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八日目の蝉 (2011)

監督
成島出
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3.94 / 評価:2,504件

解説

誘拐犯の女と誘拐された少女との逃亡劇と、その後の二人の運命を描いた、角田光代原作のベストセラー小説を映画化したヒューマン・サスペンス。監督は、『孤高のメス』など社会派エンターテインメント作品で定評のある成島出。誘拐された少女の大学生時代を井上真央が演じ、愛人の娘を誘拐する女性に永作博美がふんするほか、小池栄子や森口瑤子、田中哲司など実力派俳優が勢ぞろいする。(タイトルの「蝉」は、「虫」に「單」が正式表記)

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

子どもを身ごもるも、相手が結婚していたために出産をあきらめるしかない希和子(永作博美)は、ちょうど同じころに生まれた男の妻の赤ん坊を誘拐して逃亡する。しかし、二人の母娘としての幸せな暮らしは4年で終わる。さらに数年後、本当の両親にわだかまりを感じながら成長した恵理菜(井上真央)は大学生になり、家庭を持つ男の子どもを妊娠してしまう。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2011映画「八日目の蝉」製作委員会
(C)2011映画「八日目の蝉」製作委員会

「八日目の蝉」親の幸福追求にさいなまれた娘の魂は癒されるのか

 まず脚本の妙に引き込まれる。母と娘を描いた原作の2部構成に大胆な改変を施したのだ。不倫相手の妻の赤ん坊をさらった希和子(永作博美)が逃亡を繰り広げる発端が過去へと追いやられ、冒頭に配されたのは、彼女が法廷で裁きを受ける場面。必死の歳月はいきなり総括され、業を抱えて成長した娘・恵理菜(井上真央)の視点に比重を寄せたドラマであることが強調される。

 冷え冷えとした娘の現在と温かな母の子育ての過去。カットバックされ交互に描かれていくことで、恵理菜の記憶にはない思い出が手繰り寄せられていくかのような効果がある。そしてあぶり出されてくるのは、母性というものの底知れぬ偉大さ。さらには、娘にとっての幸福な原風景が、本来憎むべき相手と無条件で愛し愛される関係の日々だったという大いなる矛盾。罪深き聖母ともいえる永作博美の表情には凄みさえ感じられ、逃亡の地・小豆島の美しき風景は愛情に満ち溢れた人生の結晶としてきらびやかに輝いている。

 これは、親の幸福追求にさいなまれた娘の魂が、過ちを繰り返すことなく癒されるかと問う、漂流の物語である。7日で世を全うするという蝉にとっての終末後――虚ろな時間はプラスに転化できるのか。何よりも欲望を優先させてきた結果、この国のあらゆるものが溶融していきそうな終わりの始まりを生きる今、喪失の悲しみを抜け出す糸口が、この物語にはあるように思えてならない。恵理菜の苦悩がいかにして鎮められるかを目撃し、希望の在り処を見出したい。(清水節)

映画.com(外部リンク)

2011年4月28日 更新

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