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冷たい熱帯魚 (2010)

COLDFISH

監督
園子温
  • みたいムービー 500
  • みたログ 3,042

3.50 / 評価:1,731件

解説

上映時間約4時間の『愛のむきだし』などで話題となった鬼才、園子温監督による人間の狂気と愛を描いた作品。実際の猟奇殺人事件に触発された園監督が、猟奇殺人事件に巻き込まれることになる男性が味わう深い心の闇に迫る。主演は、『掌の小説』など数々の邦画に出演しているベテランの吹越満。共演者も『嫌われ松子の一生』の黒沢あすかや『月と嘘と殺人』のでんでんら実力派ぞろい。第67回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門正式出品の問題作に、震撼(しんかん)させられる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

熱帯魚店を営んでいる社本(吹越満)と妻の関係はすでに冷え切っており、家庭は不協和音を奏でていた。ある日、彼は人当たりが良く面倒見のいい同業者の村田と知り合い、やがて親しく付き合うようになる。だが、実は村田こそが周りの人間の命を奪う連続殺人犯だと社本が気付いたときはすでに遅く、取り返しのつかない状況に陥っていた。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

「冷たい熱帯魚」真理を突き詰めているからこそ、滑稽で恐ろしく、悲しい

 園子温の作品には、滑稽さと狂ったエネルギーという2つの熱帯低気圧がある。滑稽さの比重は作品によって様々だが、彼の場合この比重が大きくなるともうひとつの狂ったエネルギーも膨らみ、合体して巨大なサイクロンと化す。狂ったうねりだ。

 このサイクロン・パターンの作品では、通常登場人物は駄々っ子のようなキョーレツで計算外の暴れ方をする。そのためうねりが思わぬ方へ進んでいき、きれいにまとまらない。しかし破綻しているけれどそこが面白い、という感じなのだが、今回はテーマに沿ってまっすぐ突き進んでいく。そしてじっくりと、死にたくないから死に物狂いになるという主人公の矛盾した状況から、滑稽さを前面に押し出す。横に逸れる甘さなどない。この映画はブラックジョークだから滑稽なのではなく、真理を突き詰めているからこそ滑稽なのだ。だからおかしくも恐ろしく、悲しい。

 どこの国のどんな映画であっても描いているのは人生であるにもかかわらず、滑稽さが出るまで突き詰めているものは多くない。どうやら人生とは滑稽だということを自ら経験した監督にしか、この壁まで近づけないようである。園子温は明らかに経験者であり、だからこそ作品の出来不出来とは別に、滑稽さが存分に出ているほうが彼の持ち味は活かされる。

 最後になってしまったが、でんでんの素晴らしい演技は必見。芝居は上手いか下手かだけでなく、魅力を吹き込むことだと改めて思い出させてくれる、日本映画史上に残る悪役の登場だ。(木村満里子)

映画.com(外部リンク)

2011年1月27日 更新

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