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風立ちぬ (2013)

THE WIND RISES

監督
宮崎駿
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3.35 / 評価:8,559件

解説

宮崎駿監督がゼロ戦の設計者・堀越二郎と作家の堀辰雄をモデルに、1930年代の日本で飛行機作りに情熱を傾けた青年の姿を描くアニメ。美しい飛行機を製作したいという夢を抱く青年が成し遂げたゼロ戦の誕生、そして青年と少女との出会いと別れをつづる。主人公の声には『エヴァンゲリオン』シリーズなどの庵野秀明監督を抜てき。ほかに、瀧本美織や西島秀俊、野村萬斎などが声優として参加する。希代の飛行機を作った青年の生きざまと共に、大正から昭和の社会の様子や日本の原風景にも注目。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

大正から昭和にかけての日本。戦争や大震災、世界恐慌による不景気により、世間は閉塞感に覆われていた。航空機の設計者である堀越二郎はイタリア人飛行機製作者カプローニを尊敬し、いつか美しい飛行機を作り上げたいという野心を抱いていた。関東大震災のさなか汽車で出会った菜穂子とある日再会。二人は恋に落ちるが、菜穂子が結核にかかってしまう。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2013 二馬力・GNDHDDTK
(C)2013 二馬力・GNDHDDTK

「風立ちぬ」風、飛行機、夢、美少女との純愛。ロマンチスト宮崎駿の集大成

 古い日本家屋で、すやすやと眠っている少年。彼は夢の中で、憧れのジャンニ・カプローニと飛行機で真っ青な空を駆けながら、こう語る。「僕は美しい飛行機をつくりたい」。夢みることと、夢を見ること。これを併せて描くことで、得意のファンタジー性を生かすアイデアに、まずはうなった。そう来たか!

 ジブリ映画で初めて実在の人物をモデルにした作品は、宮崎駿監督の趣味全開。メガネをかけ、飛行機に憧れ、仕事とタバコから離れられない主人公の二郎は明らかに監督の分身だ。そして驚くべきは、監督がその徹底したロマンチストぶりをさらけ出していることである。

 すべての場面に風が立っている。その中で夢と純愛に生きるまっすぐな二郎は、監督にとっての理想そのものだ。一コマ一コマが、叙情文学の一行一行のように訴えかけてくる。映画自体が、病に引き裂かれるとわかって二郎に「美しいところだけ」見せようとした菜穂子のようでもある。哀切さが降り積もるようなふたりの愛には、涙がポロポロと呼応してしかたない。

 もののけのような関東大震災の描写も圧巻だが、語り口で印象的なのは省略の美学。自分の傑作・零戦が、戦争の道具として人命を奪うということへの葛藤や苦悩も省略の中にある。だが終盤に登場する零戦の画は、きっと観客の想像を喚起するだろう。

 問題は、主役の声優だ。庵野秀明の声は監督にとっては好みの声なのだろうし、意図も効果もわかる。しかし演技として違和感を呼ぶこの声は、観客が映画の世界に入り込むことを邪魔しかねない諸刃の剣だ。(若林ゆり)

映画.com(外部リンク)

2013年7月18日 更新

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