ここから本文です

夜明け告げるルーのうた (2017)

LU OVER THE WALL

監督
湯浅政明
  • みたいムービー 133
  • みたログ 703

3.75 / 評価:585件

アニメーションは芸術だ

  • ざぶとん さん
  • 2017年12月28日 12時58分
  • 閲覧数 681
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

本作で何より注目すべきは、やはり独特な映像表現でしょう。リアリティを追求するのではなく独自の想像をそのまま映像にする作り方には衝撃を受けました。それにバンドの音楽が上手い具合に重なり、圧倒的な世界観で観る者を魅了します。監督の独自のイメージをそのまま映像化しているようなものなので、実際のものとは似ても似つかぬ表現になっているのですが、これが映画作品として非常に良い味を出しています。独創的な世界観を作るというのは、細かなディテールまでリアリティを追求する(たとえそれが非現実的なものであっても)近年のアニメーションの傾向を完全に無視した作風であり、強い衝撃を受けました。手描きならではの表現で魅せる、湯浅政明監督は独自の表現を持っているのですね。どの作品にも似ても似つかぬ表現、監督が自ら生み出したであろうその表現にただただ圧倒されます。これぞアニメーションの芸術的要素です。エンターテイメントとしてもかなりの見応えがあります。

「君の好きは僕を変える」が本作のキャッチコピーなのですが、このコピーの言葉こそが本作の物語の根幹です。誰かとの出会いが自分を変えるきっかけになるのはもちろん、どこまでも正直に物事を言うことで、自分自身は変われるということの暗示です。そこから感じる、大切な人や大切な存在とは…、心にしみます。

また、ルー役の谷花音の演技が非常に上手いです。君の名は。の四葉を演じていた時にも思ったのですが、12歳(君の名は。は11歳)でここまで出来ますかと思うほどの演技力の高さです。他のキャラクター役の人も演技力が高く、作品の独創的な世界観をさらに引き立てることに成功していました。

ただ、映像に力を入れているのは分かるのですが人間ドラマやストーリー展開にももっと注意を払ってほしかったと思うところがあります。特に最初の方の、主人公カイがヒロインの人魚ルーが心を開いていく様子や、友情をもっと丁寧に描いてほしかったです。急に人魚が現れてすぐに仲良くなれるのも不思議ですし、友情を丁寧に描いておかないとラストの言葉に説得力が生まれず、感情移入できないからです。また、ルーの登場時間をもっと増やしてもらいたかったです。主軸のテーマ上、本作で最も全面的に出すべきキャラクターがルーですから。
キャラクター描写もあまり上手いとは言えませんでした。キャラクターの感情表現や心情描写が粗っぽく、そこから生まれる感動等の名シーンは特にあるとは思いませんでした。


この作品はストーリーより映像と世界観を見て楽しむ映画だと感じます。映像で魅せるという意味ではハウルの動く城や崖の上のポニョにも通ずる部分がありますね。個人的にはすごく楽しめましたが、ストーリーに重きを置いて映画を観るという人は本作はあまりオススメできません。ストーリーに関しては、映像で全てまとめて演出しているのですが、上手くまとまっていないと感じることもあります。また、映像表現が独特(クセがある)ので好みが分かれそうです。

星4つ、本作はその世界観から、子どもが特に楽しめそうな作品です。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • かわいい
  • スペクタクル
  • ファンタジー
  • 不思議
  • 楽しい
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここまでです このページの先頭へ