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私たちのハァハァ (2015)

監督
松居大悟
  • みたいムービー 68
  • みたログ 210

3.29 / 評価:178件

解説

『アフロ田中』などの松居大悟監督と人気ロックバンド「クリープハイプ」が、『自分の事ばかりで情けなくなるよ』に続き再タッグを組んだ青春ロードムービー。クリープハイプが大好きな女子高生4人が、東京で行われるバンドのライブを観るため、福岡から東京まで自転車で旅する姿を描く。女子高生を井上苑子、大関れいか、真山朔、三浦透子という面々が演じるほか、『愛の渦』の池松壮亮と中村映里子らが出演。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

福岡県北九州市の田舎町に暮らす女子高生4人組は、ロックバンド「クリープハイプ」が大好き。福岡のライブを観に行き出待ちした際、「東京のライブにも来て」と言われたことから東京に行くと決める。こうして高校生活ラストの夏休みに、自転車で東京を目指す彼女たちの旅がスタートし……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2015「私たちのハァハァ」製作委員会
(C)2015「私たちのハァハァ」製作委員会

「私たちのハァハァ」現実と映画が幸福に融合した、青春映画のマスターピース

 北九州の女子高生4人組が高校最後の夏休みに、若手ロックバンド「クリープハイプ」のライブを見るために自転車で東京を目指す。若さや衝動の眩しさをきちんと捉えつつ、ただのロードムービーに終わらなかったのは、クリープハイプというバンドを基点にしたキャラクター造形の秀逸さにある。

 東京へ行きたくて仕方がないのは、ボーカル尾崎を神格化し、本気で愛している文子。彼女の主体は「尾崎さん」にある。バンドも好きだがそれ以上に自分が歌うことを大切にしている一ノ瀬は、地元から離れるために家出同然で旅に参加した。彼女の主体は常に「私」である。ベーシストのファンで彼氏持ちのリア充・さっつんにとって一番大切なことは、この4人で楽しい時間を過ごすこと。よって、主体は「私たち」にある。優柔不断のチエはみんなにあわせてバンドを好きと言っているだけで、本音ではいつ旅を終えてもいいと思っている。彼女の主体は流動的だ。

 セーラー服&ママチャリという同じ装備をした4人は当初、周りから見ればただの“クリープハイプ好きの女子高生”という集団だったし、本人たちもそこに居心地の良さを感じていただろう。しかし、制服を私服に着替え、自転車を乗り捨て、ヒッチハイクをし、交通費を稼ぐためにバイトをし、ツイッターで自分たちの動向をアップすることで、彼女たちの旅は、社会における自分の位置や価値を知る場になっていく。さらにはバンドへの愛情の違いが浮き彫りになり、衝突し、集団から個へと切り離されていく。

 バンドへのベクトルも温度も違う4人をひとつの旅に放り込めば、そりゃ自ずとドラマが生まれるというお手本のような脚本である。しかし、4人の会話は文字をなぞっているようには聞こえないくらいいきいきとしているし、ケンカのシーンの涙は本物にしか見えない。それを成し得たのは、撮影当時、全員が現役の高校生で、うち3人が演技未経験だったからだろう。演者も、キャラクターも、荒削りだから輝いている。現実と映画が幸福に融合した、青春映画のマスターピースが誕生した。(須永貴子)

映画.com(外部リンク)

2015年9月10日 更新

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