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心が叫びたがってるんだ。 (2015)

監督
長井龍雪
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3.79 / 評価:3,799件

解説

監督に長井龍雪、脚本に岡田麿里、キャラクターデザインに田中将賀と、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』シリーズのメンバーが集結した青春アニメ。ある出来事が原因で家族がバラバラになり、自身も話すことができなくなった少女が、地域交流の一環で上演される舞台での主演を経て、その運命を大きく変えていく。ボイスキャストには、内山昂輝、水瀬いのり、細谷佳正、雨宮天らが名を連ねている。幻想的で心温まる物語はもちろん、繊細なビジュアルも見どころ。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

活発な少女だったものの、ある事を話したことで家族がバラバラになった上に、玉子の妖精にしゃべることを封印された成瀬順。そのトラウマが心に突き刺さり、隠れるようにして生きていく。ある日、通っている高校の地域ふれあい交流会の実行委員会のメンバーになり、さらにそこで上演されるミュージカルの主役を務めることに。困惑する順だったが、メンバーの坂上拓実、田崎大樹、仁藤菜月と行動を共にするうち、自分の中の変化に気付きだす。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)KOKOSAKE PROJECT
(C)KOKOSAKE PROJECT

「心が叫びたがってるんだ。」言いたいことを言えない空気を変える勇気の話

 これは思いを伝える勇気の話だ。見る人の思い出を刺激しながらほんの少しの勇気の大切さを、痛みとやさしさをもって伝えてくれる。

 「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の監督、脚本家、キャラクターデザイナーが再結集した“あの花トリオ”の新作で、舞台も同じ秩父であるから、本作を“あの花”のイメージを持って鑑賞する人が多いだろうが、だいぶベクトルが異なる。この作品は、伸びやかな感動よりほろ苦さも交じる複雑な余韻を残す。

 学校の閉鎖的で抑圧的な人間関係。面倒な実行委員を押し付け、やる気のない同級生、おとなしい子に向けられる冷笑。学生時代に体験した人も多いであろう、目立つと叩かされそうなギスギスした空気が充満する。

 本作のヒロイン順は、幼い頃の発言で両親の離婚を招いたせいで、玉子の妖精に喋れなくなる呪いをかけられる。そんな彼女が本心を伝える唯一の方法が歌うこと。そんな順のために、もう一人の主人公、坂上はクラスの出し物でミュージカルの製作を提案する。呼応した彼女の勇気が少しずつクラスの雰囲気を変えていく。

 もう一人のヒロイン菜月もまた本音をいえずに苦しんでいる。チアリーダー部の部長で優等生、社交的な彼女の言葉はまるで本音を隠すためにあるかのようだ。彼女も坂上との過去の諍いで(順とは別種の)呪いを自らにかけている。本作のテーマは、本心を言いづらい社会に、本心を伝えることの大切さ。両ヒロインがそれぞれ別の方向からテーマを体現する。順は言葉で傷つけることが怖くて、喋れなくなった。菜月は言うべきことを言えなかったから後悔を抱えた。その2人が終盤のミュージカルシーンでどのような配役になるのか注目してほしい。

 言葉で人を傷つけたこと、言えなくて後悔したことのある人なら、スクリーンに自身の思い出が写されているような気持ちになるだろう。全てが上手くいったと言い切れないラストは、それでも登場人物たちの勇気で前向きな余韻を残してくれる。(杉本穂高)

映画.com(外部リンク)

2015年9月17日 更新

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