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シド・アンド・ナンシー

nek********

4.0

伝説

これだけの名声を手に入れて、ドラッグで金はなかったかもしれないが、ホテルで気ままに暮らしていた彼ら。 しかし、彼らには何もなかった。 空っぽなのだ。 二人でいても、埋められない孤独感をいつでもナンシーは持っていて、シドはそれに奔走していた。 それは出会いからそうだった。 彼女への同情が、シドの本性が、彼女との関係をつなげるきっかけとなった。 ナンシーの空っぽ観には、他者は信用ならないもの、裏切るものという絶対的な目線があり、いつでもシドは最高なんだ、人気スターなんだという、一方的な価値観があった。 シドはその空っぽさに気づいていたが、彼女の元を離れることはなかった。 うまくいくとか、いかないなんて社会的価値観は彼らには関係ない。 二人はいつでも一緒だし、必ず孤独だった。 ちょっとの自制でうまく渡れる道を自ら意図せず踏み外して歩いていく。 伝説になってもこんな生き方は悲しい。 ・・・という考え方自体、彼らにはどうでもいいFuckな考え方なんだろうなあ。 パンクにかぶれた高校生のとき、この映画を初めて見て、カッコいいしか思わなかったが、いい歳をして観ると、やっぱり違うものだ。 ブルーハーツの「英雄にあこがれ」みたいに「いばらの道を見つけ出し靴を脱ぎ捨てる」のがパンクかと思っていた。 しかし、この映画に描かれているシドは確実に違う。 いばらの道を探すことも、名声の道を探すことも彼らはしていない。 これしか出来ないのだ。 これが真のパンクなのかもしれない。

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