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復讐するは我にあり (1979)

監督
今村昌平
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3.99 / 評価:307件

大宇宙からの放逐。ウシジマくん。

  • uqj***** さん
  • 2018年6月17日 11時43分
  • 閲覧数 1818
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

ビートたけしが最初の監督作『その男、凶暴につき(1989)』
を作っている時に
「いつもTVであれほどの頭の良さを見せている貴方がつまらない作品をつくるわけがない。周りのベテランのスタッフに気おくれすることなく、堂々と自分の撮りたいものをつくってください。」
という励ましの手紙を送ったのがこの今村昌平監督です。

その後、たけしはこの手紙が自分が監督を続けてゆく上でいかに
心の支えになったかを複数のインタビューで
語っている。

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昭和30年代の終わりに実際に起こった連続殺人事件をもとにした
佐木隆三の小説を原作としているんだけど、
映画としての公開作品は昭和54年(1979年)なんで、
そのころの社会はもう、事件のあった昭和30年代の風景からは随分と変化した
世の中になってたんでね。

まあちょっと、私みたいに当時の日本を実際に知ってる世代の人間が観ると
かなり時代考証面での齟齬が目立つ、っちゃあ目立ちますね。

タクシーなんかどの車もあんなの、昭和30年代には
絶対になかった車種ばかりやし、群衆の髪形・服装、遠足の小学生たちの服装、
コカコーラの紙コップ、街中の自動販売機、電柱のカバーや
街灯の形も明らかに昭和50年代以降のものばかりだし、

フェリー乗り場の壁のポスター、吸い殻入れのデザイン、床のタイル、
なによりも国鉄の電車の内部の構造が現在とほとんど変わらない事、
(後半に出てくる山手線の電車の方・前半の地方線のほうではなく)
昭和30年代当時には絶対に存在していない有名企業のデカい看板の
映り込み、夜の街の電飾看板の垢ぬけた今風のたたずまい・・

・・

まあ私が中学生だった頃の1979年の社会の{現代っぽさ}が
逆に強調されて見えてしまうほどの(笑)
{時代考証面での過剰なイイカゲンさ}が少々、大バクハツしちゃってますが

今のこの時代に観るとそれでもなお、
なにかしら新鮮に感じますね。  昭和ってエエなあ・・

平成生まれぐらいの人には、逆にどこがどうギャップなのか分からないと
思うので、そのまま観ればそれでいいと思いますけど。

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主演の緒形拳の演技が何よりも素晴らしいのと、
小川真由美さんのカラミも強力に記憶に残る力がありますね。

終盤ちかくの、緒形拳が小川真由美を〇っちゃってからの、
延々と真上の天井の位置から撮りおろしている長廻し。

あのシーンにこの作品のすべてが集約されているように
感じました。 このエーガのすべてがあれに、言わば [暗黒的に]
結実してるんですね。

あのシークエンスだけ、この榎津という主人公が自分の
人生を遂にコントロールできなくなっているんですな。

あれがこの作品の「ブラックホール」というかね、
あれが榎津が最終的にこの彼の存在する日本から、世界から、宇宙から
放逐された瞬間だと思うんですね。

で、その
[ひとりの人間がこの大宇宙から永遠に追放された瞬間] を

今村昌平は真上の・この浜松のボロい連れ込み旅館の天井に
やどった [無言の神の視点] として、
静かに観察し続けているわけです。

同情のかけらもなく、
ひたすら残酷に
黙って天井付近から観察し続けているのです。

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骨を投げつけるシーンの、徐々にエキサイトしてくる
あのふたりの燃えたぎる怒りの様子も
凄かったね。

この悪魔的な主人公のただただ、
自分勝手な・少年時代からの勘違いした人生の極悪さが
非常によくでていたのと、

これは結局のところ、
今の時代でいう
「闇金ウシジマくん」の
世界なんですね。

榎津が育ったあの家庭もクリスチャンではあるものの、結局のところ
あの父親が相当にいい加減な人間でもあるのだし、
刑務所帰りの犯罪者の息子に簡単に小遣いやるようなよくわかんない
母親もいる。

浜松のボロ旅館にしても住む人間のすべてが
いい加減で自分を律するところがまるで無いライフスタイルなわけで、

そういう
「人間の自堕落さ」というものの恐ろしさを警告する
作品となっているところが
どうも俺なんかには


あの傑作マンガを強力に思い出させるところが
あるんですわ。

詳細評価

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