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上映中

羊と鋼の森 (2017)

監督
橋本光二郎
  • みたいムービー 681
  • みたログ 1,161

3.97 / 評価:957件

美しい音、美しい大自然、つながる世界

  • jam oji tc さん
  • 2018年6月14日 21時25分
  • 閲覧数 478
  • 役立ち度 8
    • 総合評価
    • ★★★★★

 豊かな自然の中で育った良い羊の毛から作られたフェルト、それでできたハンマーが鋼の弦を叩き、ピアノは音を出す。調律師・板鳥が鳴らす音を聞いて、高校生の戸村は森の匂いを感じ、森の景色を思い浮かべた。ピアノは羊と鋼の他に、木からも作られている。(映画では出てこないが原作では「もしかして、ピアノに使われている木は、大雪山系の山から切り出した松ではないでしょうか」と戸村が板鳥に聞く場面がある) 北海道の山に生まれ森で育った戸村はピアノの音の中に、美しい森の世界を感じた。そしてその森の(音の)世界の中に、深く足を踏み入れようと思った。
 板鳥も気付いていた、この若者が本当に美しい音を、(本人はまだ意識していないが)わかる人物だと。彼を調律師へと導き、見守っていく。

 原作・宮下奈都著「羊と鋼の森」、小説なので、もっと詳しく調律師の世界とか、人物描写、内面描写など詳しく描かれていて、その世界はより伝わってくる。でも、「百聞は一見にしかず(一聴にしかず)」というか、実際にピアノの構造を見せてくれ、美しい音楽を聴かせてくれ、美しい景色を見せてくれると、より、この物語世界のイメージが膨らんでいく。映画のストーリーや人物の演技面など不満に感じる所もあったが、映画ならではで表現できる部分を味わう事により、原作小説もさらに深く楽しめることになると思う。

 不満点のいくつかとしては
 まず冒頭からの主役・戸村の山崎君のナレーション、棒読みに驚く。今作では、主人公が素朴で自信の無い人物から始まる役柄なので、それに合わせているという面もあるかとも思うが、その後もいくつか気になる所があった。今作の純粋な若者の役に山崎君は良くあっていてとても好印象で良かったが、演技力という面では不満も感じた。
 役者では板鳥役の三浦さんと秋野役の光石さんが調律師の深い世界を感じさせてくれて良かったが、他では役柄を演じている所に留まるという風に感じられる人も多いと感じた。
 予告編などでも盛り上がりの場面として出てくる、コンクール後に弾けなくなった姉妹の一人の事に苦悩し、雪の中で戸村が「僕の調律のせいで弾けなくなってしまった」「何のために僕は調律師をしているんですか」の場面は映画オリジナルだが、その理由でそこまでの苦悩を盛り上げるのは無理があると感じた。
 戸村の家族・兄弟のエピソードもあまり上手く盛り込めていないように感じた。
 もう少し調律の世界の詳細に触れてあると理解が増すかも。例えば、コンサートでピアニストの響きの要請に板鳥がピアノのキャスターの向きを変えていたがその意味はこちらにはわからなかった。(原作だと、ピアノの足の向きで重心の位置が変わる、その時ピアノの側板のたわみ方が変わって音の広がり方が変わる、など記述があり納得できる)


 音楽の世界と(北海道の山・森・季節・気象など)大自然の景色の世界が展開していてうっとりして見る事ができた。
 出てくるピアノ曲も良かった。
 姉妹でピアノを弾いている佐倉和音・由仁の上白石萌音・萌歌はよくぞこれにピッタリはまる女優姉妹があったもんだと思った(本名の名前からして音楽姉妹の感じ)
 調律に行く家の場面では引きこもりの青年の場面(子犬のワルツ)のところが心に残った。弾いた後の森永悠希君の虚ろだけど幸せそうな笑顔がよかった。
 プロのピアニストを目指すと言った和音、「ピアノで食べていくのは大変だよ」の言葉に「ピアノで食べていこうなんて思っていない」「ピアノを食べて生きていくんだよ」。人生で何かに挑戦して行くとき、この意味を問いかけ続けてみたいと思った。
 エンドロールに流れる、久石譲・辻井伸行の曲は名曲だと思った。

 音の世界の美しさ、そして森の匂い(大自然の美しさ)を感じさせる。素晴しさを持っている映画だと思った。

詳細評価

物語
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音楽

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