすぐな衝動は、誰もが若さゆえの過ちを振り返ってしまい胸が痛くなるだろう。その重みを、受け止めるでも交わすでもなく朗らかにやりすごす希美が少し怖かった。その小さな違和感は、大人になった私達が他人に、そして自分にも感じる、見逃してはいけない大切なひっかかりなのかもしれない。

 絆や繋がりの大切さを強調されることが多い今、手を強く握ることだけではなく、その手を解くことの大切さについて描かれていることが、なんだか嬉しかった。部屋の隅っこに小さな反射光をみつけた喜びのような、繊細な温かさ。それでいてあっという間に伸びてゆく夏草のような芯の強さを見せる少女たちに驚かされる、空が眩しい季節にぴったりな作品だ。(衿沢世衣子)

映画.com(外部リンク)

2018年4月19日 更新

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