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渇き (2009)

THIRST

監督
パク・チャヌク
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3.45 / 評価:202件

解説

人体実験によってバンパイアになった牧師と人妻との禁断の情事を叙情的かつ暴力的に描くスリラー作品。『オールドボーイ』のパク・チャヌク監督がメガホンを取り、2009年カンヌ国際映画祭の審査員賞を受賞。敬虔(けいけん)な神父から一変、血と欲望のとりこになるバンパイアを『シークレット・サンシャイン』の韓国の演技派俳優ソン・ガンホが演じる。人間の業を鋭くえぐり出しながら、ところどころにユーモアなどを織り交ぜた独特の世界観を楽しみたい。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

伝染病の人体実験で奇跡的に助かった神父のサンヒョン(ソン・ガンホ)だったが、そのせいでバンパイアとなった運命に苦しんでいた。そんなある日、サンヒョンは友人ガンウ(シン・ハギュン)に再会し、その妻テジュ(キム・オクビィン)と強く惹(ひ)かれ合うようになる。愛欲におぼれる二人は共謀し、ガンウの殺害を企て……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2009 CJ ENTERTAINMENT INC., FOCUS FEATURES INTERNATIONAL & MOHO FILM. ALL RIGHTS RESERVED
(C)2009 CJ ENTERTAINMENT INC., FOCUS FEATURES INTERNATIONAL & MOHO FILM. ALL RIGHTS RESERVED

「渇き」自己と他者に向けられた鋭い眼差しが、独自の世界を切り開いていく

 “バンパイア映画”と“フィルムノワール”はどちらも、欲望、肉体、暴力、死、影などを通してエロティシズムと深く結びついている。だから、ふたつのジャンルを巧みに絡み合わせたこの映画では、エロティシズムが際立つが、もちろん見所はそれだけではない。

 自己と他者との関係というテーマに関心を持つ監督は少なくないが、誰もパク・チャヌクのようには描かない。復讐する者とされる者は、決して和解に至ることなく、双方の痛みが大胆なアプローチと強烈な描写で執拗に掘り下げられていく。自分がサイボーグだと信じる少女に、精神科の治療は通用しない。彼女を生かすためには、サイボーグとしての性能を向上させ、人間に近づけるしかない。

 厳格に自己を律するカトリックの神父がバンパイアになるという「渇き」の発想は、アベル・フェラーラの世界を連想させるが、これは衝動の臨界における覚醒を描き出す作品ではない。自己と他者に向けられた鋭い眼差しが、独自の世界を切り開いていくのだ。

 神父は、虐げられている人妻に救いの手を差しのべているのか、彼女を純粋に愛しているのか、肉体の快楽に溺れているのか、本能に抗えないのか。人妻は、神父を愛しているのか、利用しているだけなのか。バンパイアになることで、解放されるのか、虜になるのか。彼らの渇きを潤すものとは何なのか。

 その答えは、自己と他者を隔てる多様な境界が生み出す混沌、亀裂、深淵に呑み込まれていく。(大場正明)

映画.com(外部リンク)

2010年2月25日 更新

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