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牝猫たち (2016)

監督
白石和彌
  • みたいムービー 48
  • みたログ 135

4.00 / 評価:106件

(女)捉え所の無い不安/(男)諦めの中の肯定

  • パンダの鑑賞 さん
  • 2017年1月31日 11時21分
  • 閲覧数 1078
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

日活ロマンポルノって、絡みのシーンを何分かに1回入れれば、後は自由に映画を作れるって事で、若手監督の登竜門的存在だったらしいですよね。

好きな俳優さんが出てるって事で何作か観たことあるんですが、
唐突に絡みのシーンが入ったり、
お笑いか!!って吹いてしまうような絡みがあったりと・・・色々楽しい日活ロマンポルノ。

今回の作品は、暴力的作品で有名な「凶悪」の監督:白石和彌作品。

この、「雌猫たち」はヤフー映画の近日公開作品を閲覧中に引っかかった。
画像・タイトルで気になり、日活ロマンポルノの文字に心躍り、予告で見に行くと決めた作品。
そしてキャストに!!!昔から応援している郭智博の文字が・・・運命を感じる作品!(笑)

さてさて、映画の内容ですが、
雌猫たちの底なしの孤独が上手く映像から伝わって来ましたね。
男性には捉えにくいかもしれませんが、多くを語らなくても節々に彼女たちの寂しさが出ています。


女性陣は、
自分とは何なのか、どこに行くのか、何も分からない孤独の中に居る雅子。
誰かに寄り添い依存していないと生きていけない結衣。
他者から必要とされる事で自分の存在価値を見出そうとしている里枝。

一方男性陣は、
引きこもりでありながら、現状に対して不満も無い高田。
転んでも生き抜く力は有りそうなデリヘル店長野中。
若さと勢いはピカイチの吉村界人演じるデリヘル運転手。
笑顔に隠された暴力的な闇を漂わせる谷口
松永拓野演じる結衣の子供を預かるニート(?)の男。虐待を知りながらも、傍観者として接するのが身の丈にあっていると考えているような男。
人生の寂しさから里枝と無理心中を図ろうとする金田(だったかな?)。

何だか最近は、男と女の違いをくっきりと描いた作品に出合う機会が多い。
この作品も違いが明確に出ている。
形の無い不安に押し潰されそうな女性と、
諦めの中にも自己肯定をはめ込む男性。
どちらが強いとか弱いとかじゃないんだけどね。

雅子が高田に言う「逃げないで真っ直ぐに私を傷つけてよ」。
高田は雅子の要望に応えセックスするけど、結局雅子の状況は何一つ変わらない。
おそらく、今後高田が雅子と交流する事は無いのだろうが、ダメージを大きく背負ったのは高田の方では無いだろうか。
高田にとって他者と真摯に向き合う事は、きっと自己の否定に値する行為なのでは無いだろうか。
それでも高田は、時間と共に孤独の中に戻り、自己肯定を再び行い居場所を作るだろう。そして二度と雅子のような存在を受け入れないと想像する。


雅子は高田に傷つけられた体を、数分後には違う男に買われている。
高田に傷つけてと懇願し、傷ついたはずの心。雅子自身も変われる事に期待したのだろうか?
そこは現代の闇?ホームレスの女が生きて行くには、この道しかないのか?
それか真実の愛でも無い温もりでは心が動かなかったのか・・・・
雅子は車にのって何を思っているのか・・・救いは無いのだけど、妙に納得してしまうラストシーン。

結衣、里枝の状況も、またしかり。
結衣のような女性はリアルですね。
いつも不安で寂しくて、だから苛立ってて、愛なんて要らない言ってるのに、誰よりも愛情に飢えてる。
本当に心から愛してくれる人に出会うまで、別れを何度も繰り返し、疲弊して、嫌な人間になって、騙されて・・・

里枝は堅実な普通の女性。
好きになった男性と結婚して子供を産んで穏やかに生活するのが夢のような人。
歯車が1個欠けて狂い出して、その欠けた部分を補修出来なかった。
旦那に女として相手にされなくなった妻って設定でしたが、まぁ現代でも多い闇だですね。

ロマンポルノでありながら、心の闇、現代の闇、人と人との繋がりを上手く描写していて素晴らしい作品だった。希望を持てるとかは無いけど、妙に納得してしまうラストも良かった。

俳優陣の演技も素晴らしい。
特に雅子役の井端珠里。シーン毎の声のトーンや言い回しが絶品。
配役が皆あってましたね~郭さんの高田・・・引きこもり感、郭さんの「熱くなるの面倒くさぁ~」な演技も健在で素晴らしかった。

色々思ってしまって、かなり長いレビューになってしまったなぁ(笑)

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • セクシー
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  • 悲しい
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