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偽りなき者 (2012)

JAGTEN/THE HUNT

監督
トマス・ヴィンターベア
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  • みたログ 801

4.21 / 評価:446件

解説

『セレブレーション』『光のほうへ』などの名匠トマス・ヴィンターベアが、無実の人間の尊厳と誇りを懸けた闘いを重厚に描いた人間ドラマ。子どもの作り話がもとで変質者扱いされてしまい、何もかも失い集団ヒステリーと化した世間から迫害される男の物語は、第65回カンヌ国際映画祭で主演男優賞はじめ3冠を達成した。孤立無援の中で自らの潔白を証明しようとする主人公を、『アフター・ウェディング』のマッツ・ミケルセンが熱演。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

親友の娘クララの作り話が原因で、変質者のレッテルを貼られてしまったルーカス(マッツ・ミケルセン)。クララの証言以外に無実を証明できる手段がない彼は、身の潔白を説明しようとするが誰にも話を聞いてもらえず、仕事も信用も失うことになる。周囲から向けられる憎悪と敵意が日ごとに増していく中、ルーカスは自らの無実を訴え続けるが……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2012 Zentropa Entertainments19 ApS and Zentropa International Sweden.
(C)2012 Zentropa Entertainments19 ApS and Zentropa International Sweden.

「偽りなき者」現代の魔女狩りのドラマ、その驚くべき純度の高さ!

 観客に手に汗握るスリルを提供する映画には、以下のようなお決まりのパターンがある。「事件に巻き込まれた主人公が、為す術もなく絶体絶命の窮地に陥っていく」。同時にそれは、たいてい「主人公が捨て身の反撃に出る」クライマックスへの前ふりでもある。

 デンマーク映画「偽りなき者」はスリラーでもアクション映画でもないが、まさに上記のプロット・パターンに則った緊迫感みなぎるドラマだ。しかし本作の興味深い点は、事件の背景に謎も陰謀も存在しないことだ。幼い少女がたったひとつの嘘をつく。そんな些細な出来事を発端に、主人公はあれよあれよという間に地域から孤立し、変質者の烙印を押されてしまう。映画はそのプロセスを、序盤の十数分で簡潔かつ明快に描く。それゆえに主人公の“為す術もない”危機的状況の深刻さが、このうえなくダイレクトに、どうしようもない絶望感とともに伝わってくる。現代の魔女狩りの標的となった中年男は、想定しようのない速度と強度の凄まじい精神的、経済的、身体的ダメージを被っていく。

 では主人公が“捨て身の反撃に出る”場面は訪れないのか。いや、存在する。打ち倒すべき敵も解明すべきミステリーもない主人公には、題名に掲げられた最後の心のよりどころが残っている。すべての情報を“偽りなく”提示するこの映画は、主人公を取り巻く身近な人々のリアクションもつぶさに見つめ、観る者を容赦なく動揺させ続ける。そして手に汗握るスリルをはるかに超え、驚くほど純度の高い、恐ろしくも厳(おごそ)かな感動を呼び起こすのだ。(高橋諭治)

映画.com(外部リンク)

2013年3月14日 更新

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